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蚤のサーカスと学習性無力感

蚤のサーカス

蚤のサーカスの映像を見たので、なくさないようにここに貼っておく。


蚤のサーカスは、ヒトノミなど大型のノミを調教して芸を見せるショーのことで、17世紀ごろのフランスで誕生したらしい。



蚤は団長の指示によって体重の何千倍もの重さのおもちゃの車を引いたり、ボールを蹴飛ばしたり、あるいはジャンプして小さな輪をくぐったりする。蚤のような小さな昆虫でも、ちゃんとオペラント条件付けによる学習が可能なのだ。この映像を見ているだけでかゆくなるのは、これは古典的な条件付けだろうか。

ミツバチは,天空の偏光マップを用いて太陽と巣箱と餌場の関係から餌場の方向を検知し, その方向と距離をダンスによって仲間に伝えることはよく知られている.この情報伝達には記憶と学習能力が必要となる.ミツバチのこのような学習能力の行動生理学的研究は古くから行われてきた.最近では,ミツバチ以外にもコオロギやゴキブリで,古典的条件付けやオペラント条件付けなどの連合学習が成立することが示されている.「昆虫の神経系と適応行動
「蚤のサーカス」という言葉は、教育の分野で使われることもある。蚤を訓練する際に、背の低い箱とかコップなどに閉じ込めておくと、蚤は高くジャンプしなくなるという(飛び上がるたびに頭を打ち付けるから)。教育では、無意識のうちに子どもの頭を押さえつけて伸びないようにしていないか、という警句となる。




学習性無力感

また、心理学で「学習性無力感(Learned Helplessness)との関連で、「蚤のサーカス」が引き合いに出されることがある。
学習性無力感とは、心理学者のマーティン・セリグマンが行った実験に由来している。予告警報の後に犬に電気ショックを与えるという実験で(ひどいですね)、犬たちはボタンを押すなどの努力をすれば電気を避けられる群と、なにをしても逃れられない群に分けられた。
どうあがいても逃げることのできない状況に置かれると、犬はあきらめて何もしなくなってしまう。その後、状況が変わって逃げ出せるようになったとしても、適切な対処行動をとれなくなってしまうという。セリグマンは、これを学習性無力感と呼んだ。

人間のうつ病も、この学習性無力感によって生じているという説もある。

人間も「どうせなにやったってうまくいかない」「がんばったってきっと失敗する」といった信念にとらわれてしまうことがある。
それほどネガティブな感情を体験していないときでさえ、無意識のうちに自分で自分の限界を決めてしまっていることは多いと思う。
これ以上飛べないと信じている蚤と同じだ。

どうすればそこから抜け出せるのだろう?

頭を打たない高さで何度も飛んで、成功体験を積み重ねながら、少しずつ高さを増していくという方法がひとつだろう。
あるいは、自分と同じような存在がチャレンジしてもっと高く飛ぶのを見たら、「ぼくもできるかも」と思うことができるかもしれない。



コメント

  1. ノミとコップの話は嘘。
    知っていたなら不遜。
    知らないのは無知、
    調べようともしない怠惰。

    返信削除

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