イヤーワームになる曲トップ9、そして対処法(頭から離れない曲)
止まらないメロディーの正体とは?イヤーワーム現象を科学する
1. イヤーワームとは?耳に残る音楽の正体
頭の中で特定の曲が何度も繰り返される現象を「イヤーワーム」と呼びます(ディラン効果とも。ボブ・ディランの「風に吹かれて」もイヤーワームが生じやすい曲として知られています)。この言葉は、英語の「earworm(耳の虫)」に由来し、まるで耳に虫が入り込んで音楽を流しているかのような感覚にたとえられています。イヤーワームは、特に集中が必要な時や眠る前に起こりやすく、勉強中や仕事中に困った経験がある人も多いでしょう。
頭のなかである曲が延々と流れ続けて止まらなくなる現象を「イヤーワーム」と言います。「耳の虫」という意味で、まるで耳に虫がもぐりこんで音楽を流しているみたいに体験されることからそう呼ばれています。
強迫性障害や統合失調症の症状として見られることもありますし、健康な人だってしばしば体験します。脳のバグみたいなもんでしょうか。勉強中や仕事中など、何かに集中しなくてはならないときに、イヤーワームが気になって仕方がないということもあります。受験生でイヤーワームに取り憑かれて困っているという人の話を聞いたことがあります。確かに困りますよね。
Psychologists Identify Key Characteristics Of Earworms
「心理学者たちが見つけたイヤーワームの本質的特徴」
という記事が、アメリカ心理学会のサイトに掲載されていました。
イヤーワームを生じさせやすい曲として、たとえばレディ・ガガのBad Romanceが挙げられていました。
2. イヤーワームが起こりやすい人とその原因
イヤーワームは健康な人にも頻繁に起こりますが、強迫性障害や統合失調症などの精神疾患と関連する場合もあります。脳が「バグ」を起こしたかのように、無意識にメロディーがリピートされてしまうのです。心理学的には、音楽の反復やリズムが脳に影響を及ぼし、メロディーが意識に残り続けることが指摘されていますHiroshima University Repository。
3. 科学的に解明されたイヤーワームを引き起こす音楽の特徴
アメリカ心理学会の研究によると、イヤーワームを引き起こしやすい曲にはいくつかの共通点があります。それは以下の3つです:
- 速いテンポ:速いリズムが脳に刺激を与え、記憶に残りやすくなります。
- 反復的なメロディ:繰り返しの多いフレーズが脳に引っかかりやすいことがわかっています。
- 一般的ではないインターバル構造:曲の中で急にテンポが変わるなどの予測しづらい展開がある場合、イヤーワームが生じやすくなります。
たとえば、レディ・ガガの「Bad Romance」やマルーン5の「Moves Like Jagger」は、その典型的な例です。これらの曲は、速いテンポと印象的なフレーズが特徴であり、何度も頭の中で再生されることが多いのです。
研究によると、イヤーワームを生じさせやすい音楽は、共通のメロディのかたちをともなった速いテンポの曲で、一般的ではないインターバルや反復をもっていることが分かったのだそうです。「共通のメロディのかたち」(common melodic shape)といわれてもよく分からないですが、たとえばディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の出だしや「バッド・ロマンス」のコーラス部分のような感じなんだそうです。
耳に残りやすい曲が科学的に解明されたなら、作曲家やミュージシャンにとって、売れる曲を作りやすいということになりますね。
「キラキラ星(Twinkle, Twinkle Little Star)」のような、一般的な旋律がだんだんピッチを上げて繰り返されていくような曲も頭に入りやすいそうです。
研究で、最もイヤーワームを起こしやすい曲のひとつに選ばれたMaroon 5 の“Moves Like Jagger”も同じような構造をもっているらしいです。
また、 急にテンポが変わるなどの、一般的ではないインターバル構造(unusual interval structure)をもつ曲も、イヤーワームを生じさせやすいことがわかったのです。
4.イヤーワームを引き起こしやすい9つの代表的な曲
以下は、研究でイヤーワームを引き起こしやすいとされた楽曲とその特徴を解説します:
「Bad Romance」 – レディ・ガガ
- 速いテンポと反復的なコーラス部分が特徴で、特に「ラ・ラ・ラ」の繰り返しが強く記憶に残ります。
「Can't Get You Out Of My Head」 – カイリー・ミノーグ
- タイトル自体がイヤーワームを象徴しており、メロディラインがシンプルかつ繰り返しが多いのが特徴です。
「Don't Stop Believin'」 – ジャーニー
- イントロのピアノリフやコーラス部分の反復が、耳に残りやすい要素を持っています。
「Somebody That I Used To Know」 – ゴティエ
- 繰り返されるギターフレーズと独特なメロディラインが印象的で、イヤーワームになりやすいとされています。
「Moves Like Jagger」 – マルーン5
- テンポの速さとリズムの変化が特徴で、特にコーラス部分が頭の中で繰り返されやすいです。
「California Gurls」 – ケイティ・ペリー
- 明るいテンポとキャッチーなメロディが、記憶に強く残る要因となっています。
「Bohemian Rhapsody」 – クイーン
- 曲の途中でのテンポの変化や異なる音楽スタイルが組み合わさり、イヤーワームの要素を多く含んでいます。
「Alejandro」 – レディ・ガガ
- 繰り返しのフレーズと独特なメロディラインが特徴的で、特にサビの部分がイヤーワームになりやすいです。
「Poker Face」 – レディ・ガガ
- シンプルでキャッチーなメロディとリズムの繰り返しが強調されており、脳に強く刻まれます。
これらの曲に共通するのは、シンプルかつ繰り返しの多いメロディーラインや、予想外のリズムの変化が脳に影響を与えやすい点です。特にコーラスやサビの部分が強調される楽曲は、イヤーワームとして記憶に残りやすいとされています
5. イヤーワームを止めるための効果的な対処法
イヤーワームは、特定の曲が頭の中で繰り返されて止まらなくなる現象ですが、これを効果的に抑えるための対処法がいくつかあります。それぞれの方法がどのように効果を発揮するのか、以下に詳しく説明します。
1. ガムを噛む
ガムを噛むことは、イヤーワームを止めるための最もシンプルで効果的な方法の一つです。ガムを噛むと、口の動きが脳における音楽処理を妨害し、イヤーワームを減少させる効果があるとされています。これは、「口腔運動が脳の音楽記憶に影響を与える」という研究結果に基づいており、ガムを噛むことで頭の中の音楽を消し去るのに役立ちます
。2. 他の曲を聴く
イヤーワームを打ち消すために、別の曲を聴くという方法も効果的です。特に、現在頭に残っている曲とは異なるジャンルやテンポの音楽を選ぶと効果が高まります。この方法は、脳の注意を新しい音楽に引き寄せることで、繰り返し再生されているメロディをリセットする役割を果たします。
3. メンタルタスクを行う
簡単な計算やパズルを解くといったメンタルタスクに取り組むことで、イヤーワームを和らげることができます。脳が新しい情報に集中することで、音楽のリピートを中断する効果があります。例えば、逆順で数字を数えるなどの簡単な認知作業は、特に効果的であると報告されています。
4. 意図的に「終わり」をつける
イヤーワームの原因の一つとして、脳がメロディの「完了」を求めることが挙げられます。そのため、イヤーワームが発生した場合、意図的にその曲の最後の部分を思い出すことで脳に「終わった」と認識させることができます。これにより、イヤーワームを止める助けとなるでしょう。
5. リラクゼーションや瞑想を行う
イヤーワームは、ストレスや不安が引き金となることがあるため、リラクゼーションや瞑想で心を落ち着けることが有効です。深呼吸をしてリラックスすることで、脳の過剰な活動を抑え、頭にこびりついたメロディを静かにすることができます。
6. 日常生活の音や活動に集中する
イヤーワームが気になるときには、日常生活の音に意識を向けるのも効果的です。例えば、周囲の環境音や自分の足音、風の音などに集中することで、イヤーワームから注意を逸らすことができます。これは、マインドフルネスの一環としても有効な手法です。
7. 不快な状況を回避する
イヤーワームは、特定のストレスや状況に関連して生じることがあるため、その原因を取り除くことで症状を和らげることができます。たとえば、イヤーワームを引き起こす可能性のある曲を避ける、騒がしい環境を離れるなどが挙げられます。
6.イヤーワームの音楽的要素を作曲に活かす
イヤーワームを引き起こしやすい楽曲の特徴を理解することで、作曲家やミュージシャンは売れる曲を作るためのヒントを得ることができます。たとえば、キャッチーなリフレインを取り入れたり、テンポの変化を効果的に使うことで、より印象的な楽曲を生み出すことが可能です。
結論
イヤーワームは音楽の特定の要素が脳に影響を及ぼすことによって生じる現象であり、そのメカニズムを理解することで対処法を見つけることができるだけでなく、音楽制作にも応用することができます。
精神神経科疾患の合併がなく難聴が主病因の音楽幻聴に対し耳鳴の説明と補聴器による音響療法が有効な治療である可能性が示唆され, 耳鼻咽喉科医が中心となり診療に携わることが望ましいと考えられた。
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