Chad Sparkes
先日は、象が仲間に対して示す共感性や援助行動について取り上げたが、こちらはネズミの共感的行動について。

Empathic Rats Save Drowning Pals Rather than Eat Chocolate | Psychology Today

ネズミは他のネズミが苦しんでいる表情をちゃんと認識できる。それだけじゃなく、後悔だとか共感を示すといったより豊かな認知・感情の能力を進化させてきたのだという。ネズミの後悔を実験的に確かめるなんて面白い。
記事では、チョコレートを食べることよりも他のネズミを助けることを優先する、といった研究が紹介されている。



ネズミは実験的に、溺れている他のネズミを助けるか、それとも自己中心的にチョコレートを食べる方を選ぶかといった状況におかれる。

Rats demonstrate helping behavior toward a soaked conspecific 
Nobuya Sato, Ling Tan, Kazushi Tate, Maya Okada

自分の不利益にもかかわらず、直接関係のない他の個体を助けるという行動は、社会的なふるまいだ。水浸しの他のネズミ君を助けるドアを開けるか、それとも食べ物のあるドアを開けるかという二択を迫られるらしい。
ほとんどの試行で、ネズミは餌を手に入れる前に仲間を助けることを選んだ。このことが示唆するのは、餌という報酬の価値よりも、他の個体を助ける方が相対的に価値があるということだ。この結果から、ネズミは向社会的にふるまうことができ、援助するネズミは苦しんでいる仲間に対する共感様の感情によって動機づけられていると考えられるのである。
見知らぬ他人を助けるか、それとも一億円もらう方を取るかと迫られたら、人間だって悩んでしまいそうです。

ネズミだって「正義とは何か」(サンデル教授)といったことを考えるのかもしれない。いや、こういうのって、考えるより前の「ほっとけないよ!」というような身体的な感覚が大事なんだろう。

Psychology Todayの記事の後半は、ネズミの保護と権利について。これだけ共感性のある動物なのに、ネズミは科学的実験のためにひどいめにあっているのは問題じゃないかと。