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嘘つきの子どもは記憶力がいいか? あるいはマシュマロテストについて

嘘と記憶力

「記憶力のいい子どもは、より優れたウソツキだ」ということが実験でも確かめられたんだそうな。まあ、嘘を上手につくには、当然、記憶力も含めてそれなりに賢くないといけないだろう。

Kids With Good Memories Make Better Liars | psychcentral.
ピノキオの写真
Tristan Schmurr: I'm not a liar!

言語的な記憶力と嘘の能力のつながり

英国のシェフィールド大学で行なわれた実験で、言語的な記憶力と嘘の能力のつながりが発見された。

実験はこんな感じらしい。被験者は6〜7歳の子ども。この子たちにトリビアゲームをしてもらう(雑学クイズみたいなものかな)。カードの裏に答えが書いてあるのだけれど、のぞいてみたりしちゃダメだよと指示されるのだ。隠しカメラが仕掛けてあって、しかも実際にはないマンガのキャラクター名が答えになっているので、たとえ子どもが「見てない」と言っても、誰がのぞいたか研究者には一目瞭然というわけ。



研究者たちは同時に、子どもたちの「言語的作動記憶(Verbal working memory)」と「視空間作動記憶(Visuo-spatial working memory)」を調べている。言語的作動記憶は、一度に覚えることのできる言葉の数を指している。視空間作動記憶は、同時に覚えることのできるイメージの数だ。

結果から分かったことは、嘘をつくのがうまい子どもは、言語的記憶のテストでも(覚える方も思い出す方も)成績がよいということだった。

嘘と言語的記憶の関係は、嘘をつくという行為にはたくさんの言語的情報を保っておく必要があることを考えると、当然のことかもしれない。

一方で、視空間作動記憶と嘘の上手下手は、関係はほとんどなかったとのことだ。嘘をつくのに通常、視覚的なイメージを保つ必要はそれほどないからだろうと研究者は推測している。

チンパンジーの嘘

商品の詳細
『チンパンジーの心』(松沢 哲郎、岩波現代文庫、2004年)
という本を読んだことがある。
飼育されているチンパンジーの群れに、こんな実験をしていた。記憶だけで、概要を記してみる。
  1. 部屋には何頭かのチンパンジーがいるのだが、そのうち一頭だけ庭に出して、バナナの隠してある場所を見せてまた部屋の中に戻す。
  2. 扉を開けると、バナナの場所を知っているチンパンジー(仮に太郎と名付けておく)は駆け出してバナナを食べる。
  3. もう一度、その太郎だけを部屋から出して、バナナの隠し場所を見せてまた部屋に戻す。
  4. 扉を開けると太郎くんはバナナをめがけて駆け出すが、今度は他のチンパンジーたちも後を追いかけていく。なぜなら、太郎がバナナの隠し場所を知っているということを知ったからだ。
  5. 何度かこういうことを繰り返していると、ときには足の速いチンパンジーが太郎に追いついてバナナを奪うことだって出てくる。
  6. すると太郎は、扉が開いてもすぐにバナナのところに駆け寄ったりしない。逆の方向にぶらぶら歩いてみたり、木に登ってみたりと、いわゆる「ブラフ」を混ぜて、他のチンパンジーにバナナを奪われないようにするのだ。
「チンパンジーは心の理論を持つか?」というタイトルの論文もあったけど、こういう実験を見ると、チンパンジーは意図的に他の人を欺く「嘘」をつくことができるということなのだろう。

あっくんとみえちゃん(あっくん十番勝負)

ずいぶん昔に見たテレビ番組のことを思い出した。とんねるずのお笑い番組のコーナーだったと記憶している。3歳くらいの男の子が、お母さんが出かけている間におやつのイチゴを食べずに待っていられるか、というストーリーだった。お母さんが帰るまでイチゴは食べないと約束したのだ。

ウィキペディアで調べてみるとこの番組のこともちゃんと掲載されていた。男の子は「あっくん」という名前だった。

あっくんは、どうしてもがまんできなくて結局イチゴを食べてしまう。帰宅したお母さんに、あっくんは「宇宙人が来て、イチゴを外に捨てちゃったんだ」と嘘をつく。

たしか次の週になって、タレントの見栄晴が特殊メイクをして宇宙人「みえちゃん」として登場した。あっくんのついた嘘の通りの姿だったと思う。あっくんは最初は驚いていたが、だんだん友情が芽生えて仲良くなっていく。最終回では、UFOが迎えに来て宇宙に帰っていくみえちゃんに、あっくんは泣きながらお別れしていた。

大きくなったあっくんに会いたい、という動画も見つけた。あっくんに会いたい

マシュマロ・テスト

このイチゴのテストは、スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが1960~70年代に行った「マシュマロ実験」をもとにしているのだと思われる。

商品の詳細
ウォルター・ ミシェル、 柴田 裕之

この本、最近人気らしくてよく見かける。


「自制心」「セルフコントロール」などと呼ばれている「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」(Delayed gratification)が、人の社会における成功に重要であることはよく知られている。
とのことで、「家族のメンバーがそろっていることが喜びを遅らせる能力と強く結びついている」のだという。

以下は、実際のマシュマロ・テストの模様。見てるとほのぼのします。いや、子どもたちは辛いと思うけど。




嘘の話を書いていたつもりだったけど、なんでか自制心の話になった。いや、嘘をつくには「本当のことを言ってはいけない。知られちゃいけない」という自制心が必要だからいいのか。

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