『おしゃべり用心理ゲーム』(パキラハウス、角川文庫)というちょっとした心理ゲームで会話を楽しもうという本があった。臨床場面で使われることのある「心理テスト」にも、テストというよりは「おしゃべり用心理ゲーム」といった方がぴったりするものもある。いくつか取り上げてみたい。

1.三つの願い(Three Wishes)

児童精神科医の Leo Kannerが考案した「神様があなたの願いを三つかなえてくれるとしたら何をお願いしますか?」という質問。Kannerは、初期の自閉症の研究者として知られている。神様の代わりに、「魔法使い」や「妖精」でも「打ち出の小槌」だっていい。
お金持ちになりたいとか、サッカー選手になりたいとか、そういった願望がすぐ出てくればいいけど、精神的なエネルギーが低下しているときは、願いを三つ出すのはなかなか大変。
Illustration of Alfred Smedberg's The seven wishes in Julbocken, 1907

2.生まれ変わるとしたら?(転生願望)

「あなたが動物に生まれ変わるとしたら、どんな動物になると思う?」「なにになりたいですか?」と尋ねる。次に、「じゃあ、絶対生まれ変わりたくない動物はなに?」と聞いてみてもいい。

「転生願望法」における大学生の対人関係特性(1)[pdf]
では、女子大生300人にこの質問を行なっている。

生まれ変わりたい人気の動物は、

1位:猫(40%)
2位:犬(19%)
3位:鳥(10%)
の順とのことである。猫は自由気ままでマイペース、犬は飼い主に可愛がられる、鳥は束縛されずに空を飛びたいといった理由らしい。まあ普通だな。

幼児 ・児童における転生願望法の研究 (Ⅰ)[pdf]
も読んでみた。
幼少の子どもほど「可愛い」動物を選ぶことが多く、学年が上がると特に男子は「強い」「早い」「格好いい」動物が好まれる傾向があるよう。
どうせなら「前世」がなんだったか、どんな人生(動物生)を歩んで、どうやって死んだかも聞いてみたら面白いと思った。

3.真珠採り

「あなたは海底で真珠貝を採っています。海の上の小舟に は手動の空気ポンプがあって、そこからあなたにパイプで空気が送られています。あなたは空気ポンプを押してくれる役を誰に頼みますか」(*)
と問う。

投映法ということになっているけれど、何を聞いているかはすぐ分かる、という意味では「おしゃべり用心理ゲーム」にしてはひねりがないか(いや別にひねらなくてもいいんですが)。これも「この人だけには頼みたくない、っていう人は誰?」と聞いてみようか。

(*)名島潤慈「臨床場面において用いられている心理テストの現況