猫を飼っていると精神病になりやすい? 猫の噛みつきとうつ病の密かな関係

7/30/2015

精神医学 動物

t f B! P L
猫好きには悲しい話かもしれません。

猫を飼っている人は、心の病気を悪化させる可能性があるかもしれないのだというショッキングなニュースです。

猫と狂気

猫と狂気の関係は、ポップカルチャーでいろいろ取り上げられてきた。たとえばジェームズ・ボンドシリーズに登場する悪の天才エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドは、いつも白猫を抱いていた。ブロフェルドのパロディであるオースティン・パワーズのドクター・イーブルも、やっぱり猫を抱いている。


Ernst Stavro Blofeld

アニメ「ザ・シンプソンズ 」に登場する「猫おばさん」は英語では、Crazy Cat Ladyという名前だそうだ。いつも猫を抱えていて、奇声を発しながら住民に猫を投げつける謎の人物である。若い頃は優秀な人物だったらしい。

 

こうした例はいくつもあるが、これって猫と精神疾患がなにか関係あるってことなんだろうか?




寄生虫と精神疾患の関係

Cats And Mental Illness – The Role Of Toxoplasma gondii|BrainBlogger

では、猫に規制するトキソプラズマという寄生虫(Toxoplasma gondii)が、ヒトに感染することが、精神疾患の発症や悪化に関連する可能性が論じられていた。

この寄生虫に感染することで起こるトキソプラズマ症は、人間の行動変化を引き起こすかもしれないんだそうだ。この関連はずいぶん前から(1950年代から)疑われていて、トキソプラズマ症が統合失調症の発症に先立つという報告もあるという。

ただし、トキソプラズマに感染しているのは世界の半数近くに及ぶので(ほんまか)、統合失調症との関連は単純な因果関係ではないだろうと。そこにはどうやら、免疫システムと精神疾患の複雑な関係が影響しているようだ。

Wikipediaでトキソプラズマ症の項目をみてみると、「世界人口の3分の1が感染していると推測されている」んだそうだが、有病率には地域で大きな差がある。統合失調症の発症率が世界中でだいたい一定していることを考えると、やはり単純な因果関係ではなさそうだ。

疫学的な研究により、トキソプラズマ陽性だと男児が生まれやすいという結果」んだって。生み分けに使えるのかもしれない。
トキソプラズマの慢性感染によりヒトの行動や人格にも変化が出るとする研究例はかなりある。男性は反社会的に女性は社交的になる、統合失調症や双極性障害にかかりやすくなる、男性はリスクを恐れなくなる・集中力散漫・規則破り・危険行為・独断的・反社会的・猜疑的・嫉妬深い・女性に好ましくない、逆に女性は社交的・ふしだら・男性にもてる、などなど。
とも記載されていた。どうも抑制がやや外れる傾向が生まれるようだが、男女差が興味深い。男性は「女性に好ましくない」けれど、女性は「ふしだら」で「男性にもてる」というのはどういうことだ。

女性は脱抑制的な男性にべたべた近づかれると嫌がるけど(まあそうだろう)、男性は「社交的」で「ふしだら」な女性が近づいてくるとニヤニヤして喜ぶってことか(男って・・・)。


ネコに噛まれるとうつ病に!?

【悲報】ネコに噛まれると「うつ病の可能性」米国の研究者が異常な関連性を発見

という記事でも、トキソプラズマが影響していることに言及されている。


ネコのあくび

ビッグデータを調べたところ、ネコに噛まれて病院を受診した人の41%がうつ病の診断を受けていたんだと。しかもネコに噛まれていてかつうつ病の条件を満たす人の86%が女性で、ネコに噛まれた女性がうつ病と診断される可能性はほぼ50%になるんだという。

これはMMPIのD尺度の質問項目に「ネコに噛まれたことがある」という質問を入れるべきではないか。


なんでネコに噛まれた人にうつ病が多いかという原因はまだはっきりとはしていないが、
  1. 落ち込んでいる人はそもそも猫を飼っている可能性が高い
  2. うつ病になると、アイコンタクトが少なくなる
  3. 寄生虫「トキソプラズマ」によるもの
という要因が考えられるとのこと。1は、うつを癒そうとして猫を飼うということ。猫に噛まれたからうつになるんじゃなくって、うつだから猫を飼う。

2番は、アイコンタクトが少なくなると、ネコが不安になるのか、イライラするのか、なんだかそんな理由で飼い主に噛みつくことが増えるらしい。これも同じく、うつでアイコンタクトが減るから、猫が噛むという理屈。

3番は、猫に噛まれるとうつ病のリスクが高まるという可能性。

「猫に噛まれた患者のうち、3分の1の患者は3日間入院しなければならないほどのケガを負っていて、想像以上に深刻」ってことなので、ネコの飼い主は気をつけた方がいいですよ。肉食獣だしね。


猫のひっかきや噛む癖をなくすには

というだけでは無責任なので、猫の噛みつきをなくすにはどうしたらいいのかを調べてみた。

猫と飼い主(あるいはその他の人)との関係悪化のサインは次のような段階を経て、「ひっかき・噛みつき」に至る。
  1. 威嚇:口をあけて「シャーッ」という声を出して脅す。
  2. 牽制:前足を上げて牽制する。
  3. 猫パンチ:爪を出さずに猫パンチ。
  4. 引っかき・噛みつき:爪を出して引っかく、噛みつく。
猫ひっかき病」(バルトネラヘンセラという細菌によって引き起こされる、リンパ節炎を主体とした感染症)が起こることもあるようだし、猫の反抗期で痛いめに合うのも嫌なので、できるだけ早期に対処したいところ。
幸い、猫の問題行動は適切な処置を施せば、高い確率で改善するというデータがあります。例えば、1997年にOverallが行った統計調査によると、「問題行動を抱えて行動クリニックに来院した飼い主の内、18%が猫の安楽死を考えていた。しかし、治療後に実際に安楽死させられた猫は1%以下だった」という結果が出ています。これは問題行動の多くは解決可能であることを示す有力なデータと言えるでしょう。子猫のへや
とのことなので、あきらめずに猫の教育・療育・行動療法を心がけたい。

引用したサイトには、猫の攻撃行動のさまざまな要因と対処法が記されていて、なかなか興味深い。
鎮静効果のあるフェロモンを使う、爪切りや爪キャップ、爪を使えなくする外科手術(痛そう)、投薬治療、「サプライズ」など。最後の猫への「サプライズ」というのは、はっと驚かせて攻撃意欲をなくすようなことらしい。風船を割るとか水鉄砲とか、猫だましなんていうことが紹介されていた。猫だましって、やっぱり猫に効果的なんだ。

とはいえ、最も大切なのはやはり猫のストレスを緩和してあげるということ。猫ちゃんだって以外とストレスを抱えているものだ。

子猫のへやの「猫のストレスチェック」というページを見ると、ストレスのサインとして次のような項目が挙げられていた。
行動の抑制 
歩いたりジャンプしたりといった移動行動が減少する。
 セルフメンテナンスの抑制 
グルーミング、エサを食べる、水を飲むといった、生命を維持するためのメンテナンス行動が減少する。
遊びの抑制 
おもちゃを噛んだり追いかけるといった遊び行動が減少する。
引きこもり
隠れ家に入り込んだまま出てこなかったり、敷物の下などにもぐりこむなどの引きこもり行動が増える。
防御
うなり、威嚇(シャー)、スピット(のどの奥をカッと鳴らす)、噛み付き、引っ掻きなどの自己防衛的攻撃行動が増える。
というわけで、猫を飼っているあなた、お猫さまがストレスをためないように、引っかいたり噛んだりといった悪い癖を身につけないように心がけてください。

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猫に襲われる夢を見たらこんな意味があるのだそうです。

Describing the Relationship between Cat Bites and Human Depression Using Data from an Electronic Health Record
「猫の咬傷とうつ病の発症確率には強い関連性があり、特に女性では顕著であるという可能性」を示唆している。

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