旅先で神戸新聞(2015年7月20日)を読んでいたらSNS(Social Networking Service)が思春期の子どもに与える影響に関する記事を見かけた。このごろ、LINEやスマホの使い方に関する悩みや相談をよく聞くので、実際のところどうなんだろうと疑問に思っていた。研究で明らかになったのは・・・




東京ティーンコホート研究

東京大と総合研究大学院大学、東京都医学部総合研究所の精神科医らのチームが行なった「東京ティーンコホート研究」の紹介記事だ。

思春期の入り口に立つ10歳の子ども約3000人を長期間にわたって追跡して、子どもの頃の生育環境や生活習慣がその後の心身の健康や行動に及ぼす影響を明らかにしようとする研究で、2012年からスタートしたとのこと。2年ごとに調査し、30歳くらいまでの追跡を目指すということなので、なかなか気の長い研究ですね。

SNSを使う子は瘦せ願望が強い

調査をはじめてから2年余り経過して分かったことは、SNSを使う子どもはそうでない子に比べて「今より瘦せたい」との願望をもつ傾向が強いということだそうだ。ネットを使うけれど「宿題のための調べ物やメールが目的」と答えた子にはこうした傾向は認められなかった。

これは、SNSでよくある「隣りの芝生は青い」現象なんでしょうね。研究者は「SNSに掲載された写真などを見ながら自分と他人を比べ、自分の体型に不満を抱きやすくなったのではないか」と推測している。瘦せ願望が極端になり、拒食や過食といった摂食障害につながる可能性も考えられるということなのだろう(そのあたりは今後の研究課題みたい)。

メディアと摂食障害

記事には性差については書かれていなかったが、おそらく女児にこの傾向は強いのだろう。摂食障害の原因はまだはっきりとは分かっておらず、さまざまな要因が提唱されている。うつ病などの感情障害との関連、子ども時代の身体的・性的虐待、家族環境や母子関係、本人のパーソナリティやストレス耐性の乏しさ、瘦せていることを推奨するような社会の影響などなど。

「現代社会は,タレントやモデルのようなスタイルがすてきな女性であり,やせることが良いことというイメージを与え,ダイエットを奨励しているメディアや雑誌によってボディイメージの障害が増長されているように思われる」(
といった意見もあり、とりわけソーシャルな出来事が「瘦せ願望」に与える影響は大きいのだろう。

2006年には、アナ・C・レストンというファッション・モデルが拒食症による栄養失調でなくなり、その後、モデルの健康管理や採用基準が厳しくなったという出来事があった。「瘦せ過ぎ」のモデルを採用すると、モデルはより過激な痩せ競争に取り組むようになるし、彼女たちを「モデル」にして一般の女性たちの瘦せ傾向も過激になるといったことが懸念された。

ちょっと前に、
キンタロー。&芹那のグアムの水着写真画像がヤバイww
なんてまとめが出回っていたが、キンタロー。の方が普通で、芹那をモデルにするのは間違っているのだ。

上記の事件の後、イタリアとスペインではBMI数値が18未満のモデルは採用しないという基準が設けられたという。

芹那
身長:161 cm
体重:43 kg
とのことなので、BMIは16.59となる(BMI計算ツール)。

ちなみにキンタロー。は、身長151cm、体重51kgとのことなので、BMIは22.37。標準は22とのことなので、ほぼ標準ですね。

海外のコホート研究の成果

新聞には、「海外の主な追跡調査と成果の例」も紹介されていた。
イギリスで1946年生まれの人を追跡した調査では、「10代半ばに幸せそうだった子は大人になっても心の問題を抱えにくい」という傾向が認められたそう。

また、同じくイギリスで1991年〜92年生まれを追跡すると、13歳時に受けたいじめが、18歳時にうつ状態になる危険性を高めることが分かった。

ニュージーランドのコホート研究では、青年期(1972〜73年生まれ)の大麻使用が30代での認知機能低下と関連していることが明らかになった。

スマホの心得

同日の神戸新聞の別の記事では、スマートフォンの利用ルールについて、生徒主体で取り組みが行なわれていることが紹介されていた。主に、SNSの一つであるLINE(ライン)の使い方に関する「心得」を共有しようという試みのよう。

中1で5割超、高校生では9割がLINEを利用しているとのことで、部活やクラスの連絡に不可欠なツールになりつつあると同時に、いじめや仲間はずれの要因となっていることも多い。

兵庫県福崎町の福崎西中学校では、生徒会が中心になり、「SNSのおきて」を作った。「日がかわったらしない」「個人情報は書き込まない」「知らない人とつながらない」「やるべきことをやってから使う」といった7つのおきてが決められたという。

【参考】
東京ティーンコホート研究