パニック障害の人が、光への過敏性を訴えることがある。蛍光灯や街の灯りが異常に明るく感じて、ときによってはパニック発作が誘発される。光刺激とパニック障害はどのように関連しているのだろう?


パニック発作と光恐怖

Panic Attacks Linked to Fear of Bright Light

という記事では、パニック発作が光嫌悪と関連していることを示唆する研究が紹介されている。パニック発作は、脅威ではない状況に対しても恐怖反応が生じたときに起こる。この点でパニック発作は、生活のストレスに対する通常の恐怖や不安反応とは異なっている。

ヨーロッパで行なわれた研究では、パニック障害の患者は、光に対して特異な反応を示していることが明らかになったという。
イタリアのシエナ大学の研究者たちは、パニック障害の患者22名と33名の健康な対照群を比較した。
「光感受性アセスメント質問票(Photosensitivity Assessment Questionnaire)」という質問紙を用いて調査したとのこと。たとえば「私の理想の家には大きな窓がある」とか「日光はとても煩わしいから、外出のときにはサングラスをしなきゃいけない」といった質問から成り立っているそう。健康な人は、明るい光を好む傾向があったが、パニック障害の患者には明るい光を嫌悪する傾向が認められたという。

研究をリードしたGiulia Campinoti博士はこう述べている。
「光刺激がパニック障害に関連しているということのヒントはいくつかありました。たとえば、蛍光灯の光でパニック発作が誘発される人もいますし、パニック障害をもった人たちがサングラスなどで光から身を守ることはこれまでも注目されていました」。因果関係は明確ではないが、背景には何らかの生化学的な基礎があるだろうとのこと。

光への過敏性の原因と対処

上の記事では、生化学的な基礎があるのだろうと示唆するくらいで、原因には言及されていなかった。仮説としてはどういったことが考えられるだろう?

パニック障害が、交感神経の活性化と関連していることを考えると、光刺激への過敏さも同じ理由で説明できるかもしれない。

交感神経は、緊急事態に対する戦うか逃げるか(闘争−逃走)という反応と関連している。敵と見なした相手と戦おうとするとき(あるいは逃げようとするとき)、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌し、身体は緊張して心臓の鼓動が早くなり、瞳孔は拡大する(相手をよく見なきゃいけないから)。周囲の危険を察知するために、感覚が敏感になり、闘争や逃走に備えて準備している状態だと言える。

交感神経が活性化することで、光刺激に対しても過敏に反応するようになるのだろう。瞳孔の調節がうまくできていないのだと考えられる。

対処法としては、蛍光灯などの光を避ける、明るさを落とす、遮光メガネを使う、PCやテレビ、スマートフォンはあまり使わない、ときどき目をつぶる、といったことを試みる人が多いようです。