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片足立ちテストであなたのパートナーとの愛情関係の不安定さが分かる

片足立ちで恋愛の不安定さが分かる?

片足でバランスを取ることで、身体的な安定だけでなく、結婚その他の親密な関係の安定性も確かめることができるんだという興味深い研究。身体の姿勢は感情や思考に大きな影響を与えているのだという。



How Grounded Is Your Love Life? | The new York Times

身体化された認知

これは、embodied cognition(身体化された認知)などと呼ばれる研究分野らしい。

重い軽い、硬いやわらかいといった触感の違いが、社会的なシチュエーションにおける人間の判断に影響するというといった実験もある。

従来の研究でも、「温かいコーヒーカップを持った人は、冷たいカップを持った人と比べて、見知らぬ人により親切で“温かい”態度を取る」なんてことが知られている。

研究者は、ボランティアに愛に関する“温かい”メッセージと、感情的に中立なメッセージを読んでもらい、その間の脳の活動を測定した。続いて脳の測定をしながらボランティア被験者に温かい物と冷たい物を持ってもらった。すると、温かいメッセージを読んでいるときと温かい物をもっているときには、脳の感情を司る部位が活性化したという。中立的メッセージと冷たい物はそんなことなかったって。

夏のデートだからといってかき氷やアイスばかり食べてると、冷たい感情になってしまうということか。

身体化された認知とロマンティックな関係

この度の研究では、身体化された認知が、ロマンティックな関係にどう関係しているかということが調査された。

Turbulent Times, Rocky Relationships
Relational Consequences of Experiencing Physical Instability

Psychological Science誌に掲載された「激動のときと、岩のような関係:身体的な不安定さの経験が関係におよぼす結果」という論文が元ネタ。

恋愛のパートナーについて、どう感じて、どうふるまうかということに影響を与えているのは何だろう? パートナーの特徴? どんな関係を経験しているか? 社会的な文脈? そうしたこと以上に、身体的な体験の方が、人間関係の知覚や行動に影響を与えているのかもしれないという。

グラグラの机だと

身体の安定性がカップルにどんな影響を与えるかを見るために、研究者は恋愛パートナーのいる学生を集めて実験をした。被験者たちは、普通のデスクで作業する人と、グラグラする椅子と机で作業する人にランダムに分けられた。

被験者たちはそこで生活や恋愛関係に関する質問紙に回答した。パートナーにどれくらい満足しているか、自分たちの関係が終わると感じているかどうかといった質問にも答えてもらったという。

その結果、グラグラする作業場と不安定な恋愛関係には強い相関があることが分かった。不安定な場所に座った学生たちは、そうではない学生よりも、自らの恋愛生活をより不安定なものと知覚する傾向が見られたのだ。

でもこの実験は人数が限られているし、若い人ばかりでほとんどは結婚していなかった。

片足立ちの実験

ということで、続いて行なわれた実験では、結婚している人も含めてより多数で多様な被験者が募集された。

被験者は、コンピュータのスクリーンの前に立つよう求められた。

そして、半分の被験者は片足で立つように指示された。後の半分の人たちには、両足でしっかりと立ってもらう。

その状態で、被験者は自分自身と恋愛関係に関する質問に答えるというわけだ。
加えて、片足(もしくは両足)立ちの状態で、その瞬間、愛する人のことをどう感じているかを短い文章にしてもらった。

結果はやっぱり、片足で立ってる人の方が自分たちの関係をより不安定なものと捉える傾向があったんだって。

恋人について書いた文章も、片足立ちのグループの方が、抱き合った体験よりも家事をしてくれないといった不平不満が強調されることが多かったとのこと。

もちろん、身体が不安定だと不安定な愛情生活を生む、といった因果関係が示されたわけじゃない。ただ、身体的に不安定だと感じている人は、より恋愛関係も揺れてると感じているということが明らかになっただけだ。身体が不安定だと、恋人やパートナーへの感情にも影響を及ぼすということを説明するためにデザインされた研究でもない。

けれど自分たちの関係性について考えるときには、地にしっかりと足を着けるか、ちゃんと座っている方がよさそうだ、なんてことが結論。

吊り橋実験との関連は?

これを読んで連想したのが、心理学でよく知られたダットンとアロンの「吊り橋実験」(1974年)のことだ。
福井県の「かずら橋」
ええと、説明はWikipediaから引用。
実験は、18歳から35歳までの独身男性を集め、渓谷に架かる揺れる吊り橋と揺れない橋の2か所で行われた。男性にはそれぞれ橋を渡ってもらい、橋の中央で同じ若い女性が突然アンケートを求め話しかけた。その際「結果などに関心があるなら後日電話を下さい」と電話番号を教えるという事を行った。結果、吊り橋の方の男性からはほとんど電話があったのに対し揺れない橋の方からはわずか一割くらいであったというものである。揺れる橋での緊張感を共有したことが恋愛感情に発展する場合があるという事になる。
足場が不安定なほど、恋愛感情を体験しやすいということで、「恋の吊り橋理論」なんて言葉で知られている。福井県のかずら橋を「愛の聖地」にしようといったアイデアも、この心理学理論を参照にしていると推測される。

じゃあ、先ほどの研究とこの「吊り橋理論」の関係をどう考えたらいいだろう? 足場が不安定だと関係が不安定になるのか、恋が燃え上がるのか、どっちなんだ。

おそらく、もともと他人であるとか、関係が浅い場合に、吊り橋のような不安定なところにいくと、生理的な不安が恋愛感情と錯覚されやすいのだろう。すでに恋愛/結婚関係にある場合には、足場の不安定さはそのまま関係の不安定さとして体験されやすいと思われる。
どっちも、足場の不安定さに連動して、それ以前の関係を揺り動かす、という方向の変化が生じるということらしい。

片足立ち恋占い

こうした一連の研究を応用して、「片足立ち恋占い」なるものを考案してみた(適当)。
以下の実験を試みてください。

  1. 片足立ちになり、目をつぶる。
  2. 好きな人を思い浮かべる。
  3. ゆっくりと両手を広げる。
目を閉じても不安にならずに、手を自然と伸ばせるときや、その状態で1分くらい自然と呼吸をしながら立っていられるときには、あなたの身体のバランスは安定していると言える。すなわち、あなたの好きな相手との関係性も安定していると考えられる(たぶん)。

ぐらぐらするとか左右に傾くとか、不安になるときには、バランスはいまいちよろしくない。パートナーとの関係も、もしかすると・・・

浮気が疑われるパートナーに目を閉じて片足立ちをさせて、真偽を問うという応用も考えられます。

グラウンディング

ついでに、地に足をつけるコツについて。「グラウンディング」とも呼ばれている。
  1. 両足でしっかりと立ち、足の裏で地球を感じる(座ってやる方法もある)。
  2. 今、ここ、自分に意識を向ける。
  3. アタマのてっぺんに糸がついていて、天からぶらさげられているようなイメージ。
  4. 尾てい骨の下から、エネルギーがずーっと伸びていって、地球の真ん中につながるようなイメージ。
  5. ゆっくり呼吸。
なんてことをしていると、恋愛/結婚関係も安定してくる、かもしれない。練習を続けていると、片足でだって揺れずにしっかり立つことができるようにはなると思う。

タンチョウヅルは一度つがいになると生涯仲睦まじく寄り添って生きると聞いたことがあるけれど、そういえばあの人たちはよく片足立ちになってるよね。


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