レジリエンスって? 折れない心を身につけるための心理学

7/08/2015

心理学

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このごろよく聞く「レジリエンス」という言葉。災害や事件などのトラウマを同じように体験しても、PTSDを発症する人もいれば、トラウマ体験をうまく乗り越えることのできる人もいる。

この違いはなんだろう、っていうところから、レジリエンス(resilience)が研究されるようになった。「精神的回復力」とか「復元力」「耐久力」と訳されている。「自然治癒力」といった意味合いもある。

心理学や性維新医学では「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」と定義されている。レジリエンスの対義語は「脆弱性 (vulnerability) 」という言葉だ。

ではこの、折れない心ってなんだろう? どうすれば身につくのだろうか?



What Is Resilience?
ちょうど、「レジリエンスって何?」という記事がメールで届いたので少し読んでみる。
Photo by Lou

レジリエンスって何?

レジリエンスをもった人々は、問題や試練に対処したり、回復するために自身のスキルや強みを使うことができる。失業や経済的問題、病気、自然災害、救急医療、離婚、愛する人との死別といった問題が含まれている。

レジリエンスが十分でない人は、こうした経験に圧倒されてしまう。そして問題をくよくよと考え、人生の変化に対して不健康な対処法を用いてしまうだろう。


失望や失敗は、不健康で、破壊的で、危険でさえある行動をもたらすことになるかもしれない。こうした人たちはつまずきからの回復が遅れるだろうし、その結果心理的な失調を経験しやすくなるだろう。


レジリエンスをもつということは、ストレスや人生の困難をすっかりなくそうってことじゃない。バラ色のメガネで人生を見てるってわけでもない。つまずくことだってあるし、ときには人生はハードで痛みを伴うものだって理解しているだけなんだ。感情的な苦しみや悲しみ、喪失を体験することはあるけど、こうした感情をワークスルーして回復することができるような考え方や捉え方をもっているということが大切だ。

レジリエンスを身につけるには

人によっては生まれつきこうした力をもっているように見える。ある種の性格傾向は、逆境に直面したときに動じないことを助けてくれるようだ。しかし、生まれつきの傾向だけじゃなくって、自分で選び取ることだってできる。

レジリエンスを学んで身につけることだってできるってこと。

挙げられていたレジリエンスの要素は次のようなものだった。
  • 自分自身と自分の能力についてポジティブにとらえている。
  • 現実的なプランをもち、それに従う力。
  • 内的なローカスオブコントロールをもつ。
  • よいコミュニケーションをする。
  • 自分を犠牲者ではなくファイターだと見る。
  • 高い情動知能をもち、情緒を効果的にマネージする。
ローカスオブコントロールという言葉は「統制の所在」と訳されていたと思う。行動をコントロールする意識の場所(ローカス)が、自分の内側にあるか外側にあるかで、問題を自分で解決するか、他者に頼ってしまうかが別れる。困難があっても自分自身の行動と結果は自分でコントロールできると考えた方が、困難を乗り越えやすい。

NHKのクローズアップ現代「“折れない心”の育て方  ~「レジリエンス」を知っていますか?~」では、こんなふうに書かれている。
「レジリエンスには、思考の柔軟性が必要な事が分かってきました。つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができるのです。」
思考の柔軟性が大事なんだって。
「一般的に“心が強い”とイメージするのは、“鋼のような”、“跳ね返す”、“硬い”、“頑丈な”というイメージを持つが、レジリエンスというのは、楽観性のように自分のいる状況に対して前向きに、不安とかそういうものに打ち負けないでしなやかにこなしていく。そういう心の持ちようがレジリエンスだということが、研究の中でだんだんと明らかにされてますね。」
竹のように柔軟にしなるのがよいということ。

ローカスオブコントロールの尺度というのも見つけた。

浅田真央選手に学ぶべき「復元力」という記事では、さまざまな領域でレジリエンス・トレーニングが導入されていることが書かれている。
米国の陸軍では百万人規模の兵士が受講しています。イラクやアフガニスタンなどからの戦場帰還兵がうつ病や薬物中毒で悩み、離職や自殺などが増えていたことから、通常のストレス研修に替わるものとして導入されました。導入の結果、薬物中毒者の割合が半減するなど明らかな改善が見られたといいます。
レジリエンスと似た概念で、高ストレス下でも健康を保つ人が持つ特性を表すのに「ストレス・ハーディネス」という言葉がある。ハーディネスの要素は、コミットメント、コントロール、チャレンジの3つから成り立っていると考えられている。

二次元レジリエンス要因尺度
では、「資質的レジリエンス要因」と「獲得的レジリエンス要因」の二つの要素に分けて捉えようとしている。

レジリエンスに関する本




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裏方。

Googleのキーワードプランナーで「レジリエンス」を調べてみた。

月間平均検索ボリュームは14800件、競合性は「低」である。クローズアップ現代で取り上げられたからか、意外と多い。関連キーワードには、「レジリエンス トレーニング」とか「レジリエンス 鍛え方」「レジ離縁す(これはミスタイプする人がけっこういるということらしい)」なんていうのがありました。

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