不安障害と不安への対処法

公開日: 11/26/2015 不安

大事な発表の前とか、あるいは誰かとぎくしゃくしたとき、不安を感じることがありますよね。英語では、心配や不安でどきどきしている状態を指すのに、have butterflies in one’s stomach(胃の中にチョウチョがいる)なんていう表現があるそうです。なんだか面白い表現ですね。
不安は誰しも体験することですが、ときには不安によって圧倒されて、仕事や生活、人間関係に支障がでることもあります。では、不安に対処し、やわらげるには、どうしたらいいのでしょうか?

不安について学ぶ

不安とは?

不安に対処するためには、まず不安について知る必要があります。
不安(anxiety,uneasiness)とは、何かに脅かされているという感情です。「恐怖」という場合は対象がはっきりしていますが、「不安」というときにはより漠然としていることが多いようです。何かが気がかりで、落ちつかない。あるいは何か危険なことが起きそうだと警戒している心の状態ですね。
不安を意味するドイツ語Angstということばは、語源をさかのぼると「せまいところ」「当惑や狼狽」「呼吸が短いこと」などを意味しているそうです。
不安について、いくつか知っておいた方がよいことをあげてみます。
  1. 不安を抱くのは普通のことです。誰だって不安になることはあるし、それはノーマルなことなのです。
  2. 不安は適応的です。不安は、私たちに危険を知らせてくれます。また、不安があるから、がんばって準備して成果をあげようと努力もするわけです。
  3. 不安は危険なものではありません。不安そのものがあなたを傷つけたり、危険にさらすわけではないのです。不安は、あなたを危険から守るためにあります。
  4. 不安はいつまでも続きません。時がすぎれば、次第に減っていくものです。
不安は火災警報装置のようなものと考えてみるとわかりやすいかもしれません。煙や炎を探知して火事を知らせてくれる警報装置は、私たちを火事から守ってくれる働きをしています。ところが警報装置が敏感すぎるとどうなるでしょう? 秋刀魚を焼いたり、煙草を吸うたびにブザーが鳴って慌てるようだと、ちょっと困りますよね。そんなときには、警報装置の感度を少し落とす必要がありそうです。

不安と身体反応


不安を感じているとき、あなたの身体は、闘うか逃げるか、それともフリーズするかという3つの反応が起こりやすくなります(“fight-flight-freeze”反応と呼ばれています)。緊急事態に備えて交感神経が高ぶり、血液中にアドレナリンが分泌されます。内臓は活動を弱めて(熊から逃げたり、闘ったりするときに、お昼の消化をしている暇はないのです)、血液は心臓に集まります。心臓の鼓動が早まり、血液が身体中をめぐります。目の瞳孔が開き、手足には汗がにじみます。逃げるにせよ、立ち向かうにせよ、身体にはこのような変化が生じて、備えるのです。以下のような身体的変化が起こります。
  • 動悸や呼吸が激しくなる
  • 心拍数増加
  • 発汗
  • 息苦しさ
  • 頭痛や胸痛、胃痛、腹痛
  • めまい、ふらつき、目がかすむ
  • 身体のふるえ
  • 熱感や冷汗

不安が関係する心の失調

不安を感じるのはごく普通のことですが、では、どの程度まで不安が強くなれば、病院やカウンセリングなどを頼った方がいいのでしょうか? 不安がそれほど長く続かず、がまんしたり、自分で解消できるならば、それほど心配しなくてもよさそうです。また、不安なことを家族や友人に話して、分かってもらえるという関係があれば、専門家に助けてもらわなくてもなんとかなるかもしれません。自分でも不安を表しにくいし、周りにも分かってもらえない、抱えておけないほど強い不安が長く繰り返し続くといった場合には、なんらかの心の失調を疑ってみる必要があるかもしれません。
精神科などで「不安障害」言われる心の失調の、代表的なものを以下に挙げます。自分で「この病気だ」と決めつけたりせず、心配であれば専門医を受診してみてください。

パニック障害(Panic Disorder)

神経伝達物質のバランスの乱れなどから起こると考えられている病気で、強い不安やパニック発作が特徴です。「またパニック発作になるのではないか」という強い不安(予期不安といいます)も見られ、「死んでしまうのではないか」「気が狂ってしまうのではないか」と感じることも多いのです。

全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder)

理由がはっきりと定まらない不安が長期間つづき、身体的な症状や抑うつなどを伴う病気です。1000人に64人程度がかかる病気とのことで、決して稀なものではありません。

社会不安障害(Social Anxiety Disorder)

人前で何かをする、あるいは逆に一対一で誰かと面談する、といった社会的な状況で強い不安を感じ、こころや身体にさまざまな症状が現れます。

強迫性障害(Obsessive–compulsive disorder )

「何度も手を洗い続ける」「戸締まりや火の確認を度を超して繰り返す」「気になった数字や言葉についていつまでも考え続ける」といった、自分でも不合理だと分かっていてもしないではいられない「強迫行為」によって、生活や仕事に影響が出てきます。

不安障害の克服・改善、不安への対処法

日々のセルフケア

まずは、日々の生活を整えることがセルフケアの第一歩です。
1.バランスのよい食事を規則正しくとる。
2.十分な睡眠をとる。
3.運動をする。
4.カフェインやアルコール、煙草などを取りすぎないようにする。
といったことに注意することで、不安に圧倒されにくくなります。特に運動は、不安障害だけでなく、うつ病や統合失調症といった精神疾患に対しても、予防や改善の効果をもっています。運動はセロトニンなどの神経伝達物質に影響を与え、ストレス反応をやわらげてくれます。また、カフェインはパニック発作を誘発することがあるので、量に注意した方がよいようです。
[運動で心の安定]

リラクセーション

1.穏やかに呼吸する

不安なときには呼吸が浅く、早くなります。過呼吸気味になり、不安発作が誘発されることもあります。意図的に、深くてゆっくりした呼吸をすることで、不安が静まってきます。お腹をふくらませる複式呼吸は、身体がゆったりしたときに活動する副交感神経系を刺激します。
[腹式呼吸][うつや不安をやわらげる片鼻呼吸法]

2.筋肉のリラクセーション

ジェイコブソンが考案した、筋肉の緊張と弛緩を交互に行なうことでリラックスする方法です。身体の筋肉ひとつひとつにぎゅっと力を入れて、それからストンと抜きます。いちばん簡単なのは、両肩をぎゅーっとあげて耳に近づけて、しばらくしたらふうっと息を吐いて肩を落とすというやり方です。
[漸進的筋弛緩法]

不安に気づいて受け入れる

「杞憂」(きゆう)とは、かつて中国の杞という国の人が、空が落ちてきたり、大地が崩れたりするのではとあり得ないことを毎日心配していたという故事に由来しています。ここから、あれこれと無用な心配をすることを「杞憂」というようになったんですね。取り越し苦労とも言いますね。未来は不確実なものです。どうなるか分からない未来のことを無駄に心配するより、今できることに取り組んでみましょう。
日本で生まれた森田療法という心理療法(森田正馬という人がつくりました)では、不安や緊張は取り除くべきものではなく、自然な感情だと考えます。「気にしないようにしよう」「不安をなくそう」と思うのではなく、気になることや不安なことをそのまま受け入れて、なおかつ気分に左右されるのではなく、やるべきことを淡々としていくことで、いつの間にか不安が気にならなくなるというのです。
不安や恐れなどの感情に気づくことができると、感情体験や反応は変化します。次のようなステップで、感情への気づきを練習してみてください。
  1. 過去や未来に注意を向けるのではなく、今ここの瞬間で、不安を十分体験します。
  2. 不安を押さえこもうとか、ポジティブに感じようなどとせず、不安を不安のままに感じてください。同じ不安でも、その瞬間瞬間で、強弱やニュアンスが違うことに気がつくかもしれません。
  3. 不安が減っていったり、どこかへ流れていくならば、そのままにしておきます。新たな不安が出てきたら、またそれを体験してください。

不安思考を変える

不安がさまざまな身体的反応を生むことはすでにお話しました。それだけでなく、不安は思考や行動にも影響を与えます。例えば、学校の友人や職場の同僚とぎくしゃくすることがあったとします。「相手はひどく怒っているんじゃないか」と不安になると、顔がこわばったり、呼吸が浅くなるなどの身体の反応が生じます。そして「きっとこれからもうまくいかないに違いない」「他の人たちにも嫌われるだろう」とネガティブな思考が引き起こされるかもしれません。さらには、顔を会わせたくないから遅刻していく、休んでしまうといった行動も現れることだってあります。こうなると後は悪循環です。休んでしまうとよけいに気まずくて、顔を会わせづらくなります。休んだことをどう思われるかと不安になり、「やっぱり自分なんて必要とされていないんだ」とさらに思考はマイナスの方向に向かいます。
こうなってしまう前に、なんとか悪循環を抜け出さないといけません。
感情反応そのものは、自分で変えるのはなかなか難しいものです。呼吸やリラクセーションなどで、身体反応を変えていくか、あるいは行動や思考を変化させることで、感情にも影響を与えることができます。
認知行動療法では、心に自動的に浮かんでくる「思考」に気づいて、それをより適応的な考え方や捉え方に修正していきます。

不安にチャレンジする

不安なことを避けたくなる、回避したくなるのは、ある意味では当然の心理です。

でも、不安というものは広がっていきやすいもの。

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」

じゃないですが、不安の対象はどんどん広がっていきやすいのです。

「車の事故で怪我をしたから、車が怖くて乗れない」
「自転車だって、車とぶつかるかもしれない」
「バスもだめ」
「電車だって、安全とはいえない」

といったように、不安を感じるたびに回避行動をとっていると、だんだん生活の範囲が狭くなってきて、家から一歩も出られなくなってしまいかねません。

そうならないためには、不安を回避してばかりではなく、不安の対象に向き合ってみるということも必要になってきます。

多くの研究では、不安障害の治療において役に立っていることとして、「不安への暴露」の要因が多いことが明らかになっています。

つまり、不安に直面することで、「意外と平気だった」「最初は不安だったけど、だんだん治まってきた」という体験をすることが、治療や回復・克服につながるということです。

インターネット上のリソース

その他の不安の病気(うつ病と不安の病気の情報サイト)
不安障害〜パニック障害と社会不安障害(ファーマライズホールディングス「薬局新聞」) pdfファイル
社会不安障害(原井宏明の情報公開)

『いじめと探偵』悪質なイジメに対処するためのハードボイルドな方法

公開日: 11/26/2015 いじめ 子ども



阿部泰尚『いじめと探偵』幻冬舎新書、二〇一三
読了。

『カウンセラーは何を見ているか』(信田さよ子、医学書院)

公開日: 11/23/2015 心理学 心理療法

カウンセラーは何を見ているか

図書館で借りて読了。

書店で見かけたときは、この表紙がなんかヤダと感じて手に取らなかったのだ。
少女マンガ風の、白衣を着た若い女性が「カウンセラー」ということらしい。

で、大きく足を組んでいて、思わずスカートの中を見てしまうが、その見ている読者をカウンセラーが「分かってるわよ」的な笑みを浮かべて見ている、という構図になっている(たぶん)。

著者や表紙を描いた人がどれくらい意図的なのかは分からないけど(いや、きっと狙っている)、なんとなくはめられた感がする。

読んでみると、開業心理臨床の苦労や覚悟が語られていて、なかなか興味深い本だった。
「共感」や「傾聴」といった、カウンセリング業界では、「当然のこと」と見なされている概念を、ぽいと放り出してみせるあたりも小気味いい。

精神病院での経験や開業心理臨床の話が書かれている第一部と、筆者の入院体験が中心の第二部のつながりが少しまとまらないとの印象も受けるが、いずれも「見る」「見られる」ことに関わる話だった。

「まえがき」では、とある学会の理事会で、出席者(みな、カウンセラーである)たちの多くが目をつむって話を聴いていることについて、次のように書かれている。
目をつむる理由はおそらくこうだろう。話をする人の顔を見て、ときにはうなずきなら話を聞くという日常の人間関係は、「目をつむる」という行為によって転換される。クライエントにしてみれば、自分を見ていない人に向かって一方的に語りかけることになり、そこに非日常的で特権的な関係が生まれる。その関係性こそが心理療法においては必要だとされるのだろう。もう一つ、クライエントの言葉を聞くためには、見えないほうがいいと考えられているのかもしれない。表情を見ることで、語られる言葉の純粋性が失われる。だから専門家は目を閉じて、クライエントの語る音声だけに神経を集中するのだ、と。いずれにしても、私からは見えない世界に沈潜しているようだった。 
このあたり、フロイトが、「一日に何時間ものあいだ患者に見つめられるのは耐えられない」といった理由で、寝椅子を用いるようになったことを連想させる(カウチを使う理由はそれだけではないだろうけど)。

筆者は「目をつむる」「見ない」ことで、「非日常的で特権的な関係が生まれる」と言うが、「見る」ことだって同じように権力と関係しているのではないか。

この本のもう一つのテーマは、「権力」とか「上下」関係だと言ってもいいかもしれない。

若い頃、精神病院に就職したときのエピソードにも、患者の自由を拘束できる「鍵」を手にしたときの「畏れや不安、そしてわずかの恍惚」が描かれている。

また、クライエントとの「高低関係」については、「ワンダウン」の位置を取って「クライエントを仰ぎ見る立場に徹する」という。その一方で、グループではかなり権威的に指示していて、「カリスマ(となること)を拒まない」と断言するあたりも面白い。

本書で繰り返される「医師」への反発も、「見る」「見られる」ことと「権力」をめぐる戦いのように思えてくる。かつて、精神病院の保護室に取り残され、アルコール中毒で幻覚のある男性患者に見られて震えた体験や、蒼白になった表情を医師に見られた屈辱なども同じような文脈でとらえることができるだろう。

なんてことを考えると、この本の表紙は「見る」「見られる」にまつわるパワーゲームを端的に表現しているわけだ。

「いい夫婦の日」奥さんのへそくりは旦那の倍!? 夫婦関係や幸福度を見る心理テストなど

公開日: 11/19/2015 心理テスト 心理学


11月22日は「いい夫婦の日」だそうです。

明治安田生命が、
「いい夫婦の日」に関するアンケート調査(pdf)
を実施したとのこと。

調査の結果から、興味深い項目をいくつか抜粋。
「愛情を感じている」夫婦と「愛情を感じていない」夫婦では、平日の会話時間で 約3.4倍の差! 
コミュニケーションは大事ですね。
夫婦を漢字一文字で表すと、トップは「忍」!次いで、「愛」!
愛と恋の違い、なんてのが話題になることがあるけれど、愛の方がより長期間にわたる責任感をともなっている。

  1. なんでヒトがこんな観念を進化させたのかを考えてみる。
  2. 二足歩行と脳の進化。
  3. 小さく生んで大きく育てる戦略のために未熟な状態で生まれる。
  4. 育児期間が非常に長くなる。
  5. 乳児と母親を守り、食べさせるために、家族の機能が重要になる。
  6. ようするにお父ちゃんが安全と食料を確保しなくてはならないため、「愛」という観念で結びついた家族が生まれる。

といった流れかな、と考えられる。もちろん、現代社会における「家族」が、これと同じような役割分担でなければならないというわけではないが、愛には忍耐や責任感が含まれているのは変わらないだろう。
夫婦のおこづかいは5年連続で減少するなか、妻のランチ代はちょっとリッチに 夫の約1.4倍!
 妻のランチ代はおこづかいに入るのだろうか。夫は牛丼などですませて、夜の飲み代に回したいという人が多いような気がする。

妻のへそくりは夫の倍

妻のへそくり金額は減少していますが、それでも夫のへそくり金額の約2.2倍と、妻 はいざというときの備えとして、家計をやりくりしながら、しっかり貯めようとしてい るようです。
へそくりの平均額は、夫が58万9058円、妻が126万8446円(!)とのこと。その目的は「いざというときのため」が7割とトップを占めるが、夫は「趣味のため」、妻は「将来のため」という回答が多かったという。

理想の有名人夫婦

理想の有名人夫婦として選ばれたのは、
第一位が「三浦友和・山口百恵」で、
第二位に「佐々木健介・北斗晶」が挙げられている。「病気になってもその病気に勝てる程の愛が見えたから」との理由だって。20代〜40代の人たちに限れば、「佐々木健介・北斗晶」が一位だった。


夫婦関係を見る心理テスト

ついでに夫婦関係に関する心理テストなどを調べてみた。

ASTWA(Addictions Screening Test for Wives of Alcoholics)
妻による夫婦関係チェックテスト
というテストが見つかった。
アルコール依存の夫をもつ妻から見た夫婦関係のチェックのようだ。
「わたしは夫の世話を焼いていないと、不安になったり、物足りない気持ちになる」
といった、共依存を見るらしい項目がある。

夫婦関係度テスト
吉田病院という広島の精神科の病院にあったテスト。
他にもいろんなテストがあった。

夫婦間ディスタンスチャート診断
夫婦の距離感を見るものらしい。
試してみたら、「織姫と彦星の距離。14光年」と出た・・・。
ガックし。でも質問、ちょっとしかなかった。

結婚の幸福度指数『QOM』
こちらは80問の質問に答えて、Quality of Marriage(結婚の質)を測る。
婚活支援のサイト。

あなたはいい奥さんになれる? 結婚後の「夫婦円満度」診断
こちらは、「鍋パーティで、あなたはどの役割をしますか」といった質問から、将来の夫婦円満度を見る心理テスト、というか心理ゲームですね。


動物の絵で心理テスト。「雌牛」の絵であなたの性格が分かるのだ!

公開日: 11/17/2015 心理テスト 心理学

前に豚の絵を描く心理テストを紹介しましたが、今度は「雌牛の絵」を描くことで、性格や深層心理が分かる!という心理ゲームです。

こんなの。

雌牛の絵心理テスト

Cow Personality Test

白紙を一枚用意して、そこに一頭の雌牛の絵を描いてください。

一頭、全身です。一分くらいで描いてください。
描き終わるまで、この先を読まないでください。





意思の力! チンパンジーだってマシュマロテストに合格:満足を延期させる能力について

公開日: 11/15/2015 心理学


サイコロジー・トゥデイで、「チンパンジーがマシュマロテストに合格」という実験が紹介されていた。

Chimpanzees Pass the Marshmallow Test|Psychology Today

マシュマロテストとは、ウォルター・ミシェルらによって考案された「満足を遅延させる能力」を測る心理学実験だ。

すぐに満足を求めるのではなく、将来を見越して今は我慢すること。
大人になって成功するには、こうした能力が必要になる。
後々のより大きな報酬のために、すぐに得られるけれども小さな報酬をあきらめることは、日常生活でもしばしばあるだろう。
「お昼からワイン飲んでゴロゴロしたくても、夕方までは我慢して仕事しよう」
といった姿勢がないと、社会生活を送るのは難しい。

この能力は、子ども時代からだんだん発達していくものだ。

ミシェルらの実験は、満足の遅延に関する子どもの能力を測定しようとしている。

実験者はテーブルに座った子どもの目の前にマシュマロをひとつ置く。

「今すぐこのマシュマロを食べたっていいよ」
「でも私が戻ってくるまで待てたら、一つだけじゃなくって、二つマシュマロをあげる」

実験者は部屋を出るが、隠しカメラで子どもの様子をうかがう。

残された子どもは、「すぐに食べたい」と「がまんしたら二つもらえる」というふたつの気持ちで葛藤して、においをかいだり、ちょっとかじってみたり。



本人たちは悩んでるんだろうけど、見ているとほほえましいですね。

この実験からミシェルらが発見したのは、次の2点。

ひとつは、4歳の時点でのマシュマロテストの成績が、その先の人生の結果を予測するということだ。学校での成績や、キャリアの成功、大人になってからの健康まで予測できるという。

もうひとつの発見は、子どもたちがどのようにこの課題に取り組むかということ。
失敗する子は、触ったり持ったり、味見してみたりと、マシュマロに注意を向けすぎる。

マシュマロテストに合格する子どもたちは、マシュマロから気をそらそうとしている。別のところを見たり、目をつぶったり。そうやって注意をそらすことで、後でより多くの報酬を得ようとしているというわけだ。

将来のより大きな報酬のために、目の前の満足を延期するという能力は、これまで人間に特有のものと考えられてきたけれど、この記事で紹介されている研究によると、チンパンジーにも同じような能力があることが分かったという。

Beran, M. J. (2015). Chimpanzee cognitive control. Current Directions in Psychological Science, 24, 352-357.
「チンパンジーの認知統制」というタイトルの論文が紹介されていた。

ジョージア州立大学の心理学者Michael Beranが、チンパンジーもマシュマロテストをパスすることができることを明らかにしている。チンパンジーたちも、目の前の報酬から注意をそらすような活動をするのだそうだ。

Beranらは、チンパンジーを訓練して、特別な食料取り出し装置を使えるようにした。チンパンジーが食料をがまんして取り出さない時間が長ければ長いほど、後でたくさん食料ペレットが出てくるという仕組みだ。マシュマロテストのチンパンジーバージョンですね。


食料取り出し装置が目に入る場所にあると、チンパンジーはクレヨンだとか雑誌で気晴らしをする行動が増えたんだという。チンパンジーが雑誌で何をしたんだかよく分からないけど(彼ら/彼女らも、雑誌をぱらぱら眺めてみる、ということくらいはするのでしょうか)。

目に入らない場所にあると、そうした行動は減ったとのこと。

この結果から、Beran らは、チンパンジーは自身の心的プロセスについてなんらかの自覚をもっているのだと考えた。

自身の心的プロセスへの気づきのことを、心理学では「メタ認知」と呼ぶが、チンパンジーもこうした心の働きをもっているのだろう。


消費者金融の広告と心理学

公開日: 11/14/2015 いろいろ 心理学

ネットサーフィンしていてたまたま目に留まった記事。



以前、かわいいきりんが首をさげているイラストに「きんり、さげました」というキャッチコピーがそえられている消費者金融のポスターを見て「うまい!」と関心したことがある。いわゆるサラ金の広告ですね。

出典:MUITO JAPAO
そうそう。こんなのでした。

きんりときりんを空目するように作ってあって、かわいくて親しみやすい印象を与えるようになっている。

上記の記事では、消費者金融がたくさんCMを流す理由として、心理学でいうところの「ザイアンスの法則(単純接触効果)」が取り上げられていた。
これは本来親しまれにくい会社ほど重要です。お金を貸してその利息で儲けている会社が、親しみやすいCMを打つのは当たり前のことなのです。
というわけらしい。
あの手この手を使って、心理的なハードルを下げようということだ。
「こんなにたくさんCMを出せるということは、よほど儲かる商売に違いない。つまり借りた人からずいぶん利息を取っているのだろう。自分は同じところには立たないぞ」
と考えて用心しましょうとのアドバイス。

消費者金融の広告は、1970年代くらいからあったらしいが、90年代になって積極的にテレビなどでCMが流れるようになった。

2010年に倒産した武富士のCM。武富士ダンサーズという名前のグループが踊っていましたね。「こっそりお金を借りる後ろめたさ」なんてのを吹き飛ばすようなダンスで、消費者金融のイメージをずいぶん変えたんじゃないでしょうか。

どうするアイフルのあのチワワ犬がCMに登場したのが、2002年でした。
あのチワワ、「くぅ〜ちゃん」というんだって。

こちらはコミカルでほんわかした表現で、消費者金融のイメージを変えて間口を広げることに成功した。

消費者金融=怖い、怪しい
といったイメージをもっている人が多かったとする。
そこで
チワワ=かわいい、親しみやすい
という無条件刺激(になるのかな)
と「どうするアイフル」
を対提示することで、次第に
アイフル=親しみやすい
といった条件づけが形成される、ということになるでしょうか。

2005年くらいから、弁護士連合会などからCMの規制を求める声が上がり、無難な感じになっていったという記憶がある。


紙と鉛筆があればできる!飲み会などでわいわいやると面白そうな心理テスト

公開日: 11/12/2015 心理テスト

海外のネットで見つけた「心理テスト」。

ワルテッグ描画テストとか、誘発線法などに似ていますが、こちらはお遊びです(臨床で実際に用いられているものと何が違うのか、と聞かれると考え込んでしまうけど)。

paperblog

教示

  1. それぞれのボックスに、最初に思い浮かんだ絵を描いてください。
  2. 描けたら、それぞれに形容詞をつけてみてください。お話をつくる必要はありません。

結果

それぞれのボックスには意味があります。

上から一列目の左は、「あなたが自分をどう見ているか」を表しています。
右側は、「他の人があなたをどう見ているか」ということです。

上から二列目、左は「あなたの子供時代」、右は「あなたの愛情生活」を表しています。

いちばん下の列の左側は「あなたの仕事」を、右側は「あなたの未来」を意味しているのです。

ほんまか。

セサミストリートに自閉症スペクトラムの女の子が登場

公開日: 11/10/2015 子ども 発達障害

People

セサミストリートでは、これまでも盲目のキャラクターが登場してビッグバードに点字を教えるなど、障害や病気といった問題を子どもたちが理解しやすくなるような取り組みをしてきました。
南アフリカ版のセサミストリートではHIV陽性のキャラクターも登場したことがあるのだそうです。

この秋、自閉症スペクトラム障害をもったジュリアという女の子が、エルモの新しい友だちとして現れることになりました。

セサミストリートとアメリカの自閉症支援団体などと共同で行っている「どの子も素晴らしい」というキャンペーンの一環とのこと。
Sesame Street and Autism: See Amazing in All Children
というサイトには、デジタル絵本や動画などが掲載されていました。


歯磨き粉の使い方から性格が分かる心理テスト(けっこう当たってるかも)

公開日: 11/08/2015 心理テスト

歯磨き粉の使い方から性格が分かる心理テストだそうです。

Steve in a Speedo?! Gross!

左から、

  1. 衝動的でにぎやかなのが好き
  2. 倹約家でうつっぽくなりがち
  3. 頑固で物覚えが悪い
  4. 反社会的で息が臭い

というパーソナリティ特徴をもっている、のだそうです。

4番の人から「歯磨き粉新しいのにしたばかりなだけだって」という言い訳が聞こえてきそうです。

自分の歯磨き粉がどうなってるか思い返してみたところ、1番もしくは3番の形になっていることが多いようです。

恋人の家にお泊まりしたときにでも、こっそり確認してみてくださいな。

うわさを信じちゃいけないよ! 火星人の襲来、あるいは群衆、パニック、デマの社会心理学

公開日: 11/06/2015 心理学


わたしたちは、実社会でもネットでも、毎日たくさんの「うわさ」に触れている。
「情報」だと思っていても、その実、それはうわさに過ぎないことだって、多々あるだろう。
真贋定かではないうわさに影響されて右往左往して慌てたり、間違った判断を下すことだってある。

「うわさ」って何だろう?

社会心理学では、うわさや流言と、デマは次のように区別されている。
「うわさ(流言)とは、情報が客観的事実かどうかを検証されることなく伝達されていくこと」だ。
一方、デマ(demagogue)は、意図的に情報が歪曲されたり、捏造されたりすることを意味している。

いずれも、社会的な緊張や不安が高まっていて、同時に情報が不足しているような状況で、広がりやすい。

心理学者のオールポートは、流言やデマの強さ(R)は、重要性(i)×曖昧さ(a)に比例すると考えた。

公式にすると、

Rumor=importance×ambiguity

ということになる。

その人たちにとって重要で、かつ曖昧であるほど、うわさは広がりやすい。

東日本大震災のとき、原発と放射能に関してたくさんの情報が広がったのも、こうした理由から説明できるだろう。
(放射能は、目に見えずに曖昧であるにも関わらず、私たちの命に関わる重要な事柄だ。真実かどうかは、社会心理学では検証できないけれど)

オールポートは、地下鉄で黒人の男と白人の男が言い争っている絵を呈示し、伝言ゲーム的に伝達してもらう実験を行なった。
絵では、白人の手にナイフ(カミソリ?)が握られているのだが、伝達されるうちにいつのまにか黒人の手にナイフがあったことに変化していたという。
うわさが広がる(伝達される)うちに、情報の歪曲が生じるという例証として取り上げられることのある実験だ。
Allport and Postman (1947)
こうした結果については、オールポート自身の偏見などが反映された実験ではないかという批判もある。

「火星人襲来」によるパニック(オーソン・ウェルズによるラジオ放送)


1938年、アメリカのあるラジオ局で、「火星人の襲来」というラジオドラマが放送された。

原作は、H.G.ウェルズの『宇宙戦争』で、2005年にはトム・クルーズ主演の映画も公開された。

さて、1938年のラジオ番組のナレーターは、当時23歳だったオーソン・ウェルズ(最近では、英語教材の『家出のドリッピー』のナレーションもしている)。
音楽の放送を突然中止して、火星人たちがアメリカを襲来したという「臨時ニュース」を流したため、多くの人々が本当の話だと信じてパニックに陥ったという事件だ。

心理学で「うわさ」や「デマ」がテーマになるときに、しばしば言及される出来事である。

多くの人々が車で逃げ出そうとしたため、大渋滞が引き起こされ、「火星人に殺される」と自殺しようとした人まで出たらしい。
結局、100万人近い人々がパニックに巻き込まれた。

この事件の後、真実を知った大衆は怒ってラジオ局に押し寄せて、オーソン・ウェルズはあやうく殺されそうになったらしい。

ラジオ番組も命がけだ。

パニックや不安障害を擬音語・擬態語を使って克服する(内部感覚エクスポージャー)

公開日: 11/04/2015 心理学 心理療法 認知行動療法 不安


パニック障害について調べていたら面白い論文を見つけた。

不安障害治療における行動療法でオノマトペがなぜ有用か? 内部感覚エクスポージャーにオノマトペを用いた実践報告|人工知能学会論文誌

なぜに人工知能学会で不安障害の行動療法が取り上げられたのかも興味深い(「オノマトペの利活用」という特集らしい)。