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『オープンダイアローグとは何か』(斎藤環著+訳、医学書院)

オープンダイアローグとは何か

『オープンダイアローグとは何か』(斎藤環著+訳、医学書院)を読んだ。「オープンダイアローグ」とは、フィンランドで実践されている対話を中心とした新しい統合失調症の治療法のことだ。要請があれば24時間以内に精神科医や看護師、ソーシャルワーカー、心理士などがチームを組んで訪ねていき、患者と家族、その他重要な人々と車座になってとことん対話をするのだ。必要に応じて、毎日でも開かれた対話を重ねていく。

 

オープンダイアローグは、統合失調症などの精神的危機にある人への治療として、従来の(投薬と入院中心の)治療方法よりも治療成績がよい。2年間の予後調査では、入院期間や再発率が大きく低下し、82%の患者で精神症状はごく軽いかほぼまったく見られないという。




本当だったらすごいことだけど、これまで行なわれたアウトカム研究はまだ少なく、研究デザインも十分ではない、限られた地域以外での追試験がおこなわれていないので、いまだ実験段階の治療だとの意見もある()。


オープンダイアログ実践のための12項目

オープンダイアローグを正しく実践するためのポイントとして、次の12項目が挙げられている。
  1. ミーティングには2人以上のセラピストが参加する
  2. 家族とネットワークメンバーが参加する
  3. 開かれた質問をする
  4. クライエントの発言に答える
  5. 今この瞬間を大切にする
  6. 複数の視点を引き出す
  7. 対話において関係性に注目する
  8. 問題発言や問題行動には淡々と対応しつつ、その意味には注意を払う
  9. 症状ではなく、クライエントの独自の言葉や物語を強調する
  10. ミーティングにおいて専門家どうしの会話(リフレクティング)を用いる
  11. 透明性を保つ
  12. 不確実性への耐性 p.46-7
リフレクティングというのは、専門家どうしが患者や問題について会話している場面を、当事者や家族が聞くという、家族療法の手法だ。普通、専門家どうしのミーティング、などは当事者抜きで行なわれることが多いが、それって実はもったいないことなのかもしれない(「当事者」なのに抜きというのはそもそも変だ)。

治癒は廃棄物

面白い表現だなと思ったのは、「治癒はオープンダイアローグというシステムの”廃棄物“として生成する」という言葉。治癒は雲古みたいなもの、ってこと? ルーマンの社会システム論だとかオートポイエーシスの考え方などに基づいていてちょっと難しいところもあるけど、「治癒」を目的とするのではなく、「対話」をつないでいくことこそが目標なのだという視点は重要だろう。

映画『開かれた対話』

オープンダイアローグをテーマに作成されたドキュメンタリー映画『開かれた対話』は、現在Youtubeで全部視聴することができる。


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