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人狼ゲームと嘘の心理学、嘘のつき方と見破るコツ

ワンナイト人狼

連休中に旅行した夜に、子どもたちと「ワンナイト人狼」というゲームをした。ご存知の方も多いだろうけれど、参加者の中に何名か「人狼」が紛れ込んでいるので、皆で話合って誰が人狼かを当てる、という遊びである。専用のカードなども売られているが、トランプで十分代用できるし、なんだったら適当な紙に手書きで「狼」などと書いて使っても問題ない。




以下、小学生くらいからできるワンナイト人狼の紹介と、「嘘の心理学」についてのエッセイです。誰かの嘘を見破るコツを知りたい方、上手に嘘をつきたい方、およびその心理学的考察について、よかったらごらんください。


遊び方は、
に詳しい。

トランプの場合は、ジョーカーが人狼、クイーンが占い師、ジャックが怪盗、それ以外が村人、ということにするのがよさそうだ。

人狼2枚、占い師と怪盗がそれぞれ1枚、後は村人で、総枚数が参加者プラス2となるように村人の数を調節する。

何度かやると、小学生でもルールは理解できるしとても盛り上がるので、気軽に試してみてください。

嘘をつくことと心の理論

さてこのゲーム、何が楽しいかというと、本当は人狼なのにそしらぬ顔をして、あわよくば別の参加者が人狼だと皆に思わせるといった心理的なかけひきである。
言わば、上手に嘘をついて他人を陥れるほど、うまくいったということになる。

上手に嘘をつくためには、
  1. 本当のことを言わずに黙っておけること。
  2. 嘘と真実の区別ができること。
  3. 他の人が何を知っているか(知らないか)を推測できること。
といったことが必要となる。

最初の、言わずに黙っておけるというのは、"not Go" 課題なので、自分の言動をどれくらい抑制できるかという能力を表しているといえるだろう。

2番目の、嘘と真実の区別は、ごっこ遊びなどでも必要な能力だ。3歳頃から始まるが、その年齢ではまだ「相手からはどう見えるか」ということは、うまく想像できない。

3番目の「他の人が何を知っているか(知らないか)を推測できる」能力は、発達心理学で「心の理論(Theory of Mind)」として研究されてきた。


「心の理論」とは、「チンパンジーは心の理論を持つか?」("Does the Chimpanzee Have a "Theory of Mind")という論文で霊長類学者のプレマックとウッドルフによって提唱された視点である。彼らは、チンパンジーなどの霊長類が他の個体が何を考えているかを推測しているかのような行動を取ることに注目し、そうした機能を「心の理論」と名づけた。

霊長類学者や心理学者たちは、チンパンジーやヒトが「心の理論」をもっているかどうかを知るためには、他の個体の「誤信念」を理解しているかどうかを確認すればいいと考えた。そこで考案されたのが一連の「誤信念課題(False-belief task)」である。

しばらく前に紹介した「サリーとアンの課題」もこの誤信念課題である。これは、一般には4歳くらいで正解できることが多いと言われている。「心について考える力」は、だいたい4、5歳くらいから発達してくるようだ。

前にも紹介したかもしれないが、『チンパンジーの心 』(松沢哲郎著、岩波現代文庫)という本には、チンパンジーが他の個体を騙して食料を手に入れようとするかけひきについて、詳しく描かれていた。

チンパンジーの群れのうち、1人だけ(仮に太郎と名づける)にバナナの隠し場所を教えて、それから檻の戸を開けると、そのチンパンジー太郎は駆け出してバナナを食べてしまう。他のチンパンジーは、あっけにとられてそれを眺めるしかない。
けれども、もう一度同じことをすると、今度は他のチンパンジーたちも太郎の後を追いかけて駆けていく。太郎がバナナの隠し場所を知っているということを知ったからだ。
こういう実験を何度か繰り返すと、足が速かったり、あるいは力の強いチンパンジーが太郎からうまいことバナナを奪い取る機会も生まれる。
すると太郎は、今度は他のチンパンジーたちの「裏をかこう」とするようになる。
何気なくバナナの隠し場所とは違う方向に歩いていき、みながそちらに集まったときに反対方向にダッシュするとか、そういった駆け引きだ。
他のチンパンジーたちも、「裏の裏」を読もうとしはじめて、高度な心理戦が繰り広げられるというわけだ。これには、他者の心の状態を推論するという、心の理論が必要になる。

人狼ゲームでは、たとえば人狼は「実は自分は人狼だけれども、こんなふうに発言すれば相手は自分ではなくて他の人がそうだと誤った信念を抱くであろう」といった推測に基づいて、発言することで他者をコントロールしようとする。

村人は「あの人がああいう発言をしているのは、自分にこのような誤った信念を抱かせようとたくらんでのことではないか」などと裏(や裏のまた裏)を読みながら、誰が本当の人狼かを探ろうとする。

今回のメンバーには5歳児がいたのだが、人狼は「サリーとアン」よりは高度であるようで、目をつぶったらすぐに「俺、狼やで!」「うららいしや!」と大声で言うのでなかなかゲームにはならなかったのでした。

人狼ゲームは言葉だけでやる鬼ごっこみたいなものなので、幼い子が鬼ごっこで隠れていられないのと同じなのだろう。

以下は、ワンナイトではない人狼ゲームのルール説明動画。


研修や人間関係トレーニングに使える人狼ゲーム

人狼ゲームは、新人研修や採用時の人柄の見極めなどにも用いられているようだ。人間関係の距離感だとか、上手なコミュニケーションを学ぶためのツールとしても役に立つと思う。
いろんな形の研修があると思いますが、人狼ゲームのいいところは“スピードが早いところ”です。何かを一緒に作れと言われたときに、たいていがみんなでお見合い状態になって、誰がリーダーシップをとるかなど役割分担がなかなか決まらないケースが多いですよね。それと比べて、人狼ゲームは目的が明確です。この中に悪いやつがひとりいて、それを洗いださないと自分たちが脱落していくという展開がスピーディーに進むので、相手の真偽を見定めるためのコミュニケーションを早める効果はあると思います。“人狼ゲーム 企業が採用試験や新人研修で採用する背景を解説
ゲームの後で、お互いのパーソナリティ傾向などについてフィードバックしあえば、心理学のワークショップにもなるだろう。

嘘を見破る方法、あるいは上手に嘘をつくコツ

ついでに、相手の嘘を見破る方法と上手に嘘をつくコツについて、心理学的な観点から(うそ)書いておこう。

嘘を見破る方法

NLP(神経言語プログラミング)でよく言われるのは、嘘をつくとき人の目線は左上を向くことが多いということだ(右利きの場合)。構成されたイメージにアクセスしているときに左上を見ることが多いのだそう。嘘をつくというのは言語的な作業なので、左脳が活性化する。そのときには右に視線が泳ぎやすい、という理屈らしいが、さてほんとうだろうか。嘘をついているときには、視線がきょどきょどするのは、経験上確かだと思うけど。

顔や口を触る(隠す)とか、手を隠す、なんて動きもよく見られる。話題を変えようとするとか、あいまいな返事をするときもあやしいだろう。声のトーンが変わる人もいる。

「友だちと飲みにいったって言ってたけど、どこで飲んだの? 食事はおいしかった? へえ、男友達とワインなんて飲んだんだ。なんていうワイン?」などと、詳細を尋ねていくとボロがでやすい、というのは古来より知られているワザでしょう。上級テクとして、カマをかける、という方法もある。

上手に嘘をつくコツ

嘘はひとつだけ、というのが原則なようだ。いくつも嘘をつくと、つじつまが合わなくなってボロを出してしまう。かつ、できるだけシンプルな嘘をつくことが肝心だろう。盛り込みすぎると同じくボロが出る。

だいたいにおいて、女性の方が嘘は上手なようで、それは記憶力がいいからだとか、マルチタスクが男性よりも得意だから(ある事実を隠しながら、別の会話を楽しく続けるなんて、なんと高度なワザでしょうか)などと言われている。

***
本格的な人狼ゲームを子どもと遊ぶには、「はじめての人狼」がかわいいデザインでおすすめです。『人狼ゲームで学ぶコミュニケーションの心理学』も面白かった。



はじめての人狼

はじめての人狼

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