児童虐待の時効見直し=性的被害対象、成人時まで停止

公開日: 5/10/2015 トラウマ 虐待 心理学

児童虐待の時効見直し=性的被害対象、成人時まで停止

というニュースを読んだ。虐待サバイバーの訴訟が、時効により却下されたことなどへの異議を受けてのことだと思う。
 厚生労働省によると、2013年度に全国の児童相談所に寄せられた相談件数のうち、性的虐待は全体の2.1%にとどまる。性的虐待の実態に詳しい寺町東子弁護士によると、幼い被害者が虐待の意味を理解するのは早くて思春期以降。加害者が親や兄弟、親族の場合、相談相手もいないことから、表面化していない虐待もあるという。
 さらに成人後、虐待を原因とする心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを発症しても、既に民事で損害賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)、刑事で公訴時効(強制わいせつ罪7年)の期間がそれぞれ経過していれば、被害者が「泣き寝入り」するしかないケースもある。
幼少期〜児童期の虐待体験は、子どもの心と脳に大きな影響を与える。青年や成人になってからも、精神的な問題やパーソナリティ、対人関係の問題などの要因となりうる。

 これまでの研究では、子ども時代の虐待やトラウマは、青年や成人になってからも、抑うつや不安障害、非行や犯罪などの行動化を引き起こすリスクファクターであることが示唆されている。
多くの被虐待児は大人になれば逃れられ、自由になれるという希望にしがみついている。しかし強要的コントロールという環境の中で形成された人格は成人の生活によく適応できない。児童虐待経験者は基本的信頼、自立およびイニシアティヴに基本的な問題を積み残したままである。児童虐待経験者は自己管理、認知と記憶、自己規定および安定した人間関係を形成する能力に大きな欠陥があるというハンディキャップを負って、自立と親密関係とを確立するという成人期初期の仕事に近づく。児童虐待経験者は依然その児童期に囚われている人である。新しい人生を築こうとすると外傷に再会してしまう。
ジュディス・ハーマン『心的外傷と回復』みすず書房、1999年、172頁
3歳から8歳まで叔父から受けた性的虐待。札幌高裁は「魂の殺人」の主張を容れ被害者の請求、大半を認める

という去年の記事では、1994年9月の判決について報告されている。
地裁判決が民法の形式的な解釈に留まっていた一方で、高裁判決は真に保護すべきもの、つまり被害者の人権を考慮し、損害賠償を請求できなくなる「除斥期間」の開始時期を、精神障害の発症時期と解釈しました。子どもの人権や性虐待被害者の救済という観点から、これは、画期的な判決と言えます。
家庭内で反復される虐待にさらされた子どもは、ある意味でその環境に「適応」することで自分を守ろうとする。成人するまでは、家庭外からの目では大きな問題は見られないくらい「良い子」であることも多い。家から出て、新たな環境や対人関係に踏み出して初めて、これまでの(偽りの)「適応」が崩れて症状や問題が明らかになることもしばしば見られる。こうしたことを考えると、「除斥期間」の開始時期を精神障害の発症時期と解釈するのは妥当だろう。



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