詐病の見破り方、「幽霊が見える」のが本当かどうかどうやって判定するの?

8/28/2015

精神医学

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詐病と幽霊

「幽霊が見える」歌手キム・ウジュ、控訴審で懲役1年確定!

なんてニュースを見かけた。
韓国のヒップホップ歌手が、徴兵を逃れるために「幽霊が見える」といった症状を精神科医に訴えていたとのことで、しばらく前から問題視されていたらしい。


担当した精神科医は、「幻視、幻聴、不眠症などに苦しんでいる」とみて1年以上の薬物治療と精神科治療が必要だと診断」したという。




裁判になって、「2年以上精神科医に精神病を患っているかのようにうそを付いた」「他の兵役義務者との公平性を考慮すると、厳重に処罰する必要がある」とのことで、けっきょく懲役1年が確定されたという。

徴兵制なんてのがあるのがそもそも問題なんじゃないか、軍隊に行くのが嫌な人がいたって当然だ、と思わなくもないが、それはそれで置いておく。


簡単に騙される精神科医?

きっと裁判では精神鑑定などになり、検察側の医師も診察して、「詐病」と判定したのだろうけれども、どのように見破るのだろうか?

しばらく前には日本でも、佐村河内守という人の詐病が話題になった。

真偽は定かではないが、オウム真理教の麻原彰晃が刑務所で詐病を演じているのではないか、といったことが噂されることもある。

映画『カッコーの巣の上で』では、ジャック・ニコルソン演じる主人公のマクマーフィーは、刑務所から逃れるために詐病によって精神病院に入院してきた。そして薬を飲んだふりをしてごまかして、病棟のルールに片っ端から反抗したのだった。

Dr 林のこころと脳の相談室では、
【2882】簡単に騙される精神科医は悪意を持った者に利用されるのでは?
という質問に対してこんなふうに回答されている。
常の精神科の診察において、詐病を見抜くという技術に関して、現代の精神科医は不十分であるということは言えると思います。その背景には、(・・・)かつては精神科の病気であると診断されることの不利益があまりに大きかったため、詐病をする人は少なかったという事情があります。けれども時代が変わり、通常の精神科の診察においても、詐病を見抜く技術がおおいに求められる状況になってきているといえるでしょう。

詐病の危険信号

そして、malingering red flagという詐病を見抜くポイントが紹介されていた。
具体的な中身を検索してみると、次のようなことらしい。


ええと、「詐病を疑うレッドフラグ行動」だって。
  • あいまいな応答(例:「分かりません」といった反応が多すぎる)
  • 過度にテクニカルな用語を使う(例:「命令幻聴」)
  • 特定の薬を要求する
  • 症状を熱心に、あるいはドラマチックに暴露する
  • にわかに現れた心の病気や人生の後半(50代、60代、70代)に発症した精神病症状の訴え
  • 自傷や暴力、訴訟などに左右され、条件づけられた怖れ
  • 面接をコントロールしようとする試み
  • 精神症状(例えば精神病)と認知機能障害(例えば記憶障害)のいずれもがあると言い、それを示そうとする

幻聴の典型的/非典型的特徴

続いて、「幻覚の典型的、そして非典型的特徴」が挙げられている。


  • 男性の声ですか? 女性? どちらも? 統合失調症の人々の75%は両性の声を聴く
  • 声はあなたの頭の中からですか? 外からですか? 統合失調症の患者の88%は声は頭の外から聞こえると報告する
  • 別の言語の声を聴いたことがありますか? 実際の幻聴の98%はその人の母国語で話されている
  • 何かで声をやわらげることはできますか? 統合失調症の人の70%は幻聴を小さくするためのコーピングストラテジーを用いることができる
  • 声ははっきりしていますか? それとも聞き取りにくいですか? 幻聴の93%は明確で一貫している


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