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6月, 2015の投稿を表示しています

動物の絵を描く心理テストであなたの深層心理が露わになる(かもしれない)

動物象徴テスト 動物象徴テスト( The Animal Metaphor Test )とは、 Albert Levisによって考案された投映法心理テストだ。 ロールシャッハ・テストやTAT(絵画統覚検査)と違って、検査者がアセスメントする目的というよりは、描き手が描きながら自分の心のなかで起こっている動きに気づくためのツールといった色合いが強い。 ロールシャッハ・テストでは、動物が何かしらの動きを示しているという反応は、その人のパーソナリティのもっとも基本的な欲求のあり方などを表していると考えられている。 だとしたら、動物の絵はあなたのどんな深層心理を表しているのだろう? Self Awareness Test : The Animal Metaphor Test に従って、手順を紹介してみたい。 まず、画用紙を1枚とクレヨンや色鉛筆などを用意してください。 手元にないって? だったら、 art.com などのオンラインエディタでお絵かきしてみましょう。

「おしゃべり用心理ゲーム」おすすめ三選。「3つの願い」「輪廻転生」「真珠採り」

『おしゃべり用心理ゲーム』(パキラハウス、角川文庫)というちょっとした心理ゲームで会話を楽しもうという本があった。臨床場面で使われることのある「心理テスト」にも、テストというよりは「おしゃべり用心理ゲーム」といった方がぴったりするものもある。いくつか取り上げてみたい。

『PTSDとトラウマの心理療法-心身統合アプローチの理論と実践』(バベット・ロスチャイルド)

バベット・ロスチャイルド『 PTSDとトラウマの心理療法-心身統合アプローチの理論と実践 』久保隆司訳、創元社、2009年 を読んだ。絶版らしいのはもったいないので、ぜひ再販してほしい。 PTSD(外傷後ストレス障害)やトラウマと呼ばれる症状が、心因性だけではなく身体の症状ももつ病気であることは、現場の臨床家にはよく知られている事実である。しかしこれまで、伝統的な言葉による心理療法と身体に働きかける心理療法の二つを統合するようなアプローチは、ほとんど紹介されてこなかった。本書は、そうした心身両面からのアプローチと、さらに理論と臨床実践を巧みに結びつけることで、トラウマを抱えるクライエントを援助するためのヒントを数多く提供する。 伝統的な心理療法は、Talking cure(お話療法)と呼ばれていたことからもわかるように、言語化することや知ることに重点が置かれていた。しかし、トラウマに関連する症状は、なかなか言語化するのが難しいばかりか、言葉にしようとするとフラッシュバックの引き金となって、トラウマの再体験につながってしまうことさえある。 トラウマやPTSDに関連する症状は、大きく次の3つに分けることができる。 (1)多様な感覚器官における出来事の再体験(flashback) (2)トラウマを思い出させるものの回避 (3)自律神経系における慢性的な過覚醒状態 (1)と(2)は、身体と深く結びついた症状だといえる。トラウマは心理生理的な体験であり、「増大した覚醒(arousal)」が持続するのがその症状の中心にある。心理的な支援においては、生理的なレベルの過覚醒を抑えつつ、感覚表現が統合される必要がある。 トラウマを抱えたクライエントにとって、これらの身体的感覚がまさに制御できない非常に強い感情を生み出している混乱の核であるとするならば、私たちの療法は、クライエントが自分自身の身体から逃げ出すことなくそこに留まり、自らの身体感覚を理解できるよう手助けするものでなければなりません。べセル・ヴァンダーコーク 未解決のトラウマは、自律神経系の過覚醒によって心身に大きな圧力がかかった状態に例えられる。蒸気でいっぱいの圧力釜のようなものだ。下手に開けると爆発してしまう。少しずつ、空気を抜いて圧力を下げていかなくてはいけない。そのために重要な...

数唱と語音整列の乖離は何を意味しているか?

WAISの数唱と語音整列について、この二つに乖離があったらどう解釈されるんだろうかと思って調べてみたメモ。どちらも作動記憶(ワーキングメモリー)に含まれる下位検査だが、いくらか性質が違う。両者の相関は、中程度くらいだったと思う。 数唱 vs 語音整列 Digit span versus letter number sequencing とある海外の掲示板(?)でのやりとり。 一方が他方よりも高得点だった場合、どんな風に説明できるかな? どっちも順番に配列することが含まれているし、ほとんどの人が順序を操作するために聴覚的記憶を使ってると思う。けど、4点以上の乖離(discrepancy)があった場合は? 実施したばかりのアセスメントを詳しく考えてみると、言葉の受容と表出が明らかに難しいケースだったけど、視空間スキルと処理速度はまったく問題なく保たれていた。-Miriam という問題提起に対するスレッドのようだ。 私も以前に何度か同じようなパターンに出会ったことがあって似たようなことを考えたことがあるけど、ぜんぜん専門外だったから。あなたももう考えてるだろうけど、語音整列はたぶんより複雑な課題だと思う。というのも、数唱のように単に数字を扱うんじゃなくって、(文字と数字という)二種類の情報を使ってそれを切り替えながら作業しなきゃいけないから。被験者が教示を理解して、すべてをすっかり頭に入れることができたという手応えはありましたか? これ(語音整列)を実行するにはいくつかの操作が必要だし、呈示されたものすべてを受け取るには言語受容スキルが特に障壁となるかもしれません。他の下位検査にもこの仮説が当てはまるならば意味をなさないかもしれませんが・・・もっと知識のある人ならいい意見が出せるかも。-Butterfly22 私も同じように考えていました。数唱よりも語音整列の方がいいスコアを示しているような同様のアセスメント事例がおかしいのはなんでかなって。-Miriam 数唱が高くて語音整列が低い場合は、並べ替えなどの操作が入ると難しいのかなと推測できるけど、逆の場合はなんだろう。 数唱は基本的にはワーキングメモリーのタスクだけど、語音整列は、上の人が言ってるみたいに、もっと複雑だ。より心的に柔軟でないといけないし、情報の保存/再生の能力だけでなくて...

内心プライドが高い人ほど被害的になる? あなたの無意識の自尊心を測る

日本心理学会の心理学ミュージアムで「潜在的な自信」について書かれているのを読んだ。 自分も知らない「自信」を測る | 心理学ミュージアム リンク先に飛ぶと、スライドを見ることができる。 これまでの自尊心や自信の測り方は、たとえば 私は物事を人並みにやれる といった質問に答えていくような尺度が中心だった。たとえば、 状態自尊感情尺度 には、 いま,自分は人並みに価値のある人間であると感じる  いま,自分には色々な良い素質があると感じる  いま,自分は敗北者だと感じる (*)  いま,自分は物事を人並みにうまくやれていると感じる  いま,自分には自慢できるところがないと感じる (*) 注) (*)は逆転項目 といった項目がある。 自尊心が高い人は、精神的に健康で、幸福感も大きいと考えられてきたが、逆にちょっとした批判に怒り出したり、自分の仲間をひいきしたりすることもある。 こうした行動にはおそらく「潜在的な自尊心」が影響しているだろうとのこと。 意識していない潜在的な自尊心を調べるための方法が面白かった。 自分のイニシャルを表すアルファベットが、他のアルファベットと比べてどれくらい好ましいかを測定するんだそう。 自分のイニシャルのアルファベットが好きであるほど、潜在的自尊心も高いのだって。ほんまか。 顕在的自尊心が高くても、潜在的自尊心が低い人は、落ち込みやすく、自己愛的にふるまいやすい。逆に、顕在的自尊心が低くて潜在的自尊心が高い人は、他人を見下す傾向があるのだそう。 潜在的自尊心および顕在的自尊心とパラノイア : イニシャル選好課題と星座選好課題を用いた検討 [pdf] という論文では、パラノイア傾向が強い人は、顕在的自尊心が潜在的自尊心より低かったとのこと。表向き自信がないけど自己愛的な人ほど、パラノイア傾向があるということかな。調査結果は、「パラノイアが低い顕在的自尊心ないしはネガティブ感情を直接表出したものであることを示唆」するとのこと。 【1日6分?】この今!バカ売れしてる英会話教材  

レゴ・シリアスプレイで楽しく問題解決、アイデア発見

日本に1人だけ レゴ社認定「プロビルダー」代表作品は という記事を読んだ。レゴの 「プロビルダー」をしている人がいるのだと。いろんな仕事があるなあ。 現在、この地球上に存在するレゴブロックは5千億個を超えると言われる。これらを使って「創造」という行為を楽しみ尽くしている人たちには、どんな世界が見えているのだろうか。 5000億とはなかなかすごい数だ。 この記事を読んで、レゴ・シリアスプレイというワークショップのことを思い出した。レゴ社の教育事業部の開発責任者をしていたロバート・ラスムセンさんという人が開発した手法だ。 価値観や強みといった目に見えないものやもやもやした感情などが、レゴブロックで形になっていく。それを言葉で表現してみたり、あるいは他のメンバーからの質問に答えるなかで考えが整理されて新しいアイデアや発見が得られる。 遊びと学びの融合の中に、問題解決のプロセスを巧みにおり交ぜた、「新しい学びの道具」 とのこと。 ロバート・ラスムセン・ アンド・アソシエイツ  次々に現れる知らなかった自分。レゴを使った革新的ワークショップ・レゴシリアスプレイについてのまとめ。NAVERまとめ にやり方などが紹介されている。 たとえばお題は、こんなものだって。 ・10年後のあなたを作ってください。 ・あなたが一番自分の強みが発揮できたと思うシーンを作ってください。 ・あなたの会社が最高に輝いているシーンを作ってください。 ・あなたのパートナーを表現してください。 ・今の日本を表現してみてください。 ・今の組織を妨げている要因を表現してみてください。 ・私たちの組織に生まれうるアクシデントを思いつく限り全て表現してください。 10年後の自分をレゴで表現するなんて、なかなか楽しそうじゃないですか。 レゴとは書いていないみたいだが、カウンセリングでもブロックを使った研究をしている人がいる。 『 ブロックとコラージュの臨床心理学 体験過程と表現特徴 』 『 心理臨床におけるブロック表現技法入門 』 今度、こっそりレゴで遊んでみよう(別にこっそりじゃなくてもいいか)。

誕生した季節と性格の関係に関する科学的研究

誕生した季節によって性格傾向が違う 最近の研究によると、誕生した季節によって性格傾向が違うのだそうだ。だとすると占星術にも科学的な根拠があることになる。 Research Finds Birth Season May Influence Personality | PsycheCentral joiseyshowaa Comprehensive Psychology 誌に掲載された研究では、季節の影響は個々人に対しては明確ではないものの、大集団で見るとパーソナリティに季節ごとの偏りが認められたという。

今日の心理学:ウィリアム・マクドゥーガルの本能説

今日はウィリアム・マクドゥーガル(William McDougall;1871-1938 )という心理学者の誕生日。キャリアの前半をイギリスで、後半はアメリカで過ごした。当時、アメリカでは行動主義の心理学が盛り上がっていたようだが、マクドゥーガルはそれに対立し、学習よりも本能を重視した。 Wikipediaの項目 を見ると、ロンドン大学とオックスフォード大学で教えた後、ウィリアム・ジェームズの誘いでアメリカのハーバード大学に移ったとのことだ(1920年から27年まで)。その後はデューク大学で、近代超心理学の父 ジョゼフ・バンクス・ライン ( ESPカード を使って実験をした人だ)の元で超心理学の実験室を開設したんだって。 ユングから分析治療を受けていた経歴もあるので、超心理学に興味を持つのもさもありなん。本能への注目や目的論的観点も、ユングの影響なのかもしれない。 優生学に関心を持っていたことなどから、マクドゥーガルは主流の心理学者たちから科学的差別主義者と見なされていた。 マクドゥーガルは、人間の行動の原因は、学習ではなくて本能だと考えた。しかし、なんらかの行動の原因に、いちいちそれに対応する本能を探すと、人間のふるまいの数だけ本能の種類も増やさなくちゃいけなくなる。 浮気本能、節約本能、寄り道本能、アイスクリーム食べたい本能などなど。それって結局、人が何かしたことに「本能」ってつけただけちゃうんかと批判されたのだという(これを同義反復:トートロジーという)。 検索して調べていたら、 江戸川乱歩が大正五年に早稲田大学政治経済学部を卒業したさいの論文「競争論 」は、この『模倣の法則』とウィリアム・マクドゥーガルの行動心理学とに立脚していたという。『 江戸川乱全集 』 なんて記述もあった。

嘘つきの子どもは記憶力がいいか? あるいはマシュマロテストについて

嘘と記憶力 「記憶力のいい子どもは、より優れたウソツキだ」ということが実験でも確かめられたんだそうな。まあ、嘘を上手につくには、当然、記憶力も含めてそれなりに賢くないといけないだろう。 Kids With Good Memories Make Better Liars  | psychcentral. Tristan Schmurr: I'm not a liar! 言語的な記憶力と嘘の能力のつながり 英国のシェフィールド大学で行なわれた実験で、言語的な記憶力と嘘の能力のつながりが発見された。 実験はこんな感じらしい。被験者は6〜7歳の子ども。この子たちにトリビアゲームをしてもらう(雑学クイズみたいなものかな)。カードの裏に答えが書いてあるのだけれど、のぞいてみたりしちゃダメだよと指示されるのだ。隠しカメラが仕掛けてあって、しかも実際にはないマンガのキャラクター名が答えになっているので、たとえ子どもが「見てない」と言っても、誰がのぞいたか研究者には一目瞭然というわけ。

幻聴を表現した動画、らしきものを見てみた。

ちょっと用があって幻聴の疑似体験について調べようと思ったらこんなのが見つかったという話。

脳を光で刺激することで楽しい記憶を再現してうつ改善

脳細胞を光で刺激、うつ改善=「楽しい記憶」再現、マウスで―理研 というニュースを読んだ。理研の利根川進博士の研究とのこと。 17日付の英科学誌ネイチャーに論文が掲載されたという。 うつ状態にしたマウスの脳細胞を光で刺激して「楽しかった記憶」を人為的によみがえらせ、うつを改善する実験に、ノーベル医学生理学賞受賞者で、理化学研究所の利根川進博士らの研究チームが成功した。

怒り、ムカムカ、悲しみ。感情とうまくつきあうには。ディズニー・ピクサーの新作『インサイド・ヘッド』

『インサイド・ヘッド』と5つの感情 今公開されているディズニー映画『インサイド・ヘッド』は、喜怒哀楽と嫌悪感という5つの感情が登場する。 主人公はライリーという女の子だけれど、頭のなかには5人(?)の感情をつかさどるキャラクターが住んでいて、「ライリーを守り、幸せにする」ために話合ったり、あれこれ活躍する。 誰もが持っているのに誰も見たことがない無限に広がる 頭の中の世界で “感情たち”が繰り広げる感動の冒険ファンタジー! ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカ、すべてがあなたの一部。 必要じゃないと思っていたカナシミの感情が必要な理由とは、、、? それに気づいたとき、あなたは、自分をもっと好きになる といった感じのお話だ。 誰しも、できることならヨロコビばかり感じて生きていきたいと願うものかもしれないけれど、カナシミがいなくなると何が起こるのだろう? カナシミが必要な理由って、分かりますか? といったとことで、映画のおさらい(もしくは予習)。 5人の感情はそれぞれ、 ヨロコビ、 イカリ、 ビビリ、 ムカムカ、 カナシミ という名前をもっている。 「いつでも笑っていたいのに、どうして悲しみがこみあげてくるんだろう」 それはカナシミが頭の中のボタンを押したから、というわけだ。 普遍的な6つの感情 感情や表情の普遍性について最初に言及したのは、たぶんチャールズ・ダーウィンだろう。ダーウィンは、『人及び動物の表情について 』(岩波文庫)という著作で、動物と人類の表情の共通性とその進化について論じた。 アメリカの心理学者ポール・エクマン(Paul Ekman、1934年-)は、人間の感情や表情は人類に普遍的な特徴であることを明らかにした。アメリカのテレビドラマ『Lie to Me(ライ・トゥ・ミー-嘘の瞬間)』のモデルにもなった人だ。エクマンが最初に取り上げたのは、怒り、嫌悪、恐れ、喜び(幸せ)、悲しみ、驚きという6つの感情だった。 『インサイド・ヘッド』とは、 ヨロコビ 喜び イカリ 怒り ビビリ 怖れ ムカムカ 嫌悪 カナシミ 悲しみ というように対応しているみたいだが、あれ、映画には「驚き」がないのか。 エクマンは後に、 おもしろさ、軽蔑、満足、困惑、興奮、罪悪感、自...

創造性と精神疾患は遺伝的にリンクしている?

天才と狂気 イタリアの精神科医 チェーザレ・ ロンブローゾ(1835-1909)が 『天才と狂気(Genio e follia)』という本で天賦の才能と精神疾患 の関係を論じたのは、1864年のことだった。ロンブローゾは、処刑された囚人の遺体を解剖して頭蓋骨などを測定し、「犯罪者には固有の身体的特徴がある」「犯罪者は、原始人の遺伝的特徴が再現された、いわゆる先祖返りだ」などと主張した。骨相学と同じく、現代では妥当性はないと見なされている。しかし「天才と狂気」になんとなく関係がありそうだという印象には、ロンブローゾの研究が影響を与えていると思われる。 「犯罪人類学の父」チェーザレ・ロンブローゾとは何者か? もちろん、ロンブローゾ以前にも同じような発想はあっただろう。古代ギリシャでは、狂気は神々からのメッセージでもあった。

『座頭市』スターウォーズなんて目じゃない、ってな感じの殺陣シーン

たまたまYouTubeで観たのだけれど、スターウォーズなんて目じゃない、ってな感じの殺陣シーンでした。 Greatest Japanese Movie Swordfight EVER! 『座頭市血煙り街道』という映画のクライマックスだと思われます。シリーズ第17弾だって。 今度頭から観てみよう。

子どもって驚くほど普通に幻覚を体験しているんだそうだ。

子ども時代の幻覚体験は、考えられているよりもかなり一般的な現象らしい。英国の調査では、3分の2の子どもがなんらかの「精神病様体験」を報告している。幻覚に限定しても、9歳~12歳の17%が体験があるのだという。 August_Natterer, Meine Augen zur Zeit der Erscheinungen Childhood hallucinations are surprisingly common – but why? |theguardian にそのあたりのことが書かれていた。 想像と幻覚の違い それって本当に幻覚なの? 子どもがそう言ってるだけで、たんなる想像では? といった疑問もあるかもしれない。けれどもごっこ遊びなどの想像では、子どもたちは実際に何かを見たり聞いたりしているわけではない。幻覚ははっきりした知覚体験があり、また自由にコントロールすることができない。 大人になるにつれて幻覚を体験することが一般的ではなくなっていくのは、考えてみると不思議なことだ。より小さな子どものことを調べるのは難しいので、幼少期はさらに幻覚的な世界なのか、それとも子ども時代の中ごろが非現実的体験のピークなのかははっきりしない。ただ、思春期になると知覚は安定してくるということは確からしい。 治療が必要? 子どもが幻覚を体験しているなんてと不安がる必要はなさそうだ。多くの場合、数日か数週間で幻覚は消える。ストレスや睡眠不足などが子ども時代の幻覚体験のきっかけとなるが、それらが解消されると多くの子どもは安定を取り戻すという。 専門的なサポートを受けるかどうかの判断は、幻覚の頻度や苦痛、それによる障害などを考慮する必要があると。ポジティブな感情を伴っていて、子どもの友だち関係や家庭生活を邪魔しないものであれば、幻覚は良性であることが多いとのこと。 記事の後半には、てんかんや統合失調症で幻覚を体験する子どももいることや、想像上の友だち(   imaginary friends )について触れられていた。 アンモナイトの記憶 自分の子ども時代をふりかえってみると、小学生くらいの頃に1人で山を歩いていて、どこかの泉のなかにたくさんのアンモナイトや古代魚が泳いでいるのを見たという記憶がある。別のときには、天...

『怒らないで生きるには』(アルボムッレ・スマナサーラ、しりあがり寿)

これは模写です。 怒らないで生きるには スリランカの上座部仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老と漫画家のしりあがり寿さんのコラボ作品『 怒らないで生きるには 』を読んだ。前半は「消えたケーキ」というタイトルのマンガ。ケーキを買いたいと駄々をこねる娘に対する母親の怒りがケーキ屋のマスターに向き、そのマスターの怒りが店員の女性に向き、女性は帰宅して彼氏に怒り…と怒りの連鎖がどんどん大きくなってついには、というストーリーでした。しりあがり画伯のゆるーい感じの絵で怒りを表現されるとかえって怖い。

僕らは宇宙の真ん中に座ってる。オーロラを眺めて3分間のマインドフルネス

オーロラ ずいぶん昔のことだが、アラスカでオーロラを観たことがある。英語ではオーロラのことをノーザンライツ(北の光)ともいう。泊まっていたB&Bのおばあちゃんが、夜中に「ノーザンライツよ! 起きなさい!」と宿泊客を叩き起こしてくれた。夏のオーロラだったので、光はおとなしかったが、不思議な光景だった。 Watch a Time-Lapsed Video of the Northern Lights for Three Wondrous Minutes |PsyceCentral で紹介されている動画がよかった。 3分間マインドフルに 記事を書いたElisha Goldstein博士は、   “Life is routine and routine is resistance to wonder.”という言葉を引用している。 「人生はルーティンで、ルーティンというものは驚きに対する抵抗なのだ」 といった感じか。 日々の生活を繰り返していると、確かに何かを見て驚いたり、感激するような「sense of wonder」は失われてしまいがちだ。 3分間マインドフルに過ごす実験として、このオーロラの映像を観ることを Goldstein博士は勧めている。そうすれば、私たちが宇宙のただ中の回転する惑星の上に座っているという事実に気づくだろう。 Uncovering Happiness: Overcoming Depression with Mindfulness and Self-Compassion (English Edition) 2015/1/27 Elisha Goldstein 『幸せを見つける:マインドフルネスと自分を慈しむことでうつを克服する』という本を書いてはるらしい。

「毎日オシッコしなきゃならない人間なんか世界じゅうでぼくひとりきりだ」なんて思いこんでいたら、ずいぶん悩んでしまうだろうね

もしもだよ、「毎日オシッコしなきゃならない人間なんか世界じゅうでぼくひとりきりだ」なんて思いこんでいたら、ずいぶん悩んでしまうだろうね、こんな不潔で誰もやらない異常なことを、ひっきりなしにやってなきゃならないなんてって。『なまけ者の3分間瞑想法』デイヴィッド・ハープ 誰の心もでたらめで、勝手気ままに動き回っているものだということをたとえている。他の人の心も、自分と同じように酔っぱらった猿みたいだって。

動物をくすぐるとー笑いはなぜ進化してきたのか

最近流行らしいお笑いのリズム芸なんて、なにが面白いかさっぱり分からないのだけれども、お笑いのツボというのも年々変化しているのだなあ、というくらいの感想はもつ。 今日もまた動物ネタで、「笑いの進化」について、少し調べてみた。 ダーウィンが、『人及び動物の表情について』という著作でずいぶん前に論じたように、ヒトの表情は、国や文化が異なっても共通しているし、満足や怒りといった表情は違う種の生物の間でもある程度理解し合うことができる。犬や猫が、喜んでいるかそれとも怒っているかといったことは、ヒトの幼児でも判別できるだろう(トカゲだとか虫だとかになると、さすがに表情は分からないけれど)。

ごめんやけど絵文字のせいであんたがアホなわけちゃうで

「ごめんやけど絵文字のせいであんたがアホなわけちゃうで」 Sorry, Emoji Doesn't Make You Dumber | Psychology Today Another stone face, Holy Cross church, Chiseldon, Swindon 絵文字は英語でも Emoji と言うのか。イギリスでは、スマートフォンユーザーの80%はいつも絵文字を使っているらしい。そして絵文字を使う割合はどんどん増しているという。日本ではきっともっと多くの人が絵文字を使っているんだろう。 上記の記事には絵文字IQテストなんてのもあった。

この世でいちばんすきなのはお料理すること食べること(料理の人類学)

絵本『ぐりとぐら』の冒頭では「この世でいちばんすきなのはお料理すること食べること」と歌われていたけれど、野ねずみや動物たちは通常、料理なんてしない。わざわざ料理して食べるのはヒトくらいである。構造人類学者のレヴィ=ストロースは次のように言う。 わたしは、先住民の哲学において料理が占める真に本質的な場を理解しはじめた。料理は自然から文化への移行を示すのみならず、料理により、料理を通して、人間の条件がそのすべての属性を含めて定義されており、議論の余地なくもっとも自然であると思われる――死ぬことのような――属性ですらそこに含められているのである。レヴィ=ストロース『神話論理 I 生のものと火を通したもの』  料理するということはどうやら人間の本質に関連した営みらしい。人類が火を使って料理するようになったのは200万年くらい前にさかのぼることができる。火を使うと、食べものはより消化しやすくなるし、摂取カロリーも増える。このためにヒトの脳が大きく進化したという説がある。また、動物は食料を探したり、消化することに多くの時間を費やすが、料理によって消化のための時間は大幅に短縮される。

『認知行動療法に基づいた気分改善ツールキット 気分の落ちこみをうつ病にしないための有効な戦略』

新刊メモ。 高橋 晶,高橋祥友編 『 認知行動療法に基づいた気分改善ツールキット 気分の落ちこみをうつ病にしないための有効な戦略 』 金剛出版、2015年6月刊、定価(3,600円+税)  本書は,抑うつ・気分障害への単なるマニュアル的なワークブックではない。治療戦略の中心部分をなすのは認知行動療法の理論であり,その内容は,日常生活が抑うつ気分に支配されないよう,クライアントの「感情→思考→行動」に変化をもたらすための多くのツール(80種類の道具,最新の知見)を紹介,解説したものである。さらに認知の再構築,行動活性化,マインドフルネス瞑想,コンパッション(共感・感情)に焦点を当てる,対人関係評価票,行動タイプ,等の現場で役に立つワークシートやチェックリストを多数収録している。 「感情」「思考」「行動」の三つの要素はお互いに深く関連している。たとえば、「私は何をやっても失敗するに違いない」という思考は、「何もせずに家で寝ておこう」という行動や「抑うつ」感情を生み出すだろう。認知行動療法は、「感情」「思考」「行動」のどれかに変化を起こすことで、うつや不安などの心理的な問題を予防・治療しようという方法だ。この本には、気分を改善するための80種類のスキルが具体的に解説されているとのこと。 今度書店で立ち読みしてみます。

ネズミはチョコレートよりも溺れている仲間を助けることを選ぶ

Chad Sparkes 先日は、 象が仲間に対して示す共感性や援助行動 について取り上げたが、こちらはネズミの共感的行動について。 Empathic Rats Save Drowning Pals Rather than Eat Chocolate | Psychology Today ネズミは他のネズミが苦しんでいる表情をちゃんと認識できる。それだけじゃなく、後悔だとか共感を示すといったより豊かな認知・感情の能力を進化させてきたのだという。ネズミの後悔を実験的に確かめるなんて面白い。 記事では、チョコレートを食べることよりも他のネズミを助けることを優先する、といった研究が紹介されている。

いつも遅刻する人の本当の理由

いつも、というわけではないけれども、よく遅刻する。5分とか10分くらいの、微妙な遅刻だ。別に狙っているわけではないのに、なんでこう絶妙に遅刻してしまうのかずっと疑問だった。サイコロジー・トゥデイに掲載されていた次の記事には「いつも遅刻する人の本当の理由」が書かれていた。 いつも遅刻する人の本当の理由 The Real Reason Some of Us Are Chronically Late |Psychology Today People are late because they don’t want to be early. 早く着きたくないからみんな遅刻するんだ。 というあたりが、共通の心理のようだ。

動物の優しさと共感性に学ぶ。道路で倒れた赤ちゃん象を助ける仲間たち

野生動物は、しばしば凶暴な恐ろしい生き物と思われているが、お互いに思いやったり、世話をする優しい存在でもある。これは南アフリカのクリューガー国立公園で撮影された光景。 Herd rescues fallen baby elephant on busy roadway 交通量の多い道路で倒れた赤ちゃん象を助ける群れ 赤ちゃん象が道路の真ん中で転んで倒れてしまう。車がたくさん通っているようで、このままではひかれてしまうかもしれない。 同じ群れの象なのだろうか。子どもの象と年長の象がやってきて、辛抱強く赤ちゃん象によりそって、立たせてやり、道路を渡る手助けをしている。

蚤のサーカスと学習性無力感

蚤のサーカス 蚤のサーカスの映像を見たので、なくさないようにここに貼っておく。 蚤のサーカスは、 ヒトノミなど大型のノミを調教して芸を見せるショーのことで、17世紀ごろのフランスで誕生したらしい。

子どもが創造するのはなぜ重要でしょうか? 『子どもの絵:両親と先生への手引き』

某所の書庫にて発見。 ローエンフェルド『子どもの絵:両親と先生への手引き』勝見勝訳、白揚社、昭和31年 "Your Child and his Art"(1954) 表題の通り子どもの絵についての本。著者のローエンフェルド博士はウィーン大学で美術と教育に関する研究をしていたという。古めかしいけれど(埃っぽいのは書庫の管理のせいですが)、具体的な事例がたくさん掲載されていて読みやすかった。最初の方からいくつか抜き書きしてみる。 ジョニーはいつもメリーをいじめるので、メリーはきらいです。そこで、色や場所の好悪によって、ジョニーがきらいだということを、絵にあらわします。ジョニーはメリーより強いので、メリーは、ジョニーをきらっていることを、直接にはあらわせませんが、絵ではそれができます。メリーは、ほかではできないようなことを、たくさん、絵でやっています。絵を描いたあと、メリーはさっぱりしますが、それは、私たちが、仲の好い友だちと、重要なことについて相談したあとに気持ちよく感ずるのと、おなじことです。pp.29-30

20年後、カウンセラーという仕事はどうなってる?

転職する?「あなたの仕事が今後20年の間でロボットに奪われるリスク」 |うぇぶサエ なんて記事を読んだので、ちょいと調べてみた。 Will Your Job Be Done By A Machine? Clinical Counseling and School Psychologists have a 0.5% chance of being automated. How do we know this? Some aspects of a job are easier to automate than others. It all depends on the tasks. Look at the orange bars to see how Clinical Counseling and School Psychologists compare with other professions... カウンセラーや学校心理士が、20年後に機械やロボットによって自動化される可能性は0.5%とのことで、これはまず安心してよい数字なのではないかと思う。日本では、公認心理師の国家資格化が議論されていて、どうなるかは分かりませんが、カウンセラーという職業がまったくなくなってしまうことはなさそうだ。

[まとめ]嘘を見破るには、瞑想の副作用、人に優しくなる方法、ほか

最近読んだあれやこれや。 人の嘘を見破るには意表を突くような質問をしましょう |lifehacker 多くの場合、尋問される人は自分が疑われていることをわかっているため、前もって答え方を予行演習しています。さらに、嘘をつく側は自分の話に整合性を保ち、それと同時に平静に振る舞おうと集中しているため、緊張状態にあります。そういった人々に予想外の事がらを質問した場合、困惑してどもってしまうため、その人の嘘を見破ることが可能になります。 「麦わら帽子をかぶったペンギンがいま、そのドアから入ってきたとしたら、彼は何と言うでしょうか。また彼はなぜここにいるのでしょうか」 就職面接で聞かれた「珍問」トップ25 【これは意外】瞑想が躁病やうつ病の引き金になる可能性ありと専門家が警鐘 |IROIRO ときに瞑想やマインドフルネス自体が躁病やうつ病、幻覚、精神病を発症させる可能性があると警鐘を鳴らしてる。 まあ古くは白隠禅師とか。 満点の星空や広大な海を見つめると、人は人に優しくなれる(米研究) |カラパイア 畏敬の念を覚えると、自分が世界の中心にいるのだと思えなくなるという。こうして自我が薄れることで、人々は利己的な利益から離れ、他者の幸福を考えるようになる 都会では人は優しくなれないわけだ。 猫が鏡の自分を見たとき…リアクションはこれだけ違う(動画) |らばQ 猫のルージュテスト。鳩や烏などは鏡を見て自己像として認識できるらしいが、猫はさて。 若い血液を取り入れると自然治癒力がアップ、骨が丈夫になることが判明(米研究) |カラパイア やはりそうか。 「酔っているほうがビリヤードがうまくなる」の科学的根拠 | wired プロのアーチェリー選手へのアルコールの影響(血中濃度0.02パーセントと0.05パーセント)を、しらふのときと比較検証した。どちらの濃度でも選手の手の震えが減少。成績は、血中アルコール濃度0.02パーセントのときに最も高かったという。 東京酔っぱらりんぴっくを開催予定。 人類最初の「殺人」の記録 |アゴラ スペイン北部の約43万年前の地層から、おそらく人類最初の「殺人の証拠」を記録した頭蓋骨が発見された(・・・)固い石か何か先の尖った武器のようなものが、何度も執拗に打ち付けられている。頭蓋骨に穿たれた陥...

格安SIMのデータ通信量を節約するためのコツとおすすめアプリ

しばらく前からスマホ(iPhone)をやめてガラケーとiPad miniの2台持ちに変更した。iPad miniの方は、 IIJmio のデータ専用通信SIMにしてみた。3ギガバイトの利用で月900円である。iPad miniの3年ローンが月々1500円くらいなので、合わせて2400円。ガラケーの方は、メールもなしにしたので月900円ほど。

『おもちゃと遊具の心理学』

おもちゃと遊具の心理学 (精神医学選書) J.ニューソン・E.ニューソン/著 三輪弘道・後藤宗理・三神広子・堀 真一郎・大家さつき/訳 図書館で借りて、読んでいるところ。 子どもにとって最初のおもちゃは母親である-発達心理学に基づき、百数十種のおもちゃや遊びを機能的・系統的に徹底分析したおもちゃ研究の名著。おもちゃ選びの豊かな目を養うばかりでなく、幼稚園・保育園・施設・家庭でのおもちゃを使った指導実践に、確かな裏づけを与える。

『解明される宗教–進化論的アプローチ』

解明される宗教 ダニエル・C・デネットの『解明される宗教–進化論的アプローチ』を図書館で手に取ってみた。 宗教がどのように発展してきたかを論じている本らしい。ななめ読みでいくつかメモを取ったので、忘れないうちに書き記しておく。 原題は、 "Breaking the Spell: Religion as a Natural Phenomenon" (呪文を破る:自然現象としての宗教) デネットは神が実在しているかどうかは問わず、宗教を自然現象としてとらえ、科学のまな板のうえにのせようと試みている。それによって宗教という呪文を破ろう、というのである(たぶん)。 世界中で多くの人々がなんらかの宗教を信じていて、ほとんどの人が自分や周りの人たちの幸せを願っているし、世界が良くなることを期待しているにもかかわらず、宗教的な理由でテロが起こるのはなぜだろうか(オウム真理教の事件や、911が取り上げられている)。 私たちは月に顔を、雲に軍隊を発見する。もし経験や反省によって訂正されないなら、自然の性向から、私たちを傷つけたり喜ばしたりするすべてのものに悪意と善意を帰する。デヴィッド・ヒューム『宗教の自然史』 というヒュームの言葉が引用されていた。相貌的知覚やアニミズム的感性が、宗教の根源にあるということだ。ジャスティン・バレットという人がHADDと名付けた「行為主体を過敏に探知する装置」が、ヒトの場合、他の動物よりも進化しており、それによって目に見えない超自然的な存在をイメージすることができるようになったという。 行為主体を過敏に探知する装置 「行為主体を過敏に探知する装置」とは、 世界の中に存在する他の何ものかを ・世界についての一定の 信念 と ・明確な 欲求 と ・これらの信念と欲求を考慮して 合理的な ことをするという十分な常識とを備えた ・ 行為主体 として取り扱う ということを表している。心理学でいう「心の理論」を連想するが、デネットさんは心の理論という用語を使うことには慎重な態度を取っているようだ。 神々を人間が信じることの根底には、敏感に反応する本能がある。それは、動く複雑なものには必ず―確信や欲求や他の精神状態といった― 内的作動因 (agency)があるとみなす傾向である。 ...