妊娠・出産で夫婦関係のパターンはどう変化するか?

8/23/2015

心理学

t f B! P L
妊娠や出産は、夫婦関係にも大きく影響を与えるものだけれど、二番目の子どもの場合はどうなんだろう、という研究。

例によってアブストラクトだけ。

「子どもが1人から2人に変化するとき夫婦関係のパターンは変化する」

Patterns of marital relationship change across the transition from one child to two.
Volling, Brenda L.; Oh, Wonjung; Gonzalez, Richard; Kuo, Patty X.; Yu, Tianyi
Couple and Family Psychology: Research and Practice, Vol 4(3), Sep 2015, 177-197.

研究では、229組の結婚しているカップルを対象として、第二子出産後の夫婦関係の変化を見られた。妊娠期から始まり、出産後、1ヶ月、4ヶ月、8ヶ月、そして1年後の夫婦関係について調査している。


調査結果から分かったのは、だいたい5つのパターンがあるということ。
  1. 突然の、そして持続的な関係悪化(夫婦関係の危機など)
  2. 突然の、一時的な関係悪化(夫婦関係を調整したり適応が必要な状況など)
  3. 突然の、一時的な関係改善(例えばハネムーン効果など)
  4. 直線的な変化
  5. 変化しない
混合成長モデル(growth mixture modeling)という、人の変化や発達を捉えるための統計的手法がある、らしい。それを用いて分析したところ、潜在的に異なる6つのクラスが現れた。
  1. 妻の積極性の減少−夫のハネムーン(44%)
  2. 妻の消極性の増加−夫の調整と適応(34.5%)
  3. 妻のハネムーン−夫婦の消極性の食い違い(7.4%)
  4. 妻の調整と適応(6.9%)
  5. 積極性と消極性の食い違いをともなう夫婦のハネムーン(5.2%)
  6. 夫の調整と適応(1.7%)
1.は、妻が第二子を妊娠しても夫はラブラブだけど、妻が「寄らないでよちょっと」と拒否するような状況だろか。
2.は、妻が消極的になって、夫がなんとかそれに適応しようとしている状態だろう。
この2つで8割近くに。

クラスは個人の脆弱性(抑うつやパーソナリティなど)、変化に伴うストレス(望まない妊娠など)、そして適応のプロセス(夫婦の会話や社会的なサポートなど)によって違ってくるようだ。

もう1人子どもが欲しいとき

もう1人子どもが欲しいと計画しているときには、
  • 夫婦の対話
  • 抑うつ
  • 社会的サポート
などが介入のための重要な目標となるだろうという結論。

1番目の子どものときとどう違うのか、アブストラクトだけではよく分からなかったな。

子どもの誕生と夫婦関係の変化

日本語の論文も読んでみた。

子どもの誕生による夫婦関係の変化に関する研究[pdf]

  • 仮説1:子どもをもつことで夫婦関係は悪化するだろう
  • 仮説2:悪化は夫よりも妻の方が大きいだろう

だって。

調査結果では、仮説1はおおよそ正しいことが分かった。仮説2に関しては、部分的にはそうだろうということらしい。

妻の方が、夫よりも先に関係の変化を感じとる傾向があるとのこと。
子どもをもつことでばらばらの2人になるのではなく、1つの共同体としての”わたしたち”という単位をいかに作るかが重要になる。そのためには、妻だけに変化を求めるのではなく、夫の方にも共に変わろうという意識がなければ、2人の関係はうまくいかなくなるし、子育ても困難になると思われる。


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