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うわさと伝達の心理学—イヤホンガンガン伝言ゲームと絵の伝言ゲーム

「うわさ」には2つの種類があります。ひとつは「火のないところに煙は立たない」もので、何かの事実が、伝達の家庭でどんどん尾ひれがついてふくらんでいくようなタイプのうわさです。 もうひとつは、「根も葉もないうわさ」です。「口裂け女」のような「都市伝説」がこの種のうわさばなしです。 社会心理学では、うわさやデマがひろがるメカニズムについて研究されてきました。 それによると、うわさは「情報が不足している」ときに生まれやすいのです。 「ねえねえこないだの日曜日、あのふたりがいっしょにお茶してるの見ちゃったんだけど」 「えー、それってあやしくない?」 「そういえばつきあってるのかもって、誰か言ってたよ」 「やっぱし。同じ図書委員になったのも、そういうことだったんだ」 といったように、断片的な事実に、いろいろなストーリーを投影したり、解釈することで「うわさ」は生まれるのです。 うわさは、伝えられるうちにだんだん尾ひれがついたり、歪んだりしていきます。 話の内容が簡略化されたり、逆に強調されることや、矛盾することが修正されたりします(合理化といいます)。 社会心理学でよく取り上げられるうわさの事例としては、信用金庫の取り付け騒ぎ(1973年の出来事で、女子高生が「あの信用金庫は危ない」というおしゃべりからうわさが広がり、多くの人が預金を引き出そうとして大騒ぎになりました)や、1938年のアメリカの「火星人襲来事件」(ラジオドラマの「火星人襲来」の話を信じた人々がパニックになりました)などがあります。 うわさの実験として、「伝言ゲーム」や「絵の伝達ゲーム」が行なわれることがあります。 若い人の間で、 「イヤホンガンガン伝言ゲーム」 というのが流行っていると聞きました。 こんなのだそうです。 耳が悪くならないですかね。 もうひとつ、「PiTaPa」の宣伝として実施されたらしい絵描きさんたち10人の「絵の伝達」の動画も面白かったです。 森田まさのりさんやしりあがり寿さんといった漫画家やイラストレーターが絵の伝言ゲームをしています。 みなさん自分の画風で描いているので、ぜんぜん違う絵になってますね。

トランプ大統領について子どもにどう話せばいいの?

DonkeyHotey アメリカ大統領選が多くの女性のストレスになっている(タイム誌) では、「 米国の成人の実に52%が、2016年の選挙が大きなストレスとなっていると答えた」という話を紹介しました。 その大統領選も明けて数日。 How to Talk to Your Kids About Trump |Psychology Today 「あなたの子どもにトランプについてどう話せばいいのか」 なんていうエッセイがサイコロジー・トゥデイに掲載されていました。 それだけ困惑している大人も多いということでしょうか。 Understanding "Post-Trump Stress Disorder" 「トランプ後ストレス障害」なんて言うひともいるらしい。 困惑している大人は、子どもに何を話せばいいのでしょう。   Things are never as good as you hope, nor as bad as you fear they will be.   まずは、「ものごとはあなたが望んでいるほどはよくならないし、恐れているほどには悪くもならない」ということは忘れないようにしましょうとのことです。 ポイントは次の4つだそうです。 子どもと話をしましょう トランプ大統領について賛成でも反対でも、率直な気持ちを子どもにわかりやすく伝えましょうとのこと。 尊敬を忘れないように励ましましょう 世の中にはいろんな考えや意見をもっている人がいるので、お互いの意見の違いも尊重しましょう。これ、大事ですよね。 対話を続けるよう励ましましょう その上で、対話を続けることが重要。意見の違う人たちとも、信頼感や共感、理解を育むことができるはずです。 身体的・感情的な安全を大切にしましょう 子どもが不安になるような環境にいるなら、まずは身体的・感情的な安全を優先しましょう。 政治と宗教と性の話は家庭ではしにくいことが多いですが、ときには子どもと率直に話すことも大切です。 アメリカ大統領選が多くの女性のストレスになっている(タイム誌)

プラセボ(偽薬)でも腰痛は軽減するという研究

イワシの頭も・・・ posted by (C)kontenten プラセボだとわかっていても腰痛は緩和する |CareNet 慢性腰痛の患者は、薬がプラセボ(偽薬)だと知りながら飲んだ場合でも、症状が軽減する可能性があることが新たな研究で示された。従来の腰痛治療に加えて偽薬を服用した患者は、従来の治療だけを受けた患者よりも、疼痛や身体障害が少なかったという。 ということだそうです。 「 イワシの頭も信心から 」が研究で確かめられたというわけですね。 ちなみの「鰯の頭も信心から」という言葉は、節分に鰯の頭を柊の枝に刺して戸口に置くことで鬼を退散させようとした風習に由来しています。 鬼は、柊のとげと鰯の匂いが苦手なんですね。 実験では、慢性腰痛の患者さんたちが「プラセボ」と瓶に書かれたプラセボ薬を服薬したのだそうです。 3週間後、プラセボ群では疼痛レベルの通常値および最大値に30%の低減がみられた。従来治療群では、通常値が9%、最大値が16%低減した。疼痛による身体障害は、従来治療群では変化がなかったが、プラセボ群では29%の低減が認められた。 従来治療群よりも疼痛の低減率が大きいのですね。 患者と医師のよい関係性が、症状に変化をもたらすのだろうと書かれていました。医学教育にもっとプラセボの効用(とか鰯の頭の活用)を学ぶ機会があってもいいのではないでしょうか。 パワフル・プラセボ―古代の祈祷師から現代の医師まで をまた読み返してみようと思います。

180万年前から「右利き」「左利き」があったらしい

Elenor Kopka 「右利き」は180万年前から存在していた |CareNet タンザニアで見つかった180万年前の初期人類ホモ・ハビリスの化石の顎から、右利きの最古のエビデンスが見つかった。上の前歯の唇側には擦り傷があり、そのほとんどが左上から右下へと走っていたという。この傷は、口に入れた食べ物を左手で引っ張りながら、右手に持った石器で切断したときにできたものだと考えられる。この印は、ホモ・ハビリスの個体が右利きであることを示唆しており、ネアンデルタール人以前のヒトで右手の優越性を示した初めての有力な証拠である。 とのニュース。 原著論文は以下でアブストラクトを読むことができました。 OH-65: The earliest evidence for right-handedness in the fossil record. Frayer DW, Clarke RJ, Fiore I, Blumenschine RJ, Pérez-Pérez A, Martinez LM, Estebaranz F, Holloway R, Bondioli L. J Hum Evol . 2016 Nov;100:65-72. doi: 10.1016/j.jhevol.2016.07.002. ということは、人以外の動物にはあまり利き手というのはないのだろうか? などと思って少し調べてみました。 魚には手はないけれど、「右利き」「左利き」の差がある種類のものがいるらしいのです。 アフリカのタンガニイカ湖に生息するある種の魚には、獲物となる魚を右側から襲うタイプ「右利き」と、左側から襲うタイプ「左利き」がいて、それらは口の形が左右で異なり、右利きは右から、左利きは左から襲ったときのほうが捕食が成功しやすい( 現代ビジネス ) 「利き手は、進化の証!? 右利き、左利きがあるのは、○○確率を上げるためだった」 というタイトルがつけられてますが、「 ○○確率」を読むには会員にならないといけないようでした。 ナショナルジオグラフィックの「 カンガルーは左利き、有袋類の利き手研究 」を読むと、 これまで四足歩行をする動物の利き手(利き脚)が報告された例はない。移動するのに四肢すべてを使う必要があるからだ...

心理的リアクタンスとあまのじゃく

心理的リアクタンスとは、自由を脅かされたときに抵抗したくなるような動機を意味する心理学用語です。 リアクタンス(reactance)とは、「抵抗」というような意味の言葉です。 例えばお母さんから「ほら、明日から中間テストでしょ! ちゃんと勉強しなくちゃ!」と小言をいわれて、「今やろうと思ってたところなのに! そんなこと言われて、やる気なくなったわ!」なんて感じたことはないでしょうか? 心理的リアクタンスとは、こんなふうに上から目線で説得されたときに「自由が奪われた」と感じて抵抗する=説得されたのとは逆の方向に態度を変えるといったことを表しています。 人は、誰しも自分の行動や選択を自由に決めたいという欲求をもっています。 その自由が脅かされると、自由を取り戻したくなるのです。「失われた自由、あるいは失われそうな自由を回復・確保しようとする動機」を心理的リアクタンスと言います。 ブーメラン効果 こういう現象を「ブーメラン効果」と呼ぶこともあります。 あからさまに説得されると、かえって反発されるということは、日常生活でもよくあることです。 営業マンなら、あと一歩というところまで説得したのに(あるいは説得したから)、最後になって「やっぱりやめときます」とひっくりかえされるという経験をしたことがあるでしょう。 ブーメランのように反対方向に転換するからこう呼ばれているのですね。 恋愛と心理的リアクタンス 恋愛においても、ブーメラン効果、あるいは心理的リアクタンスから説明できることがあります。 親に強く反対されている恋が、余計に燃え上がるというのもそうです。ロミオとジュリエットのような状況ですね。 好きな人を口説こうと思ったら、押してばかりだと逆効果かもしれません。 相手が「自由を奪われた」と感じると、反発されるのです。 逆に「ツンデレ」なんていうのは、冷たくされるとよけいに気になるという意味で、心理的リアクタンスを上手に使っている例と言えるでしょう。 心理的リアクタンスを測る心理テスト 自由をうばわれそうになって反発するか、それとも大人しく従うかは、人によっても違うでしょう。 あまのじゃくな人は、「こうすれば」と言われたことにことごとく反対することでしょう。 そこまでいかなくても、自立心の強い人は、...

【転移性恋愛】カウンセラーとクライエントが恋に落ちるとき

「セラピストと患者が恋に落ちるとき」 When Therapists and Patients Fall in Love | Psychology Today というエッセイがサイコロジー・トゥデイに載ってました。 ハリウッドの映画やロマンティックな小説では、セラピストが専門的な枠をやぶって患者/クライエントと恋に落ちるというストーリーがよくあるそうです。 映画ではどんなのがありますかね。 カウンセラーや精神分析家が登場する映画としては『息子の部屋』とか『カウチ・イン・ニューヨーク』、『アナライズ・ミー』などが思い出されますが、転移性恋愛を描いた映画ってなにかあったかな。 そうそう。クローネンバーグの『危険なメソッド』は、ユングとシュピールラインの実際の話をもとにしていたんでした。 エッセイには、伝統的なセラピストは学者っぽくて超然としたふうに見られているので、彼らがガード(とズボン)を下ろして息を切らして情熱に流されるのが面白いのだろうと書かれていました。 ふむ。 映画や小説には面白くドラマティックに描かれますが、性的な問題で実際にトラブルが起きることも多いのだと思います。だからこそ厳しく倫理規定が定められているのですね。 とはいえ、フロイトが「精神分析は本質的には愛を通した治療だ」と言ったように、愛情が治療関係の大事な役割を果たしているのも確かです。 今度、セラピストが出てくる映画をまとめて観てみよう。

Facebookのユーザーは長生きをする、らしい。

先に ソーシャルメディア依存 の問題について書きましたが、多くのものごとには悪い面もあればよい面もあります。 フェイスブックのユーザーはより長生きするという調査結果です。 Facebook users live longer, study finds 「孤独死」という言葉がマスコミで取り上げられることがあります。 孤立しているよりも友達がいるほうが、心理的・身体的な健康や幸福度が高いということは、以前からいわれてきました。 たとえば9年間にわたる調査では、社会的なつながりがまったくない人は、つながりをもっている人と比べて2.8倍も早死にする可能性が高まるのだそうです。 最近の研究では、フェイスブックなどのオンラインでの友達とのつながりをもっていると、より長生きするということが明らかになったそうです。 1200万人のフェイスブック・ユーザーを対象にした調査でわかったのは次のようなことです。 研究では、1945年~89年の間に生まれた人が対象となり、6カ月に渡ってオンラインの活動をモニターされました。 その活動と、亡くなった人の関係について調べたということのようです。 最初の重要な発見は、フェイスブックを活用していない人と比べて、フェイスブック・ユーザーの死亡率は約12%低かったということです。 けっこう違いがあるのですね。 ただし、フェイスブックの「いいね」の数は長生きとは関係なかったらしい。 研究者は続いて、より長く活発に生きていた人たちがどれくらいフレンドがいて、写真や文章を投稿していたかを調べました。 たくさん写真などを投稿している人ほど、オフラインの対面での社会的活動も活発だと考えられたのです。 その結果、オンラインで「ほどほどのレベルで」投稿したりメッセージを送っている人は、死亡率も低いということが確かめられました。 オンラインの活動にはまりこむのではなく、ほどほどで、オフラインの交流を補完するような役回りをもっているときに、もっとも健康に寄与するということのようです。 よろしければ次もお読みください。 一週間のFacebook断ちで得られる4つのメリット Facebookでリア充自慢するほど不幸になるしうつになりやすい ソーシャルメディアやSNSにいつもつながって...

イヤーワームになる曲トップ9、そして対処法(頭から離れない曲)

止まらないメロディーの正体とは?イヤーワーム現象を科学する 1. イヤーワームとは?耳に残る音楽の正体 頭の中で特定の曲が何度も繰り返される現象を「イヤーワーム」と呼びます(ディラン効果とも。ボブ・ディランの「風に吹かれて」もイヤーワームが生じやすい曲として知られています)。この言葉は、英語の「earworm(耳の虫)」に由来し、まるで耳に虫が入り込んで音楽を流しているかのような感覚にたとえられています。イヤーワームは、特に集中が必要な時や眠る前に起こりやすく、勉強中や仕事中に困った経験がある人も多いでしょう。 頭のなかである曲が延々と流れ続けて止まらなくなる現象を「イヤーワーム」と言います。 「耳の虫」という意味で、まるで耳に虫がもぐりこんで音楽を流しているみたいに体験されることからそう呼ばれています。 強迫性障害や統合失調症の症状として見られることもありますし、健康な人だってしばしば体験します。脳のバグみたいなもんでしょうか。勉強中や仕事中など、何かに集中しなくてはならないときに、イヤーワームが気になって仕方がないということもあります。受験生でイヤーワームに取り憑かれて困っているという人の話を聞いたことがあります。確かに困りますよね。 Psychologists Identify Key Characteristics Of Earworms 「心理学者たちが見つけたイヤーワームの本質的特徴」 という記事が、アメリカ心理学会のサイトに掲載されていました。 イヤーワームを生じさせやすい曲として、たとえばレディ・ガガのBad Romanceが挙げられていました。 2. イヤーワームが起こりやすい人とその原因 イヤーワームは健康な人にも頻繁に起こりますが、強迫性障害や統合失調症などの精神疾患と関連する場合もあります。脳が「バグ」を起こしたかのように、無意識にメロディーがリピートされてしまうのです。心理学的には、音楽の反復やリズムが脳に影響を及ぼし、メロディーが意識に残り続けることが指摘されています​ Hiroshima University Repository 。 3. 科学的に解明されたイヤーワームを引き起こす音楽の特徴 アメリカ心理学会の研究によると、イヤーワームを引き起こしやすい曲にはいくつかの共通点があります。それは以下の3...

あなたがソーシャルメディア依存かどうかが6つの質問で判定できる

あなたがソーシャルメディアに「依存」しているかをアセスメントする6つの質問 Six Questions to Assess If You May Be “Addicted” to Social Media だそうです。 ソーシャルメディアに熱をあげるあまり、実際の人間関係にヒビが入ってしまうということもよく聞きます。 SNSなどに依存しすぎていないか、たまにチェックしたほうがいいかもしれません。 重要性:毎日の生活にソーシャルメディアが欠かせないものとなっていますか? 高揚感:一日ずっと、興奮のためにソーシャルメディアに頼っている。 忍耐:ソーシャルメディアで「バズる」ためにはもっと時間が必要だと思う。 引きこもり:ソーシャルメディア上にいないと不安になる。 葛藤:ソーシャルメディアが原因でトラブルが起きる。 再発:ソーシャルメディアを使うのを控えようとしたけど失敗したことがある。 このうち3つかそれ以上に「はい」と答えたなら、ソーシャルメディアの使い方を考え直したほうがいいですよ、とのことでした。 該当する人は、次も読んでみてください。 一週間のFacebook断ちで得られる4つのメリット Facebookでリア充自慢するほど不幸になるしうつになりやすい ソーシャルメディアやSNSにいつもつながってると、不安や抑うつが増すとの研究 Facebookで見つけた元カレ・元カノとの復縁はうまくいかないとの研究 Facebookによる感情操作と「スタンフォード監獄実験」「ミルグラムの服従実験」

認知機能障害はしばしば統合失調症の最初のサインだ

Cognitive Dysfunction Often First Sign of Schizophrenia |PsycheCentral 認知機能障害はしばしば統合失調症の最初のサインだ という記事。 幻覚や妄想といった陽性症状に先立って、ワーキングメモリーや視空間知覚などの認知機能の障害が見られることが研究で確認されたという内容です。 研究では、大学生らを対象に、精神病のハイリスク群と健康なコントロール群の神経認知機能が比較されました。 その結果、ハイリスク群は、実行機能、視空間能力、注意とワーキングメモリー、言語能力、陳述的記憶などの成績が低下していることがわかりました。 ハイリスク群のなかでも、後に実際に精神病になった人たちは、より重篤な認知機能障害をもっていたとのこと。 とくにワーキングメモリーと陳述的記憶がハイリスク群で障害されている度合いが大きかったそうです。 発症の予防や初期介入のための手がかりを与えてくれる研究です。

アメリカ大統領選が多くの女性のストレスになっている(タイム誌)

TIMEの記事。 「女性たちが選挙のストレスについてセラピストに語ること」 What Women Are Telling their Therapists About Election Stress といったタイトルです。 アメリカでは、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの選挙戦が繰り広げられていますが、日本でちらりと聞いている範囲でさえ、けっこううんざりするようなやりとりですよね。 きっとアメリカでリアルタイムにそんなことにつきあわなきゃいけないのは、大変だろうなと思っていました。 アメリカ心理学会が行なった調査によると、米国の成人の実に52%が、2016年の選挙が大きなストレスとなっていると答えたのだそうです(共和党支持者、民主党支持者いずれにとっても)。 また、ABCニュースが実施した調査では、女性の51%、、男性の39%が選挙ストレスを報告したとのことです。 女性の方が、より大きなストレスを体験しているというわけですね。 記事を読むと、トランプの女性を蔑視した発言が、不安や恐怖心を喚起するストレスとなっているといったことのようです。 「ドナルド・トランプが突然部屋に侵入してのしかかってきた」という悪夢をセラピストに話す女性もいるらしい。 タイム誌は、以前からトランプさんに対しては批判的なようです(まあそうだろう)。 それにしてもどうなるんでしょうね、大統領選。

初対面でも1時間で恋に落ちる36の質問ー親密さを誘発する社会心理学の実験(そして谷川俊太郎の33の質問も)

しばらく前にNYタイムズで紹介されて、バレンタインデーなどに広まった「36の質問」、ちょっと時間があったのでもとになったArthurAron らの論文に目を通してみた。実験的なセッティングにおいて個人と個人の間に親密さを生み出すことができるか、という研究。 この質問で、誰かと親しくなったり、あるいは恋に落ちたりするのです。かもしれないのです。意中のあの人をふりむかせるために使える、のかどうかはわかりませんが、よかったら これからのクリスマスシーズンに試してみてください。 ArthurAron 他、「個人間の親密さを実験的に誘発する:手順と予備的な発見」 The Experimental Generation of Interpersonal Closeness: A Procedure and Some Preliminary Findings 親密な人間関係の発展 親密な関係の発展の鍵は、持続的、段階的、相互的かつ個人的な自己開示だという。社会心理学では、対人関係の親密化過程は、 自己開示→類似・異質性認知→役割分担 というプロセスを繰り返して深まっていくと考えられている。

浮気をしやすいのはこの職業の人々だ!という心理学研究

いつも読んでいるPSYBLOGの People With These Jobs Most Likely To Cheat On Their Partner という記事で紹介されていた研究です。 「この職業の人々が、もっともパートナーを裏切って浮気しやすい」 という感じ。 元ネタとなった論文は、 People search for meaning when they approach a new decade in chronological age というタイトルでした。 暦年齢が次の大台に乗ろうとしているとき(29、39、49といった歳ですね)、人は人生の意味を探しもとめる。 というくらいの意味でしょうか。 そういうときに、 extramarital affairs(婚姻外の情事、ようするに浮気や不倫ですね) を求めたり、 人生虚しくなって自殺したくなったりしがちなのだという趣旨です。 で、どの職業が浮気しやすいのかが気になりますよね? 調査の結果、 People working in finance, aviation and healthcare are most likely to cheat on their partners. 経済、航空、医療関係で働く人がもっとも浮気しやすい。 なんてことが分かったのだそうです。 ようするに、銀行員とパイロットとお医者さんなんだって。 で、29、39、49といった年齢の年も浮気しがちなのだと言います。 上位9番目までの職業リストも上がっていました。 経済(銀行員、ブローカー、アナリストなど) 航空(パイロット、フライトアテンダント、フライトパーサーなど) 医療(医師、看護師、看護補助など) ビジネス(CEO、マネージャー、秘書など) スポーツ(アスリート、インストラクター、代表選手など) 芸術(ミュージシャン、モデル、俳優、写真家など) ナイトライフ産業(DJ、ダンサー、ウェイターなど) コミュニケーション(ジャーナリスト、広報担当、コミュニケーターなど) 法律(弁護士、秘書、検察官、判事など) ここに含まれないのはどの職業やねんとつっこみたくなるリストですが、まあ人はそれだけ浮気をするものだということなのでしょうか。 こ...

自閉症スペクトラムの人が撮る写真が定型発達の人と違うところは

この写真は、自閉症スペクトラムの人たちが撮影したものだそうです。 英国心理学協会の研究ダイジェストというサイトに載っていました。 Photos taken by autistic people and neurotypicals differ in intriguing ways |The British Psychological Society Reserch Digest 「自閉症の人々と定型発達の人たちによって撮影された写真は驚くほど違う」 というようなタイトル。 Current Biology誌に掲載された論文が出典です( * )。 自閉症スペクトラム障害と診断された16名の人々(男性は12名、平均年齢30歳)が被験者で、年齢とIQがマッチされた21名の定型発達の人たちがコントロール群とされました。 そして、カメラを渡されて「好きな写真を好きなだけ撮影してきてください。物でも部屋でも光景でも人々でもいいですよ」と求められたんだそうです。 予想されることですが、定型発達の人と比べて自閉症スペクトラムの人たちは、人間がポーズを取ったり、カメラを見ている写真はあまり撮影しない傾向がありました。 でも、自閉症スペクトラムの人々は、定型発達群と比べても、よりたくさんの人間の写真を撮影したのです。 だから、自閉症スペクトラムの人がみな非社会的で他人に無関心というわけではないとのことです。 写真を並べてみると、定型発達の人とは他人を撮影するポイントがやや違うことが明らかになりました。 自閉症スペクトラムの人に撮影された人々は、カメラを見ていないだけじゃなくて、そもそも顔が映っていなくて身体の一部だけであることも多かったようです。 その他にも、同じ物を何度も撮影する、一般的ではない角度から撮る、幾何学図形を好む、ぼけたり、傾いたり、何かにさえぎられている写真を撮るといった特徴があったとのことでした。

自撮り(セルフィー)は自己評価の低さや生活への不満足と関連している?

街中で自撮り棒を持った人を見かけることも増えてきました。 なんでまた自分を撮影したいのだが、個人的にはよく分からないのですが、facebookやtwitterなどのSNSに写真を載せるのがいちばんの目的なのでしょうか。 「セルフィーと自己評価の意外な関連」 The Selfie And Self-Esteem Have An Unexpected Lin k | PSYBLOG という記事を読みました。 ソーシャルメディア上の自撮り(セルフィー)は、自己評価の低さや生活に対する不満足と関連しているが、それはパーソナリティによっても違うということが研究で明らかになったということです。 調査の結果、SNSへの投稿は、自己評価や人生の満足には影響していないことがわかりました。 しかし、自分のでも他人のでも、自撮り(セルフィー)をよく見ている人たちは、自己評価と人生の満足度が低い傾向が見られたのです。 一般的には、人々は楽しかったりハッピーなときにセルフィーをポストすると思われます。 人のセルフィーを見ると、「あの人は楽しそうでいいなあ。それと比べて自分は…」と落ち込むと言うことのようです。 他人のセルフィーを見てうらやましいのは分からなくもないですが、自分のを見て落ち込むのはなぜでしょうね。調査の対象となったのは、ふだんはあまりSNSに投稿しない人たちとのことなので、たまにがんばって自撮り写真をあげてみるけど、「やめときゃよかった」と沈むのかもしれません。 (そういうこと、ありませんか? リア充を演じてみたけど、かえって虚しかったというような) また、みんながそうというわけではなく、人気者になりたいという気持ちが大きい人は、他人のセルフィーを見ても自己評価や人生の満足度が低いということはないと明らかになりました。 さらには、笑顔のセルフィーを撮影すること自体は、自信や安心が増すといったポジティブな感情とつながっていることも研究でわかったそうです。 Wang et. al, Let me take a selfie: Exploring the psychological effects of posting and viewing selfies and groupies on social medi...

ちょっとドッキリなイタズラに

ネットで見かけたので。 (1)あなたは石けんで目を洗うことはできない。 (2)自分の髪の毛を数えることもできない。 (3)舌を出したまま、鼻から息をすることはできない。 (4)あなたはいま(3)を試したところだ。 (6)あなたが(3)をしたとき、できるとわかっただろう。犬みたいに見えるだろうけど。 (7)今、あなたは笑っている。からかわれたからね。 (8)あなたは(5)を 飛ばした。 (9)(5)があるかどうか、確認したところだろう。 (10)これをシェアして友だちにも楽しんでもらって! :-) とのことです。

ノンアルコールビール飲み比べ。「ドライゼロ」「オールフリー」「龍馬1865」を比較。おいしいのはどれ?

このごろ休肝日をつくるようにしていたこともあり、ノンアルコールビールをいくつか比較してみました。おいしいのはどれでしょう。 アサヒビールの「ドライゼロ」と、サントリーの「オールフリー」、そして日本ビールの「龍馬1865」を紹介します。 アサヒドライゼロ このごろいちばんよく飲んでいるのがコレです。 アサヒ ドライゼロ ノンアルコール  「ドライ」というだけあって、アサヒのスーパードライに似た、ドライなのどごしのノンアルコールビールです。 個人的な感想ですが、けっこう美味しいと思う。 「アルコールゼロ」「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」と、身体にやさしいのです。 ビールよりもこっちをしばらく飲んでいたら、3キロほど瘦せました。 サントリーオールフリー こちらもたまに飲みます。 サントリー オールフリー ノンアルコールビールテイスト飲料 同じく、カロリー、糖質ゼロ。ついでにプリン体もゼロとのことです。 ドライゼロとくらべるとすっきりした後味です。 龍馬1865 日本ビールは、以前、青島ビールなどの輸入を行なっていた会社です。 この龍馬1865は、Amazonで見つけて、人気があるので箱買いしてみました。 日本ビール ノンアルコールビール 龍馬1865  アルコール分がゼロでもドイツビール並みのしっかりとした麦の香りと苦み とあります。ビールっぽい苦味とのどごしで、これも、なかなか美味しい(ノンアルコール)ビールです。 「まさにビールを飲むが如し」とのキャッチコピー。 おすすめは 飲み比べてみて、個人的に好みだったのは「龍馬1865」ですが、コンビニやスーパーなどではなかなか見かけません。 Amazonでぽちっと買うと、二日後くらいには到着しました。 「ドライなのが飲みたい」というときには「ドライゼロ」一押しです。 それにしても、普通のビールのときは2、3本は飲めるのに、ノンアルコールだとたいして量が飲めないのはなぜなんでしょうね。 酔っぱらってないからというだけなのか、それとも他に秘密があるのでしょうか。 というわけで、ノンアルコールビール飲み比べでした。 そのうち、他の銘柄にもチャレンジしてみようと思います。 はい...

「頭の良さは母親からしか遺伝しない」?

職場にあった『女性自身』の表紙に、「頭の良さは母親からしか遺伝しない」というタイトルの記事があったので、読んでみました。 「知的能力は父親ではなく、母親から受け継がれる」 というネットで紹介された遺伝にまつわる新説が取り上げられています。 アメリカのニュースサイト「サイコロジースポット」に掲載された、ジェニファー・デルガドさんという方が書いた記事がソースだそうです。 研究結果では、子どもの知的能力は母親から遺伝し、攻撃性や衝動性といった本能は父親から遺伝することが判明したということなのです。 ネットでは、「何でわが子がアホなのか、これでよくわかった」という納得波から、「えー? 信じない! 勉強しなくてもできちゃう子と理解力がない子ときょうだいでもかなり差があったりとかするじゃん」といった懐疑派までさまざまな声が噴出しているとのこと。 どうでもいいのですが、こういう「ネットの声」って、ツイッターから適当に選んでいるのかな。 と思って検索してみたら、 ガールズちゃんねる というサイトにスレッドが立っていました。 そんなことより、元ネタを探してみます。 Did you know that intelligence is inherited from mothers? これですね。 「知能は母親からしか受け継がれないって知ってた?」 というタイトルの記事です。 Mother's genes go directly to the cerebral cortex, those of the father to the limbic system 母親の遺伝子は大脳皮質に直接向かい、父親の遺伝子は大脳辺縁系に行く ということだそうです。 海外で賛否両論で話題になったから、日本でも取り上げられたのですね。 女性自身の記事では、日本の大学の先生たちへの取材でこのような見解が紹介されています。 子どもの”頭のよさ”は、遺伝といった先天的な要素よりも、教育や環境などの光点的な要素が大きいと見られているのです(・・・)アメリカで報じられた学説のように、”父親は関係ない”ということではないのです また、IQ(知能指数)と遺伝子の関係については、 これまでもIQを決める遺伝子を探そうとした研究者はい...

自殺予防デー、4人に1人が「本気で自殺を考えたことがある」

9月10日が「自殺予防デー」、今週は自殺予防週間です。 日本の2015年の自殺者数は2万4,025人。1998年以来、年間3万人を超えつづけていた自殺者数は、2010年以降は減少傾向にあります。 しかし、それでも日本の自殺率は先進国の中でも突出しており、とくに15歳~39歳の若い世代の死因第1位が自殺であるのは、日本だけなのだそうです。 日本の4人に1人が「本気で自殺したい」 調査結果に衝撃  R25 この記事によれば、日本財団が行った自殺意識に関する調査で、次のようなことが明らかになりました。 過去一年以内の自殺経験者は推計53万人 成人男女の4人に1人が「本気で自殺を考えたことがある」と回答 全国の20歳以上の男女、約4万人が対象となった調査です。 過去1年以内に自殺未遂を経験した人は、男性26万4000人、女性27万1000人と推定されています。 年代別では20代の自殺未遂者が最も多かったといいます。 また、「本気で自殺したいと考えたことがある」と答えた人は、全体の25.4%(男性22.6%、女性28.4%)、若年層(20~39歳)は34.5%でした。 若い人ほど「死にたい」と本気で考えるのが、今の日本社会ということでしょうか。 5人に1人が 身近な人を自殺で亡くしていることもわかりました。 自殺未遂には2つ以上の原因が重なっていることが多いということも調査から明らかになりました(自殺念慮者の65.5%が2つ以上の原因と回答)。 原因としては、男性は「勤務問題」「経済生活問題」「健康問題」、女性は「家庭問題」「健康問題」「学校問題」が上位だったとのことです。 日本財団の調査は下記から報告を読むことができます。 対象4万人超「全国初」自殺意識大規模調査

Facebookでリア充自慢するほど不幸になるしうつになりやすい

一週間のFacebook断ちで得られる4つのメリット や ソーシャルメディアやSNSにいつもつながってると、不安や抑うつが増すとの研究 でも取り上げましたが、SNSにはメンタルにネガティブな影響を与えることもあるのです。 「SNSでリア充自慢する奴ほど不幸になり、うつ病になりやすい」無慈悲な調査結果 という記事では、SNSと幸福感や抑うつに関するいくつかの研究が紹介されていました。 本当にリアルでの生活が充実しているなら、わざわざネットでアピールしなくたっていいんじゃない? SNSでリア充自慢している人って、本当に幸福なの? こんな疑問をもったことのある人もいるのではないでしょうか? 2013年に韓国で、Facebookユーザーに対してリサーチが行なわれたとのことです。 すると、 ・ある程度までは、SNSの友達が多いほうが幸福度は高まる ・しかし、友達の数が数千の単位になると、今度は鬱病の発症リスクが高まる という結果が得られたとのこと。 また別の研究では、「SNSで友達が多い人は、友達が少ない人とくらべて、逆に不幸を感じている」ということが明らかになりました。 「ダンバー数」で有名な、ロビン・ダンバー博士の研究で明らかになったのは、 ・どれだけ友達の数が多くても、コメントのやり取りをするのは150人ほど ・困ったときにネットで共感を示してれるのは、そのうち13.6人だけ ・さらに、困ったときに現実に助けてくれる「真の友達」は、4.1人しかいない ということでした。 「友だち100人できるかな」 という歌にあるように、まあ100人〜150人くらいが友だちの数の限界なのでしょう。 「(友達の上限が150人なのは)人間の認知に制限があるからだ。また、それ以上の人間関係をやりくりするのは、時間のコストが大きすぎる」 とダンバー博士。 また別の研究。 ・SNSを使う時間が長い人ほど、鬱病の発症率があがる ・他人の投稿と自分の現状を比べる回数が多いと、さらに不幸になっていく まとめると、自分のリア充を自慢しても不幸になるし、友だちが多すぎても、あるいはSNSを使いすぎてもうつや不幸になるということですね。 ううむ。やっぱりたまには Facebook断ち をした方がいいかもしれませ...

ホロウマスク錯視が統合失調症を予測する

「統合失調症を予測する視覚的錯覚」( Optical Illusions That Predict Schizophrenia )という記事を読むと、統合失調症の人はそうでない人と比べると錯視錯覚にだまされないということが書いてありました。 統合失調症は、幻覚や妄想など、「現実をゆがめて知覚する」病気だと考えられていますが、ある種の視覚的錯覚に対してはあまり反応しないのです。 いくつかの錯視が挙げられていましたが、たとえば「ホロウマスク錯視」と呼ばれる錯視があります。 次の動画を見てください。 こんなふうに、仮面の裏側の凹が、凸面の顔に見えてしまう錯視です。 「こっちは裏側のはずだ」と頭では分かっていても、やっぱり凸面に見えてしまいます。その瞬間、回転方向まで変わって見えますね。 「人間の顔はでっぱっているものだ」という無意識的推論が働いているのでしょうか。 ところが統合失調症の人にはこの錯視が起こらない(起こりにくい)ということが知られています。 他にも「チャブ錯視」や、有名な「ミューラー・リヤー錯視」なども、統合失調症の人は反応しにくいのだそうです。 チャブ錯視とは、「主観的コントラストが周辺部に依存して知覚される」ような錯視です。 中央の円の色は左右同じなのですが、違って見えますね。 調べてみたらすでに何年も前にwiredなどで取り上げられていました。 仮面の裏側が見える人・見えない人:「ホロウマスク錯視」研究 によると、 健常者が凹面の顔を見ているときには、トップダウン処理に関与する前頭頭頂ネットワークと、目から情報を受け取る脳の視覚野との間で結びつきが強くなった。一方、統合失調症患者にはそのような結びつきの強化はみられなかった。 とのことです。 健常者の脳はこの結びつきが強まることで自らの予想する視覚(つまりふつうの顔)が見えるように処理しているが、統合失調症患者はこの脳の回路をうまく調整できないので、凹面の顔を現実そのままに受け入れていると考えられています。 統合失調症の人のロールシャッハ・テストの反応なども、こうした錯視への感度の違いから説明できるところもあるのかもしれません。

サチリアージス(男子色情症)とサテュロス【語源を調べてみた】

男子色情症あるいはサチリアージスとは、男性の性欲が異常亢進した状態。 ギリシャ神話のサテュロス(Satyros)が語源とのこと。 サテュロスは、ギリシャ神話に登場する下半身が山羊の半人半獣の精霊で、ローマ神話の森の精霊ファウヌスや、ギリシャの牧羊の神パーンとも同一視されていたそうです。 自然の神であり、「欲情の塊」と見られていました。 ウィリアム・アドルフ・ブグロー作『ニンフとサテュロス』(1873年) ディオニューソスというお酒や集団的狂乱の神様の仲間で、同じように乱痴気騒ぎが好きな精霊のようです。ブグロー作の『ニンフとサテュロス』という作品にも、そうした光景が描かれています。 1人の名前というわけではなく、サテュロスの種族というのがいるのですね。 マルシュアースという名のサテュロスは、アポローンと音楽の腕を競って破れてしまい、罰として生きながら全身の皮を剥がれて死んだそうです。 半分山羊の姿で、角が生えたサテュロスもいて、後のキリスト教世界では悪魔やサバトのイメージにつながっていきました。 さて、サテュロスが語源のサチリアージス(男子色情症)。 19世紀に精神科医のクラフト・エビングがHypersexuality(性行動亢進)について書いているそうです。 ドンファン症候群と呼ばれたり、あるいは女性の場合はニンフォマニアといった名称もあります。 WikipediaのHypersexualityの項目をちらりと読むと、性行動亢進自体が主な状態として見られることもあれば、クリューヴァー・ビューシー症候群 (Kluver-Bucy syndrome:脳の扁桃体の損傷、障害に起因する行動障害)や双極性障害に伴うこともあるとのこと。また、ある種の薬物療法やホルモン療法の副作用として性行動亢進が生じることもあります。  性依存などの依存症(アディクション)として理解され、治療の対象となることもあります。 最近ニュースでよく見る言葉だったので、調べたことをメモしてみました。 --- 追記 「サチリアージス」というキーワードは、この度は、高畑裕太容疑者の事件との関連でたくさん検索されています。キーワードプランナーを見ると、月間平均検索件数は720件ですが、2016年3月だけ6600回と突出しています。 そ...

カウンセリングや心理療法の未来はオンライン? というインフォグラフィック

たまたまネットサーフィンをしていて見つけたインフォグラフィックです。 Share this infographic on your site! とのことなので、シェアします。 Is the Future of Counseling and Therapy Online? Source: BestCounselingDegrees.net タイトルの下の1番目の段には、 アメリカ人の26.2%がメンタルヘルスや依存症の問題をもっている(その数5900万人!)。 その三分の一が専門的な援助を求めている。 また、総人口の10%がストレスを感じていると告白している。 52%の人が、セラピーを受けるのは難しいと考えている。 ということが書かれています。 その下。 カウンセリングやセラピーに行かない理由。 料金が高すぎる。39% 自分の問題はそれほど深刻じゃない。35% 自分には効果ないだろうから。32% 「料金が高い」というのは、やはりネックですね。 その右。 男性は女性の2倍、次のようなことを言う。 「セラピストなんて信じないね」 「セラピーに行くようなやつと関わりあいたくないな」 ふむふむなるほど。 オンラインセラピーがこうした人たちの助けになるかもしれない、ということのようです。 その下。 オンラインセラピーのタイムライン(歴史)。 最近のイノベーションのように見えて、実は40年以上の歴史があるのです。 1972年にはスタンフォード大学とUCLAで、コンピュータをつないで最初の心理療法のシミュレーションが行なわれました。 1986年には、オンラインでメンタルヘルスのアドバイスを提供するサービスが登場。 1993年はオンラインでうつ病の人たちをサポートするグループが初めて作られ年だそうです。 1994年、オンラインベースのボランティアクライシスセンター(って何するとこでしょう)が誕生。 1995年、心理的なコンサルテーションが、シェアウェアを通じて受けることが可能になりました。 同じく1995年、チャットサービスを通じたカウンセリングが初めて行なわれたのだそうです。 次の段にはオンラインで利用可能な4つのタイプのサービスが取り上げられています。 Eセ...

幸せはお金で買えない? 性格と買い物が幸福に与える影響

二十代の頃より10倍金持ちになったという六十代の人間を見つけることは簡単だ。だが、そのうちのだれもが10倍幸せになったとは言わないはずだ。バーナード・ショー 「お金で幸せは買えない!」 なんて言われることがありますが、果たして本当なんでしょうか? Money Buys Happiness When Spending Fits Our Personality サイコロジカル・サイエンス誌に英国ケンブリッジ大学の心理学者たちによる「パーソナリティに合った消費であれば、お金で幸福を買うことができる」という論文が掲載されています。 調査ではイギリスに住む約7万6000人が、半年間にどんなふうにお金を使ったか、そしてそれぞれどんな性格をしているかということを分析しました。 どんな人が、何にお金を使ったときに、心理的な満足感が大きいかということを調べたわけです。 その結果、自分の性格に合ったことにお金をたくさん使っている人ほど、より幸せを感じているのだと判明しました。 性格傾向の調査は、例によって5因子性格理論によるものです。 経験への開放性 誠実性 外向性 協調性 情緒不安定性 という5つの性格特性によってパーソナリティを捉えようという、現代の心理学で共有されている視点です。 それぞれの性格傾向が強い人が、より満足したお金の使い方は、次のようなものでした。 レジャー、旅行、音楽 保険、健康、ジム 娯楽、外食、 チャリティー、ペット ギャンブル、モータースポーツ つまり、経験への開放性(好奇心が強くて新しいことが好きな人)は、旅行やレジャーにお金を使うとより満足するのです。 情緒不安定な人がギャンブルやモータースポーツで満足するというのは意外ですね。 それぞれの性格傾向の人が、満足度が低かったお金の使い方は、 住宅費 ギャンブル、レジャー 保険料 ギャンブル チャリティ、本 だそうですよ。

赤ん坊の空間推論スキルは、4歳時の算数能力を予測する

Babies’ Spatial Reasoning Skills Predict Math Ability at Age 4 |PsycheCentral 赤ん坊の空間推論スキルは、4歳時の算数能力を予測する Psychological Science誌に発表された研究によると、乳幼児期の空間推論スキルが、4歳になったときの算数の能力を予測していることが明らかになったそうです。 数学好きの人もいれば、数学が怖くて近寄りたくない人もいるのはなぜかということを説明してくれるかもしれない発見とのこと。 「この結果は、単に賢い乳児は賢い4歳児になるということじゃありません。そうじゃなくて、私たちが早期の空間推論と算数能力について、何か特別なことをして磨くことができるだろうということなんです」と研究者のステラ・ロウレンコさんは話しています。 以前の研究では、13歳のときに空間的な能力が優れていることは、科学やエンジニアリング、数学などの分野における30年以上後の専門的・創造的な達成を予測することが示されていたんだそうです。 空間推論は、後の数学的、科学的な思考力の基礎となるということなんですね。 この度の研究では、6ヶ月から13ヶ月の63人の乳児が被験者となって、「心的変形(mental transformation)」という視覚−空間スキルをテストされました。 「心的変形」で検索すると、日本では「折り紙」の研究がいくつかヒットしました。 たとえばこんなの。 立体イメージの形成―『折り紙』を使った心理学的研究 |KAKEN ロウレンコさんたちの研究に戻ります。 乳児は、「心的空間」のなかで対象を変形させたり、回転させる能力もテストされました。 同時に、語彙やワーキングメモリ、空間的短期記憶、処理速度などの認知能力も測定されています。 空間推論を調べる方法は、次のようなものだそうです。 赤ちゃんが、テトリスのような図形が映ったビデオ映像を見せられるのですが、2つの図形が鏡映像となっているものと、そうじゃないものに分けられるのだと。 赤ちゃんは、珍しいものや興味のあるものを長く見つめるので、「2つの図形は(回転させたり、反転させたら)同じだ」と気がついたら、それだけ長時間目を向けているだろうということです。ファンツの...

算数>数唱という傾向をどう解釈するか(wais,wisc)

WAISやWISCなどで、「算数」は高得点なのに、「数唱」が低いといったような乖離はなにを意味しているのだろう。 と思って検索してみました。 arithmetic, digit span, discrepancy をキーワードにしてみたら、Google Booksで " Handbook of Psychodiagnostic Testing " という本がひっかかりました。 こんな記述がありました。 When the Arithmetic subtest score is high and the Digit Span score is low, a depressive trend is suggested because the element of attention associated with Digit Span can be impaired by preoccupations of mood. The focused concentration of Arithmetic may be retained. The past experience associated with the operations of the Arithmetic subtest facilitates this concentration.  算数>数唱 のときには、抑うつ傾向が示唆されるだろうとのことです。なぜなら数唱に関連する注意の要素は、気分によって損なわれやすいからです。一方で、過去の経験を活かすことのできる算数では集中力を保ちやすいという理屈らしい。 反対に、数唱が高くて算数が低得点の場合、スキゾイドもしくは強迫が関連しているそうです。 In contrast, when Digit Span is high and Arithmetic is low, diagnostic implications may involve schizoid or obsessive phenomena, because the suppression of anxiety in the schizoid or obsessive diagnoses aids in the ability to atten...

『新しい事例検討法PCAGIP入門 パーソン・センタード・アプローチの視点から』

Kindle Unlimitedで心理学本 をたくさんダウンロードして、最初に読んだのがこの本。 PCAGIPは「ぴかじっぷ」と読むらしいです。

目から心を読む(心の理論):自閉症スペクトラムとアレキシサイミアの違い

『異常心理学』誌から。 Oakley, Beth F. M.; Brewer, Rebecca; Bird, Geoffrey; Catmur, Caroline, Theory of mind is not theory of emotion: A cautionary note on the Reading the Mind in the Eyes Test. Journal of Abnormal Psychology, Vol 125(6), Aug 2016, 818-823 「心の理論は感情の理論ではない:目から心を読むテスト(RMET)に関する留意点」 といった感じでしょうか。

Kindle Unlimitedで読む心理学本34選(とりあえずダウンロード)

今さらですが、Kindle Unlimited一ヶ月お試しに登録してみました。 心理学関係の本がけっこう読めるみたいなので、読んだことがある本や、読んでみたいものを以下に挙げてみます。 まずはフロイトの本。アインシュタインに宛てた有名な書簡が入っています。 今のうちにダウンロードしておきましょう。 これもこれも。unheimlichという単語をこれで覚えた。 臨床心理学の入門書。 諸富祥彦先生。 マンガ本のシリーズです。 「犯罪者はなぜ生まれるか」「殺意と殺人が起きるわけ」「性犯罪を起こす心理」「騙し、騙される心理」「少年非行に潜む心の闇」などなど、犯罪心理学についての分かりやすい入門書です。 恋愛や夫婦の心理、破局の心理等を、マンガで解説した本です。 アドラーの本はたくさんkindlunlimitedで出ているのですが、どれも30ページほどの短いものです。以前、うっかり料金を払ってダウンロードしたらすぐに終わって腹が立ったので、unlimitedでない方はページ数を確認してからがいいと思いますよ。 「超訳」ってシドニィ・シェルダンとかで昔流行りましたね。中身を読んでないので、どうでしょう。試しに読んでみてもいいかもしれないです。 著者は、元トラックドライバーの交通心理学者なのだそうです。確かに、人はよく飛行機が落ちることを心配するけれども、車の事故で死ぬ確率の方が何倍も高いのです。 國分先生のカウンセリング入門書です。臨床心理学などと比較しつつ、「カウンセリング心理学」の概要を説明しています。 「落ち着きがない」「友だちと上手に接することが出来ない」「何度言っても忘れてしまう」発達障害の子どもの理解とサポートについてわかりやすく書かれた本です。 織田尚生の本も入ってますね。 ユング派分析家であり精神科医である著者が、統合失調症の世界から日本人の自己実現過程という普遍的問題までを、臨床経験と分析心理学の知見を縦糸、日本神話を横糸とした織物として描き出した労作。 おお!「名作選集」。ダウンロードしました。 ...