『パーソナリティ研究』をウェブでぱらぱらめくって(って表現はネットサーフィンにはふさわしくないか)たら、こんな研究を見かけた。

ロマンティック幻想の測定—潜在測度,顕在測度の乖離と理想測度|パーソナリティ研究 第 23 巻 第 3 号



ロマンティックな幻想(romantic fantasy)というのは、「いつか王子様が現れて私を幸せにしてくれる」という、シンデレラそのほかいろいろな物語に表現されているような空想を指している。

女子大学生を対象にして、ロマンティックな幻想についてあれこれ調べた研究らしい。

若い女性には恋人を「王子様」とを潜在的に結びつける幻想があって、それが強い女性ほど、王子様のような男性によって自分の地位を高めてもらいたいと考えているのだそう。

「王子様」幻想が強いほど、自分で努力して何かを得ようという志向性が弱くなるんだと。

ロマンティックな幻想は女性が無意識のうちに自らはめた足かせのようなものだそうで、これは「ガラスの靴効果」と名づけられている。

ガラスの靴に期待することで、かえって自分でがんばろうとせずに「王子様」に依存してしまうんだって。

この研究では、潜在的な(無意識的な)ロマンティック幻想は、その女性の「理想の恋人」に近い概念だということが分かった。

質問紙で、
「あなたの理想の恋人について」

「現在交際中の恋人について」
尋ねていて、

  1. 王子様のようだ
  2. 私を守ってくれる
  3. ごく普通の人(逆転項目)
  4. ヒーローのようだ
  5. 白馬の王子様のようだ

といった項目について6件法で回答を求めたと。

また、潜在的なロマンティック幻想の度合いは、IAT (Implicit Association Test)という手法で測定された(参考:IATテスト)。

その結果、恋愛対象を「王子様みたい」と意識的に表明する女性ほど、パートナーの社会的経済的地位に頼ろうとする依存的な態度が弱いことが分かったという。
また、そうした女性ほど、満足や幸福感が高い可能性があるとのこと。

逆に、潜在的な、あるいは理想的なロマンティック幻想を抱いてる女性は、より結婚相手の地位を通じて自分の価値を高めようとする依存的な態度があるという。

ええと、ようするに、今の彼氏が大好きで「王子様みたい」と捉えている女性は、幸福度が高くて依存的ではない。逆に、「いつか(もっといい)王子様が来るに違いない」と高望みしている女性ほど、依存的だってことなのかな。

たぶんそんな感じだと思う。


麻生,奈央子「シンデレラ物語が女性の慈愛的な世界観に及ぼす効果」
も後で読んでみよう。