「死にたい」という言葉の検索数を調べてみた

グーグルのキーワードプランナーというサービスがある。

インターネットに広告を掲載したい人が、「キーワード」を探すときに使うもので、たとえば「黒酢にんにく」を売りたい人が、この言葉が月にどれくらい検索されているかを教えてくれるのだ。

先日、このキーワードプランナーを使っていて、思いつきで「死にたい」という言葉の月間検索数を調べてみた。




どれくらいだったと思いますか?

ちなみに、「心理学」というキーワードの検索数は月に60500回だ。

「死にたい」という言葉を調べてみると、次のような画面が出てくる。




なんと16万5000回も検索されているのだ。それだけ、死にたいと感じている人が多いということだろうか。

平均月間検索ボリューム(月ごとの検索回数)のグラフを見ると、4月、5月と上昇し、6月がもっとも高くなっている。関連キーワードなどを合わせて、30万件ほどのボリュームがあるということだ。
統計では、春から初夏にかけては実際の自殺件数も多い。

関連性の高いキーワードを見ると、

「死にたい 消えたい」という複合キーワードが1900件、

「早く死にたい」は5400件となっている

「死にたい 助けて」という言葉の検索数が1600件なので、それだけ助けを求めている人もいるということだ。「死にたい 死にたくない」という検索語にも、どちらにも揺れる気持ちの葛藤が表れている。

もっと下のほうを見ると

「失恋 死にたい」も1600件、「就職活動 死にたい」「働きたくない 死にたい」は590件ずつだった。

「死にたい」と検索すると

では実際に「死にたい」と検索してみると、どんなページがヒットするのだろうか?

Googleで検索すると、まずまっさきに「こころの健康相談統一ダイヤル」が表示される。死にたくなったら、まず電話で相談してくださいということだ。

リンク先は内閣府の案内につながっている。

こころの健康相談統一ダイヤル

そのページを読むと、自殺総合対策大綱が平成19年に閣議決定されて、自殺防止のために相談しやすいシステムをつくるために、全国共通の電話番号が設定されたということだ。

こういう電話相談は、なかなかつながりにくいこともあるが、それでも検索したときに表示されるのが自殺の方法ばかりでないということは大切だと思う。

あとは、「対処法」だとかカウンセリングの宣伝だとか、人はなぜ死にたいと思うのかといった哲学的な?考察だとか、いわゆる「自殺サイト・掲示板」などが並んでいる。

「死にたい」と思ったときに

電話相談や、精神科・心療内科、あるいはカウンセリングなどにつながる以外に、どんな対処法があるだろう?

ちょっと死んでみる

神田橋條治『 改訂 精神科養生のコツ 』で紹介されているのが、この「ちょっと死んでみる」という養生法だった。

この本によると、養生のコツは、がまんだとかがんばるというのをできるだけ減らして、「わがまま」や「気持ちがいい」を増やすのが基本だ。そして、症状や病状にふくまれている自然治癒力に協力するのが大切。

「死にたい」と思うのは、症状だからここには自然治癒力のあらわれがある、と神田橋先生はいう。それを活用してみるのがヨガの死体のポーズを応用した「ちょっと死んでみる法」だそうだ。

自殺を決意した人は妙に明るくなる、といった臨床的な観察をヒントに考案されたそう。
  1. 仰向けに寝る。手のひらは床にむける。
  2. 目を閉じて「私は死んだ」とこころの内でつぶやく。
  3. 体から皮膚や肉がとけてゆき、大地に吸い込まれてゆき、きれいな白骨だけが残るとイメージする。すじもとけて流れ、白骨はバラバラになる。
  4. 「地面が揺れると骨が揺れる」とつぶやいて、ごくかすかに体を揺らす。
  5. そうするとまだ皮膚や肉がとけきっていない部分が感じられるので、「とけてゆくとけてゆく」とイメージする。
  6. 全身の白骨がバラバラになったら、「気持ちがいい」だけその状態を続ける。
  7. つぎに、「わたしは生まれ変わる」とつぶやく。
  8. 手足の先から中心へ向けて、つぎつぎに骨がつながってきて、大地のなかで浄化された肉と皮が骨を包む。
  9. 全身が完成したら目を開く。
やってみて「気持ちがいい」と感じるなら、ときどき試みるといいようだ。

幽霊になってみる

もうひとつ面白いなと思ったのが同じく『精神科養生のコツ』で取り上げられている、「幽霊になってみる」という養生法。「死にたい」というのは「すべてを投げ出したい」ということでもあるけれど、「そうしたいわけじゃないよな」ということもあるかもしれない。

自分が死んだら幽霊になるだろうかと、自分に聞いてみて、幽霊になりそうだったら「すべてを投げ出したい」わけじゃなくて、何かしら未練や恨みがあるということだ。

幽霊になったら誰のところに現れてどんなセリフをしゃべるかなと想像して、小声でそのセリフを言ってみるといい。

投げ出してしまえない思いや恨み、未練がわかったら、その思いをどう生かすかを考えてみると、これから進む方向が見えてくるだろうというわけ。

ほかにも、「のたうち回る」とか「週末蒸発」といったユニークな養生法がたくさん紹介されているので、読んでみるとひとつくらいあなたに合うのが見つかるかもしれません。


改訂 精神科養生のコツ



自殺しないための99の方法


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