解離と自傷の合併の治療に弁証法的行動療法と長期暴露を用いる:境界性パーソナリティ障害と心的外傷後ストレス障害のクライエントの事例

8/11/2015

解離 境界性パーソナリティ障害 自傷 心理療法

t f B! P L
例によってアブストラクトだけななめよみ。リネハンらによる事例研究とのこと。

解離と自傷の合併の治療に弁証法的行動療法と長期暴露を用いる:境界性パーソナリティ障害と心的外傷後ストレス障害のクライエントの事例
The Use of Dialectical Behavior Therapy and Prolonged Exposure to Treat Comorbid Dissociation and Self-Harm: The Case of a Client With Borderline Personality Disorder and Posttraumatic Stress Disorder

Hollie F. Granato*, Chelsey R. Wilks, Erin M. Miga, Kathryn E. Korslund andMarsha M. Linehan

Journal of Clinical Psychology
Article first published online: 30 JUL 2015

【キーワード】

境界性パーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、弁証法的行動療法、長期暴露

【アブストラクト】
境界性パーソナリティ障害(BPD)と心的外傷後ストレス障害(PTSD)の合併率は非常に高い。

呼び研究では、PTSDとBPDの治療を検討し、弁証法的行動療法(DBT)と長期暴露(PE)の統合が良い結果をもたらすことがわかった。

この事例研究では、PEのプロトコルを標準的なDBTに含めて実施することを例示している。

特に、PTSDとBPDを併発したクライエントが、自傷と重篤な解離をマネージすることに焦点が当てられた。

クライエントは、重篤で長期間にわたる解離と、最近の自傷歴の治療に取り組んだ。
事例では、だんだんエスカレートする解離と自傷行為と関連するPTSDの治療には、ふたつの別の段階があるということが考察されている。

クライエントはDBTとPEのプロトコルを完了することに成功し、その結果、自傷と解離、そしてPTSD症状が大きく改善した。

こうした発見は、BPDとPTSDを併発しているクライエントに対して、DBTとPEのコンビネーションが効果的であることを明らかにしている。

そして重篤な解離と自傷行為をみせるBPDという複雑なクライエントが、PTSD治療を安全に、かつ首尾よく受けるにはどうすればいいかということを例示している。

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重篤な解離や自傷行為がある人は、暴露療法によって容易に解離やフラッシュバックが起きるだろう。そうならないように、DBTで強く抱える、といったアプローチかなと想像される。日本ではまだまだ実施は難しいだろうけれど。

*参考
Marsha Linehan: What is Dialectical Behavioral Therapy (DBT)?


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