カセットテープに自分の声を吹き込んで聴いてみると、「こんな声じゃない」と妙な気分になったことってありませんか(カセットテープの時代じゃなくてもいいけど)。
あるいは、両手で耳をおおった状態でしゃべると、自分の声が頭蓋骨に響きます。

ふだんも私たちは自分の声を聞いているはずですが、いつもはそれほど意識しない。

けれども自分の声って、けっこう自分の感情状態に影響を与えているのかもしれない、という研究です。



Covert digital manipulation of vocal emotion alter speakers’ emotional states in a congruent direction

ええと、なんて訳したらいいんでしょう。

声の感情を密かにデジタル操作することで、話し手の感情状態をそれに一致した方向に変化させることができる、といった意味合いのようです。

私たちは、自分自身の声を聴くことで、「私って今、悲しいんだ」とか「幸せなんだ」といったような、どう感じているかを知ることができます。

だとしたら、声の聞こえ方をひそかに変えてしまうことで、感情体験を動かすことができるかもしれない。

実験では、被験者の声の情緒的なトーンをこっそりと変化させることができるデジタル・オーディオ装置が使われました。

被験者の声は、幸福、悲しみ、怖れといった方向に、密かに変えられてしまいます。ほとんどの人は自分の声が変えられていることに気づきませんでしたが、声が変化した方向に感情体験も変わったのだそうです。

ようするに、自分の声がちょっとだけ幸せそうに聞こえたら、気分もちょっとハッピーになるし、声が悲しそうだったら悲しい気持ちになるということですね。


この実験では、知らないあいだに声を変えられているわけですが、意識的に声を変化させることでも感情状態は変わるのかもしれません。

本当かどうか分かりませんが、ボイストレーニングでうつや不安が改善した、なんて話も聞いたことがあります。お腹から息を吐くのがよいのでしょうか。

ついでにちょっと調べてみよう。

...googling...

Depression changes how people speak, research finds

では、うつ状態の人は話し方や声のトーンが変わるという研究が紹介されていました。

うん。そりゃまあ、うつ状態のときには暗くて重苦しい声になりますね。記事には、声のトーンやパターンをアプリで記録することで、うつの悪化や回復を知る手がかりになるのでは、といったことが書かれていました。

Twitterに投稿される言葉をモニタ—することで、産後うつ病のリスクを知ることができるといった以前の研究も紹介されています。

Timeで、Singing Changes Your Brainという記事も見つけました。

集団で歌を歌うことで、ストレスが減り、不安がやわらぎ、エンドルフィンが分泌されることが科学的に確かめられたといったような内容です。音楽療法ですね。