『人工知能は人間を超えるか』(松尾豊、角川EPUB選書)

1/18/2016

テクノロジー 知能

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人工知能は人間を超えるか』(松尾豊、角川EPUB選書)

Kindleにて読了。人工知能研究は、これまでなんどかブームがあって、日本が最先端を走っている時期もあったようです。
心理学と関連する分野では、プログラムがカウンセリングをしてくれる「イライザ」なんてのもありましたね。




Your Highlights から、線を引いたところをいくつか抜粋してみます。
2011年、IBMが開発した人工知能「ワトソン」は、アメリカの有名なクイズ番組で、人間のチャンピオンを破って優勝し、賞金100万ドルを獲得した
ワトソンの技術は、医療分野に応用されたり、「シェフ・ワトソン」として、新しい料理のレシピを発案するために活用されるとのことです。

Wired誌の
人工知能「シェフ・ワトソン」にできて、人間にはできないこと
という記事によると、人間ではなかなか思いつかないような意外なレシピをシェフ・ワトソンが教えてくれるのだそうです。

IBM Chef Watson
で実際にレシピの組み合わせを試してみることができました。
cookpadでも、シェフワトソンとコラボして料理をつくるという特集があった。

脱線。
日本では、「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトが2011年にスタートした。センター試験の問題を解く人工知能を開発するというものである。
「東ロボくん」という名前で、年々偏差値が上がっていて、今では472の大学で合格判定が80%以上の「A判定」なんだそうです。そのうち人工知能の替え玉受験なんて事件が起こるに違いない。
日本ではソフトバンクが、2014年に「Pepper」という人工知能搭載のロボットを発表した。フランスのアルデバラン・ロボティクス社との共同開発である。感情エンジンという人工知能が搭載され、人の感情を読み取ることができるため、悲しんでいるときに励ましてくれたり、うれしいときに一緒に喜んでくれたりするそうだ。
Pepper、街中のソフトバンクショップなどでときどき見かけるようになりましたね。なんかお尻のラインが気になるロボットです。


いや、家にいたら邪魔じゃないかと思わなくもないのですが、どうなんでしょう。かわいくなるのかな。
人類にとっての人工知能の脅威は、シンギュラリティ(技術的特異点)という概念でよく語られる。人工知能が十分に賢くなって、自分自身よりも賢い人工知能をつくれるようになった瞬間、無限に知能の高い存在が出現するというものである
2014年の暮れ、スティーブン・ホーキング氏はインタビューに答えて、「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」と語った。「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に、『最後』の出来事になってしまう可能性もある」とも述べている
といったことが実現されると、映画『ターミネーター』みたいな人類の危機となるのでしょうが、本書の著者はまだまだそんな心配をする段階ではない、といった意見のようでした。

興味深かったのは、
いままで人工知能が実現しなかったのは、「世界からどの特徴に注目して情報を取り出すべきか」に関して、人間の手を借りなければならなかったからだ。
というところ。ゲシュタルト心理学でいうところの、「図」が浮き上がってくるということでしょうか。
ディープラーニングでは、このように「ちょっと違ったかもしれない過去」のデータをたくさんつくり、それを使って学習することで、「絶対に間違いではない」特徴量を見つけ出す。そして、「絶対に間違いではない」特徴量であるがゆえに、その特徴量を使った高次の特徴量も見つけることができるのである。
私の考えでは、特徴量を生成していく段階で思考する必要があり、その中で自分自身の状態を再帰的に認識すること、つまり自分が考えているということを自分でわかっているという「入れ子構造」が無限に続くこと、その際、それを「意識」と呼んでもいいような状態が出現するのではないかと思う。
専門外なのでわからないことも多いですが、面白い本でした。世界がもつ何らかの特徴に「気づく」ことと自己の再帰的な認識と自己意識について、もう少し考えてみたい。




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