心理学クイズとジェンダーバイアス、プライミング効果について
心理学クイズ
Can You Solve This Famous Psychological Riddle?という記事で取り上げられていた「有名な心理学クイズ」。Riddleだから、「なぞなぞ」の方が正しい訳かな。
心理テストってわけじゃありません。
こんなやつでした。
少年と父親が病気になった。悲しいことに、父親は、腫瘍が大きくなって死んでしまった。少年は生きのびたが、早急の手術が必要となって病院に駆け込んだ。外科医が呼ばれた。手術室に入り、患者を見た瞬間、外科医は叫んだ。「ダメだ! 私には手術はできない。これは私の息子じゃないか!」いったいどういうことでしょう? この文章におかしなところはありますか?
というなぞなぞ。
さて、みなさんも答えてください。
周りの人たちに聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「お父さんが生き返った?」
「死んだお父さんはニセモノだった」
「同性婚?」
もちろん、正解する人もいる。
正解
半分くらいの人は、「外科医は少年の母親だ」と分かって、この文におかしなところはないと答える。この有名な心理学実験は、1970年代ごろからあったようで、もともと「ジェンダーバイアス」あるいは「ジェンダーの不均等性」の実験のために使われていたらしい。
けれども心理学者たちはだんだん、別の説明を考えるようになった。
1.スキーマ
世界をみるために私たちは「スキーマ」を利用している。物を見るときの色眼鏡みたいなもんだ。「外科医」と「男性」が結びつくスキーマを、どこかで身につけてしまうと、この文章を読んだときに混乱するというわけだ。実際、外科医の男女比は日本ではどうなのかなと思って調べてみたところ、
「診療科名(主たる)」の構成割合を男女別にみると、「男」は「1 内科」が最も多く、次いで「12 外科」「13 整形外科」となっており、「女」は「1 内科」が最も多く、次いで「35 研修医」「8 小児科」「23 眼科」となっている。厚生労働省だそうです。内科は男女とも多いのか。男女比が同じくらいなのが「精神科」だった。
実際に外科医には男性が多いのだけれど、われわれの「スキーマ」は、それ以上に「外科医は男」という色眼鏡で固定されてしまいがちだということ。
「蜂は恐い」
「看護婦は優しい」
「私はダメ人間だ」
毎日の生活で、私たちは知らず知らずさまざまなスキーマに影響されている。それはなかなか変化させにくい。
2.プライミング効果
間違った答えはプライミング効果によるものだ、という説明も紹介されていた。ええと復習。プライミング効果とは。
あらかじめある事柄を見聞きしておくことにより、別の事柄が覚えやすくなったり、思い出しやすくなることをいう。ここで先に見聞きする事柄をプライムと呼ぶ(影響を受ける別の事柄はターゲットと呼ぶ)。たとえば、連想ゲームをする前に、あらかじめ果物の話をしておくと、赤という言葉から「りんご」や「いちご」が連想されやすくなる。また車の話をしておけば、同じ赤という言葉から「信号」や「スポーツカー」が連想されやすくなる。こうした効果が生じるのは、単語や概念が互いにネットワークを形成しているためだと考えられる。 指導場面では、先に手本を示したり、覚えさせたい事柄について雑談してから教えることで、プライミング効果による学習効率の上昇が期待できる。コトバンク最初に、 「少年と父親」と語られるし、父親についてはその後もすぐ言及されている。だから、父親について考えやすくなっている(それ以外のアイデアが連想されにくい)。
そういうわけで、「外科医」と聞いてすぐに「父親」「男性」を連想したのだろうとのこと。
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