例によって、dマガジンで読んだのだけど、週刊文春に

「思春期の脳」とのつき合い方

という記事があった。

「反抗期」が起きるのは親のせいではなかった!

なんてサブタイトルがついてるのは、多くの親が「急に死ねとかうざいとか言い出したのは、私の育て方が悪かったのか」と不安になるということの裏返しだろう。




ペンシルバニア大学のフランシス・ジェンセン博士という脳の研究者が書いた『10代の脳 反抗期と思春期の子どもにどう対処するか』という本が紹介されている。
ジェンセン博士は、小児科医・脳科学者で、自身もシングルマザーとして二人の男の子を育てたそうだ。

ティーンエイジャーの脳

脳の研究といえば、これまでは乳幼児か高齢者が対象となることが多く、ティーンエイジャーの脳はあまり取り上げられてこなかった。
脳の成長は幼稚園に入るころにはほぼ完成すると考えられていたが、最近の研究では思春期・青年期にも大きく変化することがわかってきた。
思春期に起こるさまざまな問題も、脳が発達途上にあるということが大きく影響しているのだという。

10代の脳は80%くらいしか完成していなく、シナプスのつながりの弱い領域が2割も遺されている。

ジェンセン博士はこう言う。
体も見た目も大人ですが、脳はまだ成熟していない。前頭葉が未成熟というのは、いわばブレーキのないフェラーリに乗っているようなもの。すごい学習能力を見せる一方で、一気飲みや暴走運転などの危険行為を因果関係がわかっていてもやってしまう。

依存しやすい脳

紹介されていた研究は、スクリーン上の光を見つめて、点滅する光が現れたら目をそらすという「目の動きを抑制する能力」を調べる実験だ。

好奇心の強い10代の若者たちの脳は、点滅する光に反応して(大人と比べて)強く活性化するので、誘惑や衝動に打ち勝つのがより困難なのだという。

だから、アルコールやドラッグ、ゲーム、あるいはスマートフォンなどに依存しやすいのだそうだ。また、大人と比べて10代の脳はシナプスの数が多いので、活発にシナプスが反応する。ひとつのことに熱中してすごい早さで新しいことを学べるのも、逆になにかに没頭しすぎて依存してしまうのも、こうした脳の特性が影響している。

親や教師のかかわりかた

「ブレーキのないフェラーリ」が、暴走しないように、親や教師がうまくかかわるコツはあるのだろうか。

10代の子どもが感情を爆発させたときに、大人も一緒になって感情的に対応するのはいちばんよくないことだとジェンセン博士は述べる(まあ、だいたいそうだ)。

子どもに何かを言う前に「十まで数えて冷静になる」のがまず大事。

その後で、10代の脳の学習能力の高さを期待して、根気強く、根拠となるデータや因果関係を伝えていくのだという。

まあ、このあたりは、昔から親や先生がやっていることを、脳から説明しているということなのかな。

いくつかヒントになりそうなことをメモしておく。
  • 「学習の場所依存性」を利用する(いつも同じ場所で勉強する)
  • ながら勉強は作業効率を低下させる
  • 10代の脳にとって理想的な睡眠時間は9時間
  • 女性は男性より2年くらい脳の成熟が早い
ちゃんと寝た方が効率がいい。ミネソタ州の高校生を対象とした実験では、高校の始業時刻を70分遅らせると、成績が向上したのだという。

本も今度読んでみよう。



Dr.Frances Jensenが2010年にTEDMEDで行なった講演。
てんかんの子どもから学ぶこと
という内容。



Psychology TodayのDr. Jensenの記事一覧。あとで読む(かもしれない)。