最近、初めて出会った誰かをひとり、思い浮かべてください。

その人の第一印象って、どんなのでしたか?

感じいい? 親切そう? それともちょっといじわるな感じだったでしょうか。
あなたの感じた第一印象って、当たってると思いますか?


私たちは、人と関わるときに「第一印象」をけっこう重視するものです。
「初頭効果」っていうのだったかな。
心理学の実験でも、最初の印象が、その相手のイメージを決めるといった傾向が確かめられています。

マシュー・ハーテンステイン『卒アル写真で未来はわかる』森嶋マリ訳、文藝春秋、二〇一四年

を借りてきて、前半をちょろりと読んだところ。

「食べたらすぐ出す。読んだら即座にアウトプット」
を座右の銘としようと決意したので、これまで読んだところを紹介します。

写真だけで性格は見抜けるか

写真を見ただけでも、「優しそう」とか「ずるそうな顔」なんて印象をもつことはあるけれど、それってどれくらい確かなのだろうか、との研究が紹介されていました。

テキサス大学でおこなわれた研究では、100人以上の学生の「自然体の全身写真」と「無表情の気をつけの姿勢の写真(証明写真)」を撮影し、第三者にその写真を見て「性格」を予測してもらいました。

写真の人物自身による自己分析や、友人や家族などのその人をよく知る人たちによる性格分析と、第三者による写真からの予測が、どれくらい一致するかという研究です。

その結果、「証明写真」からでも、その人の外向性や自尊心、信仰心の度合いなどは、かなり性格に予測できることが明らかになったといいます。

また、「自然体の写真」では、性格を表す手がかりがもっとたくさん示されていることがわかりました。実験では、外向性、親しみやすさ、新しいことへの挑戦、好感度、自尊心、孤独感、信仰心などが、正確に予測できたそうです。

外向的で親しみやすくて好奇心や自尊心が豊かだと思われるには?

じゃあ、第三者たちは、写真の何を手がかりに、性格を予測したのでしょうか?

たとえば、外向性に関していえば、「健康的でこざっぱりした外見」「笑顔」「活力」「リラックスした姿勢」などが手がかりになったといいます。
日に焼けていて元気にあふれたスポーツマン、などを見ると、私たちは「外向的」だと判断しやすいということでしょうか。

好奇心の強さは、「ユニークな外見」によって予測される傾向がありました。

自尊心の強さは、「笑顔」や「健康な外見」に加えて、「腕をうしろにまわしている」といったしぐさも手がかりになったようです。

逆に、孤独感は、「病的でむさくるしい外見」「疲労感」「緊張感」などによって予測されました。

「人からどんなふうに見られたいかによって、写真に撮られるときの外見を意図的に変えられる」ということが研究から明らかになったと著者は言います。
たとえば、誠実で社交的で自尊心が強いという印象を与えたければ、微笑んで、リラックスしながらも活力に満ちた姿勢で立って、手を背中にまわし、健康的でおしゃれでこざっぱりした姿の写真を撮ればいい。逆に、恥ずかしがり屋で内気に見せたければ、だらしのない髪型や服装で、真剣な顔で、緊張して立っているところを写真に撮ればいい。p.23
私たちは、チンパンジーの顔写真からだって、そのチンパンジーが外向的かどうかを判断できるのだそうです。

「人は見かけが9割」

って、意外とほんとうなのかもしれないと思わされる内容でした。

ほかにも、乱暴な人は顔の横幅の比率が大きいといった特徴があるといった研究が紹介されていました。「顔の幅の広い男性は、ほっそりした顔の男性とくらべて、ライバルを蹴落とすために三倍の嘘をつく」とか「幅の広い顔の男性が、ほっそりした顔の男性を殺す」とか、「顔の細い社長の会社は業績が悪い」といった研究があるそうです。

何年か前に、フランスかどこかの国の「相貌心理学」の書籍が翻訳されていて、ぱらぱらめくったら人相見の手引きみたいで驚いたことがあったのを思い出しました。

その本には科学的、統計的な根拠はほとんど記されていなかったけれど、ちゃんと実験したり、統計的な調査を行ってこういう傾向が分かるのであれば、人相見も捨てたものではないのかもしれないですね。