理化学研究所脳科学総合研究センターの研究グループが、うつ病を繰り返すモデルマウスをつくることに成功して、うつ状態の原因が脳の「視床室傍核」という部位の機能障害に関係がある可能性が高いことを発見したのだという。

自発的なうつ状態を繰り返す初めてのモデルマウス ―うつ病の新たな候補脳部位を同定―

ええと、脳の「視床室傍核」がうまく機能していないマウスは、うつ病の診断基準を満たした、ということなのかな。
「自発的なうつ状態」というのは、人間でいうところの「内因性のうつ」と似ているのだろうか。
動物実験では、マウスを溺れさせたり、ぶらさげたり、動けなくしたりとストレス状況において人工的に「うつ状態」をつくり出すことがあるので(かわいそうだ)、それと対比されていると思われる。

それにしてもマウスのうつ病の診断だって。
  • 興味喪失
  • 睡眠障害
  • 食欲の変化
  • 動作の緩慢
  • 疲れやすい
  • 社会行動の障害
といったことのようです。『トム&ジェリー』のジェリーとは真逆といった感じのマウスを想像すればいいのでしょうか。

こうしたマウスは、抗うつ薬を投与するとちゃんと良くなるのだという。

理研には「60秒でわかるプレスリリース」というコーナー(?)もあって、分かりやすく解説されている。
研究チームは、モデルマウスのうつ状態の原因となる脳の部位を探索し、異常なミトコンドリアDNAの蓄積やミトコンドリア機能障害が「視床室傍核」という部位で顕著であることを見い出しました。(・・・)正常なマウスの視床室傍核の神経細胞の神経伝達を遮断することにより、モデルマウスに似た行動低下状態が現れることを見いだしました。これらのことは、モデルマウスのうつ状態が視床室傍核の病変によって生じていることを示しています。
いや、あんまり分かりやすくはないか。

理研で、こんな研究も発表されていた。
光遺伝学によってマウスのうつ状態を改善 ―楽しかった記憶を光で活性化―