「民法の再婚禁止規定は違憲」 との訴え、他の国ではどうなの?

10/15/2015

子ども 社会

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「民法の再婚禁止規定は違憲」 20代男女が国を提訴

日本では、女性だけに離婚後6ヶ月は再婚できないという「再婚禁止規定」があるが、それは違憲ではないかとの訴え。
女性の離婚が成立しないまま、2人は一緒に暮らし始め、今年5月、息子が誕生しました。その後、女性と夫の離婚が成立。晴れて夫婦になろうと、婚姻届を出すため、役所に向かうと、驚きの事態が待っていました。
 「『結婚できません』とひと言、ズバッと言われた。息子もできて、結婚もしたいのにできないし、何でかわからなかったです」(婚姻届が受理されなかった男性)
 「女性は離婚後6か月間、再婚を禁止する」との民法の規定。さらに民法には、「女性が婚姻中に妊娠した子は戸籍上の夫の子」との規定があり、「出生届を出せば息子は前の夫の戸籍に入る」と告げられたのです。
「再婚禁止規定」は、子どもの父親が誰か分からなくて争いにならないようにという理由で明治時代に定められたそうだけれど、女性だけにこうした負担を課すのは不平等だし、DNA鑑定などで親子かどうかは分かるのに、このような規定は時代遅れだろう。



なんでまたこんな法律が残っているのだろう、他の国ではどうなのかなと疑問に思って少し調べてみた(Googleで検索しただけ)。

民放では「300日問題」と呼ばれているらしい。

民法772条2項では次のように規定されている。
婚姻成立の日から200日後または婚姻の解消もしくは取り消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
というわけで、離婚後300日(6ヶ月)以内に生まれた子は、一律に「前の夫の子」とみなされてしまうのだ。

今の夫の戸籍に入れることもできないし、前夫と連絡がとれずに(あるいは認められずに)、子どもの戸籍がなくなってしまうといったことも起こってしまう。

困るじゃないか。

離婚後300日問題‐民法772条による無戸籍児家族の会

という非営利団体もあり、こんな古くさい法律、見直すべきだとの動きもあるが、なかなか進まないのが現実らしい。

毎日新聞でもこの問題が取り上げられていた。

戸籍がない:/上 名字で呼ばれ「うれしい」

この記事に登場する「丸井アキさん」という33歳の女性は、小学校にも行かず、自分に「戸籍がない」と知ったのはなんと20代になってからだったという。
母親に「前の夫との離婚が成立していなくて、出生届を出せなかった」と打ち明けられた。
お母さん、なんとか手だてはなかったんか、と言いたくもなるけれども、法律そのものにも大きな問題があると思う。民放772条で「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」と推定されてしまうのだが、それを覆すには大変な手続きが必要となる。
手続きは(1)前夫が自分の子であることを否定する「嫡出否認」(2)前夫と子の間に親子関係がないことを確認する「親子関係不存在確認」(3)前述のアキさんのケースにあたる「認知」−−の3種類。(1)(2)は前夫の証言が不可欠で、ここ数年で広がってきた(3)も裁判官の判断次第で前夫の関わりを必要とする場合がある。
DVや貧困などの問題がからんでくることが多いので、法律的なハードルが高すぎると、解決はとても困難になるだろう。


子どもの虐待といったことも、大きな問題になる。

 (相談でも)無戸籍であることを話すと、白い目で見られると思っていた。(生い立ちを)話すこと自体がストレスになるので、例えばカウンセラーを設置していただけたら

とのことで、たとえば兵庫県の明石市では、無戸籍者の相談窓口を開設し、就学できなかった人たちの学習支援などの取り組みをしてきたそうだ。無戸籍でも行政サービスが受けられることを知らせたり、支援団体につなげるといった支援も行なってきたという。

離婚相談サイト「リコナビ」によると、海外では、次のように定められている。

フランスでも、以前は女性にのみ300日の再婚禁止期間が定められていたが、2004年にこの条項は女性差別をなくすという意味で削除されたとのこと。他のヨーロッパの国々では、10ヶ月の禁止期間が設けられていたデンマークやフィンランド、ノルウェー、スウェーデンといった北欧諸国でも、こうした法律はすべて廃止されたという(1968〜1969年にかけて)。

アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、離婚の条件に「1年以上の別居」があるために、もともと再婚禁止期間などはさだめられていないとのこと。

中国にはこうした規定はもともとなく、韓国でも2005年に廃止されたという。

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