虐待された愛着障害の子の脳は誉めても響きにくい?

公開日: 10/24/2015 虐待 子ども 心理学 心理療法



福井大学の子どものこころの発達研究センターによる報告。

反応性愛着障害(reactive attachment disorder : RAD)とは、虐待やネグレクト(も虐待の一種だけど)などの不適切な環境で育った子どもが、愛着などの親密な人間関係において不安定でややこしい行動を示すような状態を表す言葉だ。
そうした子どもは、抱っこされても視線を合わせない、近づいたと思えば、逃げたり逆らったりするといった、不安定な人間関係をもつようになる。

福井大学の研究では、反応性愛着障害になった子どもの脳は、「視覚的な感情処理に関わる部位」が小さい傾向があることが分かったのだという。また、やる気や意欲に関わる脳の部位の活動が不活発であることも判明した。こうしたことから、愛着障害の子どもは、「成果を誉める」「誉めて伸ばす」といった教育的・心理療法的な関わりが、効果が少ないかもしれないと考えられている、といった記事だった。
研究グループは、10〜17歳のRADの21人とそうでない22人の脳の断面を磁気共鳴画像化装置(MRI)で撮影。形態や働きを比べたところ、RADの子供は「視覚野」の灰白質(脳神経細胞が集まる領域)の容積が2割ほど少なかった。この部位はダメージを受けると他人の表情から感情を読み取りにくくなるといい、虐待などが脳に影響を与え、症状につながっている実態が分かった。
なんで虐待によって「視覚野」がダメージを受けるんだろう。
トラウマって、視覚優位なところがあるのかもしれない。


『「戦争」の心理学:人間における戦闘のメカニズム』(デーヴ・グロスマン&ローレン・W・クリステンセン、二見書房)

にも書かれていたけれど、危機的な状況になると、感覚器官は生き残るために必要な情報だけに集中するようになる。銃声さえも耳に入らなくなるというのだから、ほんとに目の前の重要なことだけしか目に入らなくなるのではないかな。

「目に焼きつく」のと「見たくない」「見えにくい」のは表裏一体なのだろうな、というのがこの記事を読んでの仮説。
 また、10〜15歳のRADの子供16人とそうでない20人に金銭報酬を得られるゲームをしてもらい、脳の活動を調べたところ、やる気や意欲などに関わる「線条体」の活動量の平均が、RADの子供はそうでない子供の半分以下だった。 
 こうした結果から、RADの子供は「報酬」へのモチベーションが低いとみられ、一般的な治療とは別の方法が必要な可能性が高まったという。

人間や世界に対する「基本的な信頼感」がもてないままに育ってしまったら、誉められても、ご褒美をもらっても、「どうせ報われない」「裏切られる」と思ってしまうのも、無理はないように思う。

だとしたら、どうすればそうした子どもたちに、「人間って意外と捨てたもんでもない」「生きてるってのも、悪くないことかもね」と思ってもらえるんだろう。

この二つさえあれば、大人でも子どもでも、なんとかかんとか、その人なりの人生を生きることができるんじゃないかなと思う今日この頃。

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