PsychCentralで、「2015年で最も重要な、あるいは興味深い心理学論文トップ10」が紹介されていました。PsychCentralのCEOであるジョン・グロール博士のセレクションとのこと。 Top 10 Important or Intriguing Psychology Articles of 2015 面白そうなのでちらほらと眺めてみます。 1.心理学を応用した尋問や拷問に、倫理的な規制が 今年の2月に発表された、サイコロジストが尋問や拷問に関与する際の倫理的問題に関する調査です。調査の代表者であるデイヴィッド・ホフマンさんの名前から通称「 ホフマン・レポート 」と呼ばれていますが、正式には、 Independent Review Relating to APA Ethics Guidelines, National Security Interrogations, and Torture. 「アメリカ心理学会の倫理的ガイドラインに関連した独自レビュー、国家安全保障の尋問と拷問」 という名称です。6ヶ月間に渡り、5万を超える文書をレビューし、148名の関係者に200回以上のインタビューを実施したのだそうです。軍やCIAで行なわれた尋問・拷問に心理学者が関与していることが明らかにされ、議論を呼びました。アメリカ心理学会のトップらがこの件で引退することになったといいます。 心理的(精神的)拷問については、日本トラウマティック・ストレス学会誌で昔読んだ宮地尚子先生の「 拷問とトラウマ 」が詳しかった記憶があります。 2.初回精神病エピソードのケアとしては、抗精神病薬を中心とした通常の治療と比べて、心理療法や家族支援などに焦点を当てたプログラムのほうが2年後の結果がよかった アメリカ国立精神衛生研究所によるプロジェクトで明らかにされました。 Initial Psychotic Episode Best Managed by Team-Based Approach 「初回精神病エピソードはチーム・アプローチによるマネジメントがベスト」とのことです。訓練された専門家が、それぞれのクライエントにパーソナライズされた治療プランを立てて、チームで支援します。抗精神病薬の使用を減らし、回復指向の心理療法や、家族教育と支援、ケー...