クリスマスに関する心理学研究を知ってハッピーな年の瀬を
「クリスマスに関する12の心理学研究」
The 12 Psychology Studies of Christmas | PsyBlog
という記事を読んだので、そのなかからいくつか研究の元ネタに当たって面白そうなのを紹介してみます。
ホワイトクリスマスの幻聴体験
Harald Merckelbach , Vincent van de Ven, Another White Christmas: fantasy proneness and reports of ‘hallucinatory experiences’ in undergraduate students, Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry Volume 32, Issue 3, September 2001, Pages 137–144ノイズ音を流して、ビング・クロスビーが歌う「ホワイト・クリスマス」が聞こえたと思ったらボタンを押してもらうという実験です。
大学院生44名が被験者となり、この実験を行ったところ、14人(32%)が少なくとも一度は「聞こえた」とボタンを押したそうです(実際は、「ホワイト・クリスマス」は一度も流れていない)。
ホワイト・クリスマスが聞こえた人は、そうでない人々と比べて、「空想傾向」と「Launay-Slade幻覚スケール」がハイスコアでしたが、イメージの鮮明さや社会的要求への敏感さは変わらなかったとの結果。
幸せなクリスマスを過ごすには
『幸福研究誌』に掲載されたTim Kasser , Kennon M. Sheldon, What Makes for a Merry Christmas?, Article Journal of Happiness Studies December 2002, Volume 3, Issue 4, pp 313-329
という論文から。
クリスマスは多くの文化で重要なものとされているけれど、どんな経験や活動が幸福と結びついているかということはこれまで検証されてこなかった。というわけで、18歳から80歳までの117人に聞いてみました、という研究です。
より幸福度が高かったのは、家族と過ごしたり、信仰的な体験をした人々でした。他方、幸福度が低かったのは、消費やプレゼントをもらうことを重視していた人たちだそうですよ。
現代の物質主義的なクリスマスは、幸福を減らしてしまうので、家族やスピリチュアルな活動を大切にしましょうということでした。
いいプレゼント、悪いプレゼント
How Poor Gifts Affect Relationshipsクリスマスの贈り物を選ぶという行為は、経済的にも、情緒的にもハードな仕事だ、というわけで、贈り物が人間関係に与える影響についての研究が紹介されています。
よい贈り物は、カップルのあいだの同質性・親近感を維持するが、関係にはそれほどプラスにならない。一方で、不十分なプレゼントは、お互いの同質性に疑問を抱かせ、関係性を傷つけてしまう。がんばってプレゼントを選んでも、対して効果はないけど、失敗するとぎくしゃくするというわけですな。ああ難しい。
また別の研究では、プレゼントに対する男女の反応の違いが取り上げられていました。なかなか興味深い実験です。
Elizabeth W. Dunn, Jeff Huntsinger, Janetta Lun, and Stacey Sinclair (2008). The Gift of Similarity: How Good and Bad Gifts Influence Relationships. Social Cognition: Vol. 26, No. 4, pp. 469-481.
ブリティッシュ・コロンビア大学の心理学者エリザベス・ダンさんたちによる研究。
初めて出会う大学生の被験者たち(異性のペア)に、数分間雑談させて、おたがいにプレゼントを贈る、という設定です。
あらかじめプレゼントのカタログを見せて、最も欲しいものと、欲しくないものをランクづけしておいてもらいます。
欲しかった(良い)プレゼントをもらった人と、欲しくない(悪い)プレゼントをもらった人では、相手に対して感じる同質性(どれくらい似ているか)がどう違うかを測定しました。
すると、男性は、欲しかった物を贈られると、相手に対してより親近感を感じる傾向が示されました。しかし、女性は、プレゼントの良し悪しが親近感の大小にあまり影響しなかったのだそうです。
不思議ですね。
二つ目の実験では、すでにつきあっているカップルが対象とされました。あとはほぼ同じ実験。
それぞれにとって、最高のプレゼント、あるいは最低のプレゼントを受け取ります。相手に対する親近感に加えて、関係がどれくらい長く続きそうかを聞きました。
すると、欲しくないプレゼントを受け取った男性は、親近感を感じる度合いがより少なく、また関係の継続も短くなると予想する傾向が示されました。
一方で女性は、パートナーから望まないプレゼントをもらったほうが、より親近感を強く意識し、関係の継続も長く続くと考える傾向が見られたといいます。
いったいどういうことでしょうか?
ダンさんたちは、「心理的防衛機制」から、説明を試みています。
女性は、二人の関係に(たとえば不十分なプレゼントなどから)脅威を感じるほど、その脅威から関係を守ろうとする、というのです。
知り合ったばかりの人とはそれほど深い関係はないので、つまらないプレゼントをもらったからといって、関係性をおびやかしたりはしません。ところが、守りたい関係性がすでにある場合には、女性は潜在的な脅威に対して防衛しようと動機づけられるのです。
男性は反対に、パートナーの選択が気に入らなければ、パートナーだって嫌いだ、といった態度を取る傾向があるのだと。
この実験はあくまで短時間の、男女の最初の直感的反応について調査したものなので、こういう実験結果が出たからといって、男性が女性に贈るのはチープなプレゼントでいいやということではありません。むしろ、女性のほうが不十分な贈り物に傷つきやすいのだということ。
クリスマスのシーズンになると、色鮮やかな電飾やクリスマスグッズを飾る家が増えてきます。この論文では、家の外観を飾っていると、周囲の人々からはより社交的な家族で、コミュニティや社会活動にも積極的に参加していると考えられる、といった傾向があるとされています。
まあそうですね。
引きこもってうん10年という人は、窓にライトをかざったりはあまりしないと思う。
社交的に見られたかったら、ピカピカに飾り立てるというのもひとつの方法ということでしょうか。
サンタクロースをもはや信じていない52人の子どもたちに、彼ら/彼女らが真実とであったときの反応を尋ねるインタビューをしてみたという研究。
子どもたちの親も、子どもにサンタを信じさせるためにした努力や、子どもが真実を発見したときの反応、そして親自身の反応について、質問紙で回答を求められた。
サンタを信じさせようとする親の努力にもかかわらず、子どもたちはだいたい7歳くらいになると真実を発見する。子どもは、おおむね、真実を知ったことをポジティブにとらえていたが、親の方はそれをさみしがる傾向が見られたんんだそうです。
ではでは、みなさま、よいクリスマスを!
一方で女性は、パートナーから望まないプレゼントをもらったほうが、より親近感を強く意識し、関係の継続も長く続くと考える傾向が見られたといいます。
いったいどういうことでしょうか?
ダンさんたちは、「心理的防衛機制」から、説明を試みています。
女性は、二人の関係に(たとえば不十分なプレゼントなどから)脅威を感じるほど、その脅威から関係を守ろうとする、というのです。
知り合ったばかりの人とはそれほど深い関係はないので、つまらないプレゼントをもらったからといって、関係性をおびやかしたりはしません。ところが、守りたい関係性がすでにある場合には、女性は潜在的な脅威に対して防衛しようと動機づけられるのです。
男性は反対に、パートナーの選択が気に入らなければ、パートナーだって嫌いだ、といった態度を取る傾向があるのだと。
この実験はあくまで短時間の、男女の最初の直感的反応について調査したものなので、こういう実験結果が出たからといって、男性が女性に贈るのはチープなプレゼントでいいやということではありません。むしろ、女性のほうが不十分な贈り物に傷つきやすいのだということ。
クリスマスの飾りつけでわかるあなたの性格
Carol M. Werner, Sonja Peterson-Lewis, Barbara B. Brown, Inferences about homeowners' sociability: Impact of christmas decorations and other cues, Journal of Environmental Psychology Volume 9, Issue 4, December 1989, Pages 279–296クリスマスのシーズンになると、色鮮やかな電飾やクリスマスグッズを飾る家が増えてきます。この論文では、家の外観を飾っていると、周囲の人々からはより社交的な家族で、コミュニティや社会活動にも積極的に参加していると考えられる、といった傾向があるとされています。
まあそうですね。
引きこもってうん10年という人は、窓にライトをかざったりはあまりしないと思う。
社交的に見られたかったら、ピカピカに飾り立てるというのもひとつの方法ということでしょうか。
サンタクロースは本当はいないという真実を知った子どもの反応は?
Carl J. AndersonAffiliated with Department of Psychology, University of Texas , Norman M. Prentice, Encounter with reality: Children's reactions on discovering the Santa Claus myth, Child Psychiatry and Human Development December 1994, Volume 25, Issue 2, pp 67-84サンタクロースをもはや信じていない52人の子どもたちに、彼ら/彼女らが真実とであったときの反応を尋ねるインタビューをしてみたという研究。
子どもたちの親も、子どもにサンタを信じさせるためにした努力や、子どもが真実を発見したときの反応、そして親自身の反応について、質問紙で回答を求められた。
サンタを信じさせようとする親の努力にもかかわらず、子どもたちはだいたい7歳くらいになると真実を発見する。子どもは、おおむね、真実を知ったことをポジティブにとらえていたが、親の方はそれをさみしがる傾向が見られたんんだそうです。
ではでは、みなさま、よいクリスマスを!
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