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意思の力! チンパンジーだってマシュマロテストに合格:満足を延期させる能力について


サイコロジー・トゥデイで、「チンパンジーがマシュマロテストに合格」という実験が紹介されていた。

Chimpanzees Pass the Marshmallow Test|Psychology Today

マシュマロテストとは、ウォルター・ミシェルらによって考案された「満足を遅延させる能力」を測る心理学実験だ。

すぐに満足を求めるのではなく、将来を見越して今は我慢すること。
大人になって成功するには、こうした能力が必要になる。
後々のより大きな報酬のために、すぐに得られるけれども小さな報酬をあきらめることは、日常生活でもしばしばあるだろう。
「お昼からワイン飲んでゴロゴロしたくても、夕方までは我慢して仕事しよう」
といった姿勢がないと、社会生活を送るのは難しい。

この能力は、子ども時代からだんだん発達していくものだ。

ミシェルらの実験は、満足の遅延に関する子どもの能力を測定しようとしている。

実験者はテーブルに座った子どもの目の前にマシュマロをひとつ置く。

「今すぐこのマシュマロを食べたっていいよ」
「でも私が戻ってくるまで待てたら、一つだけじゃなくって、二つマシュマロをあげる」

実験者は部屋を出るが、隠しカメラで子どもの様子をうかがう。

残された子どもは、「すぐに食べたい」と「がまんしたら二つもらえる」というふたつの気持ちで葛藤して、においをかいだり、ちょっとかじってみたり。



本人たちは悩んでるんだろうけど、見ているとほほえましいですね。

この実験からミシェルらが発見したのは、次の2点。

ひとつは、4歳の時点でのマシュマロテストの成績が、その先の人生の結果を予測するということだ。学校での成績や、キャリアの成功、大人になってからの健康まで予測できるという。

もうひとつの発見は、子どもたちがどのようにこの課題に取り組むかということ。
失敗する子は、触ったり持ったり、味見してみたりと、マシュマロに注意を向けすぎる。

マシュマロテストに合格する子どもたちは、マシュマロから気をそらそうとしている。別のところを見たり、目をつぶったり。そうやって注意をそらすことで、後でより多くの報酬を得ようとしているというわけだ。

将来のより大きな報酬のために、目の前の満足を延期するという能力は、これまで人間に特有のものと考えられてきたけれど、この記事で紹介されている研究によると、チンパンジーにも同じような能力があることが分かったという。

Beran, M. J. (2015). Chimpanzee cognitive control. Current Directions in Psychological Science, 24, 352-357.
「チンパンジーの認知統制」というタイトルの論文が紹介されていた。

ジョージア州立大学の心理学者Michael Beranが、チンパンジーもマシュマロテストをパスすることができることを明らかにしている。チンパンジーたちも、目の前の報酬から注意をそらすような活動をするのだそうだ。

Beranらは、チンパンジーを訓練して、特別な食料取り出し装置を使えるようにした。チンパンジーが食料をがまんして取り出さない時間が長ければ長いほど、後でたくさん食料ペレットが出てくるという仕組みだ。マシュマロテストのチンパンジーバージョンですね。


食料取り出し装置が目に入る場所にあると、チンパンジーはクレヨンだとか雑誌で気晴らしをする行動が増えたんだという。チンパンジーが雑誌で何をしたんだかよく分からないけど(彼ら/彼女らも、雑誌をぱらぱら眺めてみる、ということくらいはするのでしょうか)。

目に入らない場所にあると、そうした行動は減ったとのこと。

この結果から、Beran らは、チンパンジーは自身の心的プロセスについてなんらかの自覚をもっているのだと考えた。

自身の心的プロセスへの気づきのことを、心理学では「メタ認知」と呼ぶが、チンパンジーもこうした心の働きをもっているのだろう。


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