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11月, 2015の投稿を表示しています

不安障害と不安への対処法

大事な発表の前とか、あるいは誰かとぎくしゃくしたとき、不安を感じることがありますよね。英語では、心配や不安でどきどきしている状態を指すのに、have butterflies in one’s stomach(胃の中にチョウチョがいる)なんていう表現があるそうです。なんだか面白い表現ですね。 不安は誰しも体験することですが、ときには不安によって圧倒されて、仕事や生活、人間関係に支障がでることもあります。では、不安に対処し、やわらげるには、どうしたらいいのでしょうか? 不安について学ぶ 不安とは? 不安に対処するためには、まず不安について知る必要があります。 不安(anxiety,uneasiness)とは、何かに脅かされているという感情です。「恐怖」という場合は対象がはっきりしていますが、「不安」というときにはより漠然としていることが多いようです。何かが気がかりで、落ちつかない。あるいは何か危険なことが起きそうだと警戒している心の状態ですね。 不安を意味するドイツ語Angstということばは、語源をさかのぼると「せまいところ」「当惑や狼狽」「呼吸が短いこと」などを意味しているそうです。 不安について、いくつか知っておいた方がよいことをあげてみます。 不安を抱くのは普通のことです。誰だって不安になることはあるし、それはノーマルなことなのです。 不安は適応的です。不安は、私たちに危険を知らせてくれます。また、不安があるから、がんばって準備して成果をあげようと努力もするわけです。 不安は危険なものではありません。不安そのものがあなたを傷つけたり、危険にさらすわけではないのです。不安は、あなたを危険から守るためにあります。 不安はいつまでも続きません。時がすぎれば、次第に減っていくものです。 不安は火災警報装置のようなものと考えてみるとわかりやすいかもしれません。煙や炎を探知して火事を知らせてくれる警報装置は、私たちを火事から守ってくれる働きをしています。ところが警報装置が敏感すぎるとどうなるでしょう? 秋刀魚を焼いたり、煙草を吸うたびにブザーが鳴って慌てるようだと、ちょっと困りますよね。そんなときには、警報装置の感度を少し落とす必要がありそうです。 不安と身体反応 不安を感じているとき、あなたの身体は、闘うか逃げるか、...

『いじめと探偵』悪質なイジメに対処するためのハードボイルドな方法

阿部泰尚『いじめと探偵』幻冬舎新書、二〇一三 読了。

『カウンセラーは何を見ているか』(信田さよ子、医学書院)

図書館で借りて読了。 書店で見かけたときは、この表紙がなんかヤダと感じて手に取らなかったのだ。 少女マンガ風の、白衣を着た若い女性が「カウンセラー」ということらしい。 で、大きく足を組んでいて、思わずスカートの中を見てしまうが、その見ている読者をカウンセラーが「分かってるわよ」的な笑みを浮かべて見ている、という構図になっている(たぶん)。 著者や表紙を描いた人がどれくらい意図的なのかは分からないけど(いや、きっと狙っている)、なんとなくはめられた感がする。 読んでみると、開業心理臨床の苦労や覚悟が語られていて、なかなか興味深い本だった。 「共感」や「傾聴」といった、カウンセリング業界では、「当然のこと」と見なされている概念を、ぽいと放り出してみせるあたりも小気味いい。 精神病院での経験や開業心理臨床の話が書かれている第一部と、筆者の入院体験が中心の第二部のつながりが少しまとまらないとの印象も受けるが、いずれも「見る」「見られる」ことに関わる話だった。 「まえがき」では、とある学会の理事会で、出席者(みな、カウンセラーである)たちの多くが目をつむって話を聴いていることについて、次のように書かれている。 目をつむる理由はおそらくこうだろう。話をする人の顔を見て、ときにはうなずきなら話を聞くという日常の人間関係は、「目をつむる」という行為によって転換される。クライエントにしてみれば、自分を見ていない人に向かって一方的に語りかけることになり、そこに非日常的で特権的な関係が生まれる。その関係性こそが心理療法においては必要だとされるのだろう。もう一つ、クライエントの言葉を聞くためには、見えないほうがいいと考えられているのかもしれない。表情を見ることで、語られる言葉の純粋性が失われる。だから専門家は目を閉じて、クライエントの語る音声だけに神経を集中するのだ、と。いずれにしても、私からは見えない世界に沈潜しているようだった。  このあたり、フロイトが、「一日に何時間ものあいだ患者に見つめられるのは耐えられない」といった理由で、寝椅子を用いるようになったことを連想させる(カウチを使う理由はそれだけではないだろうけど)。 筆者は「目をつむる」「見ない」ことで、「非日常的で特権的な関係が生まれる」と言うが、「見る」ことだって同じように権...

「いい夫婦の日」奥さんのへそくりは旦那の倍!? 夫婦関係や幸福度を見る心理テストなど

11月22日は「いい夫婦の日」だそうです。 明治安田生命が、 「いい夫婦の日」に関するアンケート調査 (pdf) を実施したとのこと。 調査の結果から、興味深い項目をいくつか抜粋。 「愛情を感じている」夫婦と「愛情を感じていない」夫婦では、平日の会話時間で 約3.4倍の差!  コミュニケーションは大事ですね。 夫婦を漢字一文字で表すと、トップは「忍」!次いで、「愛」! 愛と恋の違い、なんてのが話題になることがあるけれど、愛の方がより長期間にわたる責任感をともなっている。 なんでヒトがこんな観念を進化させたのかを考えてみる。 二足歩行と脳の進化。 小さく生んで大きく育てる戦略のために未熟な状態で生まれる。 育児期間が非常に長くなる。 乳児と母親を守り、食べさせるために、家族の機能が重要になる。 ようするにお父ちゃんが安全と食料を確保しなくてはならないため、「愛」という観念で結びついた家族が生まれる。 といった流れかな、と考えられる。もちろん、現代社会における「家族」が、これと同じような役割分担でなければならないというわけではないが、愛には忍耐や責任感が含まれているのは変わらないだろう。 夫婦のおこづかいは5年連続で減少するなか、妻のランチ代はちょっとリッチに 夫の約1.4倍!  妻のランチ代はおこづかいに入るのだろうか。夫は牛丼などですませて、夜の飲み代に回したいという人が多いような気がする。 妻のへそくりは夫の倍 妻のへそくり金額は減少していますが、それでも夫のへそくり金額の約2.2倍と、妻 はいざというときの備えとして、家計をやりくりしながら、しっかり貯めようとしてい るようです。 へそくりの平均額は、夫が58万9058円、妻が126万8446円(!)とのこと。その目的は「いざというときのため」が7割とトップを占めるが、夫は「趣味のため」、妻は「将来のため」という回答が多かったという。 理想の有名人夫婦 理想の有名人夫婦として選ばれたのは、 第一位が「三浦友和・山口百恵」で、 第二位に「佐々木健介・北斗晶」が挙げられている。「病気になってもその病気に勝てる程の愛が見えたから」との理由だって。20代〜40代の人たちに限れば、「佐々木健介・北斗晶」が一位だった。 ...

動物の絵で心理テスト。「雌牛」の絵であなたの性格が分かるのだ!

前に 豚の絵を描く心理テスト を紹介しましたが、今度は「雌牛の絵」を描くことで、性格や深層心理が分かる!という心理ゲームです。 こんなの。 雌牛の絵心理テスト Cow Personality Test 白紙を一枚用意して、そこに一頭の雌牛の絵を描いてください。 一頭、全身です。一分くらいで描いてください。 描き終わるまで、この先を読まないでください。

意思の力! チンパンジーだってマシュマロテストに合格:満足を延期させる能力について

サイコロジー・トゥデイで、「チンパンジーがマシュマロテストに合格」という実験が紹介されていた。 Chimpanzees Pass the Marshmallow Test |Psychology Today マシュマロテストとは、ウォルター・ミシェルらによって考案された「満足を遅延させる能力」を測る心理学実験だ。 すぐに満足を求めるのではなく、将来を見越して今は我慢すること。 大人になって成功するには、こうした能力が必要になる。 後々のより大きな報酬のために、すぐに得られるけれども小さな報酬をあきらめることは、日常生活でもしばしばあるだろう。 「お昼からワイン飲んでゴロゴロしたくても、夕方までは我慢して仕事しよう」 といった姿勢がないと、社会生活を送るのは難しい。 この能力は、子ども時代からだんだん発達していくものだ。 ミシェルらの実験は、満足の遅延に関する子どもの能力を測定しようとしている。 実験者はテーブルに座った子どもの目の前にマシュマロをひとつ置く。 「今すぐこのマシュマロを食べたっていいよ」 「でも私が戻ってくるまで待てたら、一つだけじゃなくって、二つマシュマロをあげる」 実験者は部屋を出るが、隠しカメラで子どもの様子をうかがう。 残された子どもは、「すぐに食べたい」と「がまんしたら二つもらえる」というふたつの気持ちで葛藤して、においをかいだり、ちょっとかじってみたり。 本人たちは悩んでるんだろうけど、見ているとほほえましいですね。 この実験からミシェルらが発見したのは、次の2点。 ひとつは、4歳の時点でのマシュマロテストの成績が、その先の人生の結果を予測するということだ。学校での成績や、キャリアの成功、大人になってからの健康まで予測できるという。 もうひとつの発見は、子どもたちがどのようにこの課題に取り組むかということ。 失敗する子は、触ったり持ったり、味見してみたりと、マシュマロに注意を向けすぎる。 マシュマロテストに合格する子どもたちは、マシュマロから気をそらそうとしている。別のところを見たり、目をつぶったり。そうやって注意をそらすことで、後でより多くの報酬を得ようとしているというわけだ。 将来のより大きな報酬のために、目の前の満足を延期するという能力は、これまで人...

消費者金融の広告と心理学

ネットサーフィンしていてたまたま目に留まった記事。 なぜ消費者金融のCMは楽しげで親しみやすいものばかりなのか~マネーハック心理学31 | ライフハッカー[日本版] 以前、かわいいきりんが首をさげているイラストに「きんり、さげました」というキャッチコピーがそえられている消費者金融のポスターを見て「うまい!」と関心したことがある。いわゆるサラ金の広告ですね。 出典: MUITO JAPAO そうそう。こんなのでした。 きんりときりんを空目するように作ってあって、かわいくて親しみやすい印象を与えるようになっている。 上記の記事では、消費者金融がたくさんCMを流す理由として、心理学でいうところの「ザイアンスの法則(単純接触効果)」が取り上げられていた。 これは本来親しまれにくい会社ほど重要です。お金を貸してその利息で儲けている会社が、親しみやすいCMを打つのは当たり前のことなのです。 というわけらしい。 あの手この手を使って、心理的なハードルを下げようということだ。 「こんなにたくさんCMを出せるということは、よほど儲かる商売に違いない。つまり借りた人からずいぶん利息を取っているのだろう。自分は同じところには立たないぞ」 と考えて用心しましょうとのアドバイス。 消費者金融の広告は、1970年代くらいからあったらしいが、90年代になって積極的にテレビなどでCMが流れるようになった。 2010年に倒産した武富士のCM。武富士ダンサーズという名前のグループが踊っていましたね。「こっそりお金を借りる後ろめたさ」なんてのを吹き飛ばすようなダンスで、消費者金融のイメージをずいぶん変えたんじゃないでしょうか。 どうするアイフルのあのチワワ犬がCMに登場したのが、2002年でした。 あのチワワ、「くぅ〜ちゃん」というんだって。 こちらはコミカルでほんわかした表現で、消費者金融のイメージを変えて間口を広げることに成功した。 消費者金融=怖い、怪しい といったイメージをもっている人が多かったとする。 そこで チワワ=かわいい、親しみやすい という無条件刺激(になるのかな) と「どうするアイフル」 を対提示することで、次第に アイフル=親しみやすい といった条件づけが形成される、ということになるでしょうか。 ...

紙と鉛筆があればできる!飲み会などでわいわいやると面白そうな心理テスト

海外のネットで見つけた「心理テスト」。 ワルテッグ描画テストとか、誘発線法などに似ていますが、こちらはお遊びです(臨床で実際に用いられているものと何が違うのか、と聞かれると考え込んでしまうけど)。 paperblog 教示 それぞれのボックスに、最初に思い浮かんだ絵を描いてください。 描けたら、それぞれに形容詞をつけてみてください。お話をつくる必要はありません。 結果 それぞれのボックスには意味があります。 上から一列目の左は、「あなたが自分をどう見ているか」を表しています。 右側は、「他の人があなたをどう見ているか」ということです。 上から二列目、左は「あなたの子供時代」、右は「あなたの愛情生活」を表しています。 いちばん下の列の左側は「あなたの仕事」を、右側は「あなたの未来」を意味しているのです。 ほんまか。

セサミストリートに自閉症スペクトラムの女の子が登場

People セサミストリートでは、これまでも盲目のキャラクターが登場してビッグバードに点字を教えるなど、障害や病気といった問題を子どもたちが理解しやすくなるような取り組みをしてきました。 南アフリカ版のセサミストリートではHIV陽性のキャラクターも登場したことがあるのだそうです。 この秋、自閉症スペクトラム障害をもったジュリアという女の子が、エルモの新しい友だちとして現れることになりました。 セサミストリートとアメリカの自閉症支援団体などと共同で行っている「どの子も素晴らしい」というキャンペーンの一環とのこと。 Sesame Street and Autism: See Amazing in All Children というサイトには、デジタル絵本や動画などが掲載されていました。

歯磨き粉の使い方から性格が分かる心理テスト(けっこう当たってるかも)

歯磨き粉の使い方から性格が分かる心理テストだそうです。 Steve in a Speedo?! Gross! 左から、 衝動的でにぎやかなのが好き 倹約家でうつっぽくなりがち 頑固で物覚えが悪い 反社会的で息が臭い というパーソナリティ特徴をもっている、のだそうです。 4番の人から「歯磨き粉新しいのにしたばかりなだけだって」という言い訳が聞こえてきそうです。 自分の歯磨き粉がどうなってるか思い返してみたところ、1番もしくは3番の形になっていることが多いようです。 恋人の家にお泊まりしたときにでも、こっそり確認してみてくださいな。

うわさを信じちゃいけないよ! 火星人の襲来、あるいは群衆、パニック、デマの社会心理学

わたしたちは、実社会でもネットでも、毎日たくさんの「うわさ」に触れている。 「情報」だと思っていても、その実、それはうわさに過ぎないことだって、多々あるだろう。 真贋定かではないうわさに影響されて右往左往して慌てたり、間違った判断を下すことだってある。 「うわさ」って何だろう? 社会心理学では、うわさや流言と、デマは次のように区別されている。 「うわさ(流言)とは、情報が客観的事実かどうかを検証されることなく伝達されていくこと」だ。 一方、デマ(demagogue)は、意図的に情報が歪曲されたり、捏造されたりすることを意味している。 いずれも、社会的な緊張や不安が高まっていて、同時に情報が不足しているような状況で、広がりやすい。 心理学者のオールポートは、流言やデマの強さ(R)は、重要性(i)×曖昧さ(a)に比例すると考えた。 公式にすると、 Rumor=importance×ambiguity ということになる。 その人たちにとって重要で、かつ曖昧であるほど、うわさは広がりやすい。 東日本大震災のとき、原発と放射能に関してたくさんの情報が広がったのも、こうした理由から説明できるだろう。 (放射能は、目に見えずに曖昧であるにも関わらず、私たちの命に関わる重要な事柄だ。真実かどうかは、社会心理学では検証できないけれど) オールポートは、地下鉄で黒人の男と白人の男が言い争っている絵を呈示し、伝言ゲーム的に伝達してもらう実験を行なった。 絵では、白人の手にナイフ(カミソリ?)が握られているのだが、伝達されるうちにいつのまにか黒人の手にナイフがあったことに変化していたという。 うわさが広がる(伝達される)うちに、情報の歪曲が生じるという例証として取り上げられることのある実験だ。 Allport and Postman (1947) こうした結果については、オールポート自身の偏見などが反映された実験ではないかという批判もある。 「火星人襲来」によるパニック(オーソン・ウェルズによるラジオ放送) 1938年、アメリカのあるラジオ局で、「火星人の襲来」というラジオドラマが放送された。 原作は、H.G.ウェルズの『宇宙戦争』で、2005年にはトム・クルーズ主演の映画も公開された。 さて、1938...

パニックや不安障害を擬音語・擬態語を使って克服する(内部感覚エクスポージャー)

パニック障害について調べていたら面白い論文を見つけた。 不安障害治療における行動療法でオノマトペがなぜ有用か? 内部感覚エクスポージャーにオノマトペを用いた実践報告 |人工知能学会論文誌 なぜに人工知能学会で不安障害の行動療法が取り上げられたのかも興味深い(「オノマトペの利活用」という特集らしい * )。