「心的外傷後ストレス障害の思春期患者に対する長時間暴露療法とクライエント中心療法の治療同盟(を比べる)」

といった感じのタイトルの、Journal of Clinical Psychology誌の論文です。

Therapeutic Alliance during Prolonged Exposure Versus Client-Centered Therapy for Adolescent Posttraumatic Stress Disorder

アブストラクトだけナナメヨミしました。

思春期のトラウマ患者における長時間暴露療法とクライエント中心療法の対決。
治療同盟とPTSDの症状軽減について調査されたとのことです。

13歳〜18歳の性的な被害に関連したPTSDを患っている61名の思春期少女が対象となり、長時間暴露療法とクライエント中心療法で、ランダム化比較試験が行なわれました。

で、思春期患者さんたちが、3回目のセッション時および治療終結後に、治療同盟についてレーティングするように求められたとのこと。


そして次のような結果が得られました。

  • クライエント中心療法よりも長時間暴露療法を受けた思春期患者のほうが、治療同盟の改善割合が大きかった。
  • さらに、思春期の患者さんが、治療同盟が良くなったと感じるほど、PTSDも改善された。

というわけで、この研究では軍配は、長時間暴露療法に上がったようです。
The rate of improvement in adolescent-rated alliance was greater in PE-A than CCT over the course of treatment. 
最初からやさしいよりは、最初は怖いけど意外と親切、というほうが印象が改善する割合が多いということ何じゃないかとも思ったり。

こんな結論が書かれています。
Contrary to beliefs that trauma-focused treatments fail to establish strong therapeutic alliance in sexually abused adolescents, improvement in adolescent ratings of alliance were greater in PE-A compared to CCT, and improvements in adolescent-rated alliance were significantly associated with better treatment outcome across both types of treatments.
長時間暴露療法のような、トラウマに焦点を当てた治療は、性被害をもつ思春期患者と強い治療同盟を確立することが困難だと考えられることが多いですが、意外とそうではなかったということでしょうか。