サチリアージス(男子色情症)とサテュロス【語源を調べてみた】

8/31/2016

精神医学

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男子色情症あるいはサチリアージスとは、男性の性欲が異常亢進した状態。
ギリシャ神話のサテュロス(Satyros)が語源とのこと。
サテュロスは、ギリシャ神話に登場する下半身が山羊の半人半獣の精霊で、ローマ神話の森の精霊ファウヌスや、ギリシャの牧羊の神パーンとも同一視されていたそうです。

自然の神であり、「欲情の塊」と見られていました。

ウィリアム・アドルフ・ブグロー作『ニンフとサテュロス』(1873年)

ディオニューソスというお酒や集団的狂乱の神様の仲間で、同じように乱痴気騒ぎが好きな精霊のようです。ブグロー作の『ニンフとサテュロス』という作品にも、そうした光景が描かれています。

1人の名前というわけではなく、サテュロスの種族というのがいるのですね。

マルシュアースという名のサテュロスは、アポローンと音楽の腕を競って破れてしまい、罰として生きながら全身の皮を剥がれて死んだそうです。

半分山羊の姿で、角が生えたサテュロスもいて、後のキリスト教世界では悪魔やサバトのイメージにつながっていきました。

さて、サテュロスが語源のサチリアージス(男子色情症)。

19世紀に精神科医のクラフト・エビングがHypersexuality(性行動亢進)について書いているそうです。
ドンファン症候群と呼ばれたり、あるいは女性の場合はニンフォマニアといった名称もあります。

WikipediaのHypersexualityの項目をちらりと読むと、性行動亢進自体が主な状態として見られることもあれば、クリューヴァー・ビューシー症候群 (Kluver-Bucy syndrome:脳の扁桃体の損傷、障害に起因する行動障害)や双極性障害に伴うこともあるとのこと。また、ある種の薬物療法やホルモン療法の副作用として性行動亢進が生じることもあります。

 性依存などの依存症(アディクション)として理解され、治療の対象となることもあります。

最近ニュースでよく見る言葉だったので、調べたことをメモしてみました。


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追記
「サチリアージス」というキーワードは、この度は、高畑裕太容疑者の事件との関連でたくさん検索されています。キーワードプランナーを見ると、月間平均検索件数は720件ですが、2016年3月だけ6600回と突出しています。
そのころに何か関連の事件があったかと、期間をしていして調べてみたら、例の「美人タレント女医」の一件でした。
「典型的なニンフォマニアの症例です。日本では異常性欲の色情症と訳されますが、気分障害の一種で、そう状態の際に過剰な性交を求めたり、自慰行為を頻繁に繰り返したりします。男性の場合は、サチリアージスといいます」(精神科医)経験男性800人…タレント女医・脇坂容疑者の“異常性欲”


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