スターウォーズ心理学:ストーム・トルーパーはいかにして抱きしめることを学んだのか

1/28/2016

SF 映画 心理学

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Psychology Todayに次のようなタイトルの記事が掲載されていました。

Star Wars Psychology: How Does a Stormtrooper Learn to Hug?
「スターウォーズ心理学:ストーム・トルーパーはいかにして抱きしめることを学んだのか」といったくらいの意味です。

Stormtrooper since infancy, when does Finn learn to express any affection?
「赤ん坊のころからのストーム・トルーパーであるフィンは、いつ愛情表現を学んだのか」という副題がついていますね。

フィンというのは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に登場したストーム・トルーパー(の中のひと)です。ストーム・トルーパーというと、白いアーマーを着てレーザーを撃ちまくるけど、ジェダイにぜんぶ避けられてしまうあの人たちですね。『フォースの覚醒』では、このストーム・トルーパーが主人公の1人となります。

この人ですね↓

もともとは、FN-2187 とたんなる番号で呼ばれていました。ファースト・オーダーを裏切って脱走したときに、レジスタンスのパイロットであるポー・ダメロン(どうでもいいけど、日本語の語感からは、エース・パイロットっぽくない響きだ)から、「フィン」と名づけられました。

優秀なストーム・トルーパーでしたが、カイロ・レン率いるファースト・オーダーの部隊が、惑星ジャクーのトゥアナル村を襲撃したとき、フィンはあまりの残忍さに発砲できなかったのです。

このあたり、デーヴ・グロスマンの『戦争における「人殺し」の心理学 』(ちくま学芸文庫) を連想しますね。グロスマンによれば、一般的な人間には「同胞たる人間を殺すことへの抵抗感が存在」します。第二次大戦中、敵との遭遇戦でライフルを発砲できた兵士は15から20%しかいなかったのです。
彼らは生まれて間もない頃から兵士としての訓練を受け、名前の代わりに識別番号を与えられた。ファースト・オーダーへの忠誠心と服従の精神を叩き込むため、トルーパーには長年にわたるプロパガンダ教育が施されていた。スター・ウォーズオンライン百科事典
とのことです。

「スターウォーズ心理学」に戻りましょう。

記事の著者であるTravis Langley 博士はこう書きます。
Although raised from infancy to become fighting machines conditioned to obey an order, they're still human, and Finn has somehow retained that sense of right and wrong. 
「赤ん坊のころから戦う機械となり、命令に従うように条件づけられてきたものの、彼らはそれでも人間なのです。そしてフィンは、どのようにかして、正義と悪の感覚を保ってきたのです」

フィンは、ポーとともにファースト・オーダーから逃亡するときに、さっきまで仲間だったストーム・トルーパーたちをためらいなく撃ちます。ファースト・オーダーの本拠地であるスターキラー基地を破壊する作戦にも協力します。そこには、当然たくさんのストーム・トルーパーがいますよね。

フィンの道徳心はどうなってるんだろう? 元仲間を殺すのはいいのでしょうか。
Langley 博士曰く「もしフィンが、彼の仲間のストーム・トルーパーたちはサイコパスで、決して誰とのあいだにも親密さの感情をもつことなどないと知っているから、こんなに容易に彼らを殺すことができたのだとする。ならば、フィンはいつ抱きしめることを学んだのか?」

フィンがポーと再会したとき、二人は抱き合いますが、もし乳幼児期から兵士としてだけ育てられてきたのだとしたら、フィンは愛情や親密さといった感情をどのようにして学んだのでしょうか。
It's a question. There may be no easy answer.
とのことでした。

ハリー・ハーローの実験を連想しますね。
アカゲザルの赤ん坊を母親から引き離して、針金の母親と布の母親で育てるという実験です。ストーム・トルーパーたちも、ハーローのアカゲザルのように人工的な母親によって養育されたんでしょうか。


あるいは、
何もない日常を過ごす「スター・ウォーズ」のストームトルーパーズ|WIRED
で描かれていたように、ストーム・トルーパーも非番のときには、買い物したりジャグジーにつかったりしているのかもしれません。

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