うつ病にゲームで対処するSPARX日本語版が登場

6/16/2016

うつ病 ゲーム 認知行動療法

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ゲームで認知行動療法

前々からちょっと気になっていた「SPARX(スパークス)」というゲームの日本語版が出たというニュースを目にしました。

ニュージーランドで開発された、認知行動療法によるうつ病への対処法を学ぶことができるRPGです。「コンピュータ支援型の認知行動療法」というジャンルに入るんでしょうね。

このゲームでは、ファンタジーの世界を旅しながら、7つのステージで「ネガティブ思考」と戦ったり、行動を活性化するためのスキルを学びます。

ひと月〜ふた月くらいですべてのステージをクリアできるようです。

こんな雰囲気のゲーム。



ゲームによる治療効果は?

本当に効果あるの? と思わなくもないですね。

うつ病治療支援ゲーム「SPARX」 対面での治療と変わらない有効性
という記事によると、
SPARXは、認知行動療法(CBT)の「無意識に起こる歪んだ考え方に気づき直していく」というプロセスをゲームに応用したもの。寛解率(ほとんど症状が見られなくなる率)は43.7%と、対面での治療と変わらない結果を残している。
なのだそうです。

ちなみに、日本うつ病学会の治療ガイドライン(* pdf)によれば、「各種の抗うつ薬投与や、増強療法(オーグメンテーション)、認知行動療法を併用しても、48-60週間での累積寛解率は67%程度に留ま」るとのことです。

ということなので、ゲームをするだけで43.7%なら、悪くはないのかな。若い人には、とっつきやすいように思います。

何年か前に、ニュースで取り上げられていました。

若者のうつ病治療に効果、コンピューターゲーム「SPARX」


プレイヤーは「戦士」となって、ファンタジー世界を冒険し、「ネガティブな考えに見立てた火の玉を撃つ」などの闘いを通して、世界を悲観と絶望の沼から救い出すのです。

そしてステージをクリアするごとに、
「怒りの制御」
「衝突の解決」
「リラックス法」
といったスキルを学ぶことができるようになります。

制作スタッフによると、楽しみながら、意識せずに学習できるゲームを目指したとのことでした。

プロジェクトを指揮した精神科医によれば、うつに苦しむ若者の75〜80%がなんの助力も得られないでいます。
うつの影響で、学業成績が低下したり、社会的に孤立してしまいます。

地方では専門家の支援を受けることが難しいし、病院にかかりたがらない若者も多いので、プライバシーが守られたままでうつへの対処法を学ぶことのできるゲームに意義があるというわけです。

The effectiveness of SPARX, a computerised self help intervention for adolescents seeking help for depression: randomised controlled non-inferiority trial

という論文では、
SPARX is a potential alternative to usual care for adolescents presenting with depressive symptoms in primary care settings and could be used to address some of the unmet demand for treatment.
と結論づけられていました。抑うつ症状を示す若者への通常の治療の替わりになりうるだろうし、これまで十分拾い上げることができなかったニーズ(うつはなんとかしたいけど、病院に行きたくないとか、人に弱みを見せたくないといった)に応じることができるのではないかということですね。

SPARX日本語版

日本語版のサイトには、
プレーヤーは、ヒーローとしてバランスの崩れた世界で戦いながら、様々な問題への対処方法を学ぶことができます。
例えば、
憂うつな気分への対処方法
物事の柔軟な考え方
リラクゼーション法
コミュニケーション方法
問題の整理の仕方
気分のコントロール方法
など 日常生活に役立つ情報が満載です
と書かれていました。
スパークスとはニュージーランドの首相によるYouth Mental Health Project の取組みの1つとして、オークランド大学の研究者チームによって10代向けに開発された認知行動療法の考え基づく本格的なRPG ゲームです。
日本版は,日本人成人に合うようにローカライゼーションを行っています。
スパークスは,不安やストレス,憂うつな気分を感じている人に役立ちえる情報を提供し
Smart(賢明で)
Positive(前向きで)
Active(活動的で)
Realistic X-factor thought(現実的な新しい考え方)
を学ぶお手伝いをします。 
ダウンロードもここからできます。

まあ、日本人のうつの若者に効果があるかどうかは、まだ研究されていないようなので、実際にどの程度使えるかは分かりませんが、一度、ダウンロードして試してみようかと思っています。1000円くらいでした。

【こちらもどうぞ】
認知行動療法は詐欺で金の無駄? 長期的な治療効果に関する研究
ADHDのゲーム療法が臨床試験に

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