Chronic Fatigue Patients More Likely To Suppress Emotions|American Psychological Association

慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome、CFS)とは、原因不明の強い疲労感が、長期間に渡って続く病気です。

慢性疲労症候群の患者は、健康な人たちと比べると、大きな不安や苦しみを訴えますが、同時に、こうした感情体験を抑圧しがちでもあるとのアメリカ心理学会の『健康心理学』誌に発表された研究。

また、ストレスを感じると、交感神経システムが活性化されて「闘争/逃走」反応が生じやすいことも分かりました。

実験は、イギリスで160人を対象に行なわれました。半数が健康なコントロール群で、半数が慢性疲労症候群の患者です。
苦痛を感じるような映像を視聴し、その前後と最中に、自己評価と行動観察、身体的な反応などが調べられました。発汗の増加などの皮膚の反応が、交感神経システムが活性化したサインとして測定されたのです。

どのような結果が得られたのでしょうか?




結果からは、慢性疲労症候群の患者は、映像の前後最中どの時点でも、高い不安や悲しみを報告し、皮膚反応からも、健康な人と比べてより大きな苦痛を体験していることが明らかになりました。

けれども、行動観察では、慢性疲労症候群の患者の感情は、より分かりにくかったのです。

つまり、自身の体験としては大きな不安や苦痛を感じているけれど、それにふさわしい表現はなされていないということになります。

「感情を抑圧している」という表現には、すでに「無意識への抑圧」だとか、それが「身体化されている」といった理論的な前提を引き寄せてしまっているので、言葉の使い方には慎重になるほうがいいと思います。

この実験の結果から、感情の抑圧が、慢性疲労症候群の「原因」だとすぐに言えるわけではないでしょう。

訴えても他者に伝わりにくい(共感されにくい)苦痛や疲労感が続いているので、感情表現を避けるようになったとも考えられるからです。