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うつ病関連ニュース:「rTMS療法」「ゼルダの伝説」他


最近のうつ病に関連したニュースの覚書です。

うつ病を磁気刺激で治すrTMS療法薬事承認


うつ病を磁気刺激で治す「rTMS療法」薬事承認

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)という、脳に外部から磁気刺激を加えることでうつの症状を緩和する治療法が、18年中には保険で治療が受けられることになるというニュースです。
うつ病患者へのrTMS療法は、磁場をパルス状に連続発生させるコイル装置を患者の頭部に近づける。磁場の働きで生じた渦電流が頭蓋骨の内部まで到達して脳神経細胞に働きかける。うつ病患者の多くは、脳の左前方領域の機能が低下し、神経細胞間で情報を伝えるドーパミンなどの神経伝達物質の分泌が弱くなっている。磁場によって脳を繰り返し刺激することで、こうした神経の働きが改善されるという。
うつの8割に薬は無意味』(井原裕、朝日新書)
を読んでもわかるように、抗うつ剤による薬物療法が十分な効果をもたらさない患者さんも一定数いるのです。なので、治療の選択肢が増えるのはいいことなのでしょう。

副作用が気になるところですが、「rTMS療法では注意障害や遂行機能障害などの副作用は生じず、むしろ認知機能が治療後に改善したという報告が多い」と記事にはありました。


治療の様子の動画。





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うつ病だった僕を「ゼルダの伝説」が救ってくれた話

うつ病だった僕を「ゼルダの伝説」が救ってくれた話


アメリカのゲームライター、デレク・バックさんが、仕事を失ってうつ病になったけれど、「ゼルダの伝説」で回復したというストーリーです。

「リンクと冒険している間だけは息ができる、そんな感覚だった」「ゼルダはもはや僕にとってただのビデオゲームではなく、自分の感情と向き合い、折り合いをつけられる大切な世界となっていたのです」とのこと。

バックさんが言っているように、もちろん「ゼルダがうつ病を治療するわけではない」けれど、上手に退却して休養する方法の一つになりうるということですね。

不登校の子供の中にも、一日ゲームばかりしている子がいますが、これも同じことかもしれません。




さて続いては、

うつや不安に陥りにくいのはどのような人か=学者の見解

うつや不安に陥りにくいのはどのような人か=学者の見解

2ヶ月以内に精神科治療を受けたことのある成人463人を対象に、面談とアンケート調査を行い、不安や気分の落ち込みに最も関係が深い性格(不安神経症、外向性、実直)の表現性を評価したとのことです。5因子の性格理論に基づいた調査なんでしょうね。
その結果、外向的で実直な性格によって精神トラブルから守られることがわかった。研究者らによると、外向性は社会的支援を受ける助けとなり、ポジティブな性格はコミュニケーションを促すという。また実直な性格は目的達成や計画実現の志向に深く関わっている。
とのことでした。

「外向的でポジティブだとうつ病や不安障害になりにくいよね」って、まあそりゃそうなんだけど、うつや不安障害は治せても、性格ってなかなか変えられないですからね(変えなきゃいけないのかという話もある)。


仕事が原因のうつ病が増加傾向 自殺の9割以上は男性

仕事が原因のうつ病が増加傾向 自殺の9割以上は男性|ヘルスUP|NIKKEI STYLE
平成29年(2017年)版の「過労死等防止対策白書」[注1]によれば、精神障害に関わる請求件数は2000年には212件でしたが、2016年には1586件となっています。支給決定件数のほうも、2000年には36件だったのに対し、2016年では約500件にまで増加。支給決定件数のうち自殺(未遂を含む)については、2000年は19件で、2016年では84件となっています。
とのこと。

「仕事が原因のうつなどの精神障害や自殺が増えていること、その背景には恒常的な長時間労働や事故・災害への遭遇、セクハラ、いじめなどがある」





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